半導体(ICなど)のパッケージにはBGA(Ball Grid Array)やPGA(Pin Grid Array)など様々な種類があります。
この記事では『BGA』について
- BGAとは
- BGAの種類
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
BGAとは
BGA(Ball Grid Array)はボール状のはんだ(はんだボール)がパッケージの底面に格子状に配列されたパッケージです。
ピッチは1.27mm,1.0mm,0.8mm,0.75mm,,0.65mm,0.5mm,0.4mmなどがあります。
BGAの前に英文字が付くことで、「パッケージ取り付け高さ」や「ピンピッチ」等が変わります。例えば、「L」はパッケージ取り付け高さLが『1.20mm<高さL≦1.70mm』ということを意味しています。そのため、BGAの前に「L」がついた「LBGA」はパッケージの取り付け高さが『1.20mm<高さL≦1.70mm』のSOPということになります。
BGAはQFP(Quad Flat Package)と比較すると、以下のメリットとデメリットがあります。
メリット
- リード変形の恐れがないため、プリント基板への実装不良が起こりにくく、実装作業も効率的に行える。
- パッケージの周囲にリードが出ていないため、小型化できる。すなわち、実装密度を高くすることができる。
- 高密度に端子を配置することができる。
- リードインダクタンスが小さいため、高速LSIのパッケージに向いている。
デメリット
- 一度はんだ付けをすると、内部の状態が分からないため、修理が困難である。
- 外部からはんだ付けの状態を検査することができない。
- 手作業によるはんだ付けができないため、リフロー炉ではんだ付けをする必要がある。
- 部品を取り外す時に基板を再加熱する必要があり、BGAパッケージの後工程で実装された部品の耐熱温度によっては修理できない場合がある。
- パッケージの熱膨張率と基板の熱膨張率が異なるため、通電中に発熱するBGAパッケージの場合、熱膨張と熱収縮が繰り返されることによって、パッケージまたは基板が歪み、はんだ付けの接点にクラックが生じて断線状態となる可能性がある。
『PGA』・『LGA』・『BGA』の違い
パッケージの底面に格子状に配列されているものが、ピンか、ランドか、ボール状のはんだかでパッケージ名称が変わります。
- ピン:PGA(Pin Grid Array)
- ランド:LGA(Land Grid Array)
- ボール状のはんだ:BGA(Ball Grid Array)
『PGA(Pin Grid Array)』と『LGA(Land Grid Array)』については下記の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。
『PGA』とは?パッケージの種類を解説!【半導体&IC】
続きを見る
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『LGA』とは?パッケージの種類を解説!【半導体&IC】
続きを見る
BGAの種類
ピンピッチを表す英文字の追加
BGAの前に「F」が付くと、ピンピッチが変わります。また、BGAの前に「I」が付くと、格子状の配列が変わります。
FBGA
BGAの前に付いている「F」は「ファインピッチ」を表します。
「F」が付くことにより、ピンピッチが以下のように短くなります。
ピンピッチについて
- 基本パッケージがBGAorLGAの場合(FBGA or FLGA)
- ピンピッチが0.8mm以下
- 基本パッケージがQFPの場合(FQFP)
- ピンピッチが0.5mm以下
そのため、「FBGA(Fine-pitch BGA)」はピンピッチが0.8mm以下のBGAということになります。
IBGA
BGAの前に付いている「I」は「インタースティシャル」を表しており、「IBGA(Interstitial BGA)」はパッケージの端子が格子状以外(例えば千鳥パターン)のパッケージのBGAということを意味しています。
パッケージ取り付け高さを表す英文字の追加
BGAの前に「L」,「T」,「V」,「W」等が付くと、パッケージ取り付け時の高さが変わります。
LBGA
BGAの前に付いている「L」はパッケージ取り付け高さLが『1.20mm<高さL≦1.70mm』ということを意味しています。
そのため、「LBGA(Low-Profile BGA)」はパッケージの取り付け高さが『1.20mm<高さL≦1.70mm』のBGAということになります。
LFBGA
FBGAの前に付いている「L」はパッケージ取り付け高さLが『1.20mm<高さL≦1.70mm』ということを意味しています。
そのため、「LFBGA(Low-Profile FBGA)」はパッケージの取り付け高さが『1.20mm<高さL≦1.70mm』のFBGAということになります。
TBGA
BGAの前に付いている「T」はパッケージ取り付け高さTが『1.00mm<高さT≦1.20mm』ということを意味しています。
そのため、「TBGA(Thin Small BGA)」はパッケージの取り付け高さが『1.00mm<高さT≦1.20mm』のBGAということになります。
TFBGA
FBGAの前に付いている「T」はパッケージ取り付け高さTが『1.00mm<高さT≦1.20mm』ということを意味しています。
そのため、「TFBGA(Thin Small FBGA)」はパッケージの取り付け高さが『1.00mm<高さT≦1.20mm』のFBGAということになります。
VBGA
BGAの前に付いている「V」はパッケージ取り付け高さVが『0.80mm<高さV≦1.00mm』ということを意味しています。
そのため、「VBGA(Very thin BGA)」はパッケージの取り付け高さが『0.80mm<高さV≦1.00mm』のBGAということになります。
VFBGA
FBGAの前に付いている「V」はパッケージ取り付け高さVが『0.80mm<高さV≦1.00mm』ということを意味しています。
そのため、「VFBGA(Very thin FBGA)」はパッケージの取り付け高さが『0.80mm<高さV≦1.00mm』のFBGAということになります。
WBGA
BGAの前に付いている「W」はパッケージ取り付け高さWが『0.65mm<高さW≦0.80mm』ということを意味しています。
そのため、「WBGA(Very-Very thin BGA)」はパッケージの取り付け高さが『0.65mm<高さW≦0.80mm』のBGAということになります。
WFBGA
FBGAの前に付いている「W」はパッケージ取り付け高さWが『0.65mm<高さW≦0.80mm』ということを意味しています。
そのため、「WFBGA(Very-Very thin FBGA)」はパッケージの取り付け高さが『0.65mm<高さW≦0.80mm』のFBGAということになります。
UBGA
BGAの前に付いている「U」はパッケージ取り付け高さUが『0.50mm<高さU≦0.65mm』ということを意味しています。
そのため、「UBGA(Ultra thin BGA)」はパッケージの取り付け高さが『0.50mm<高さU≦0.65mm』のBGAということになります。
UFBGA
FBGAの前に付いている「U」はパッケージ取り付け高さUが『0.50mm<高さU≦0.65mm』ということを意味しています。
そのため、「UFBGA(Ultra thin FBGA)」はパッケージの取り付け高さが『0.50mm<高さU≦0.65mm』のFBGAということになります。
XBGA
BGAの前に付いている「X」はパッケージ取り付け高さXが『高さX≦0.50mm』ということを意味しています。
そのため、「XBGA(Extra thin BGA)」はパッケージの取り付け高さが『高さX≦0.50mm』のBGAということになります。
XFBGA
FBGAの前に付いている「X」はパッケージ取り付け高さXが『高さX≦0.50mm』ということを意味しています。
そのため、「XFBGA(Extra thin FBGA)」はパッケージの取り付け高さが『高さX≦0.50mm』のFBGAということになります。
外形上の機能追加を表す英文字の追加
BGAの前に「H」が付くと、「ヒートシンク付き」のパッケージとなります。
HBGA
BGAの前に付いている「H」は「ヒートシンク付き」を表します。
そのため、「HBGA(BGA with Heat Sink)」はヒートシンク付きのBGAということになります。
HLBGA
LBGAの前に付いている「H」は「ヒートシンク付き」を表します。
そのため、「HLBGA(LBGA with Heat Sink)」はヒートシンク付きのLBGAということになります。
HTBGA
TBGAの前に付いている「H」は「ヒートシンク付き」を表します。
そのため、「HTBGA(TBGA with Heat Sink)」はヒートシンク付きのTBGAということになります。
HVBGA
VBGAの前に付いている「H」は「ヒートシンク付き」を表します。
そのため、「HVBGA(VBGA with Heat Sink)」はヒートシンク付きのVBGAということになります。
HWBGA
WBGAの前に付いている「H」は「ヒートシンク付き」を表します。
そのため、「HWBGA(WBGA with Heat Sink)」はヒートシンク付きのWBGAということになります。
HUBGA
UBGAの前に付いている「H」は「ヒートシンク付き」を表します。
そのため、「HUBGA(UBGA with Heat Sink)」はヒートシンク付きのUBGAということになります。
HXBGA
XBGAの前に付いている「H」は「ヒートシンク付き」を表します。
そのため、「HXBGA(XBGA with Heat Sink)」はヒートシンク付きのXBGAということになります。
材料を表す英文字の追加
BGAの前に「P-」,「C-」,「S-」が付くと、パッケージの材質が変わります。
P-BGA
BGAの前に付いている「P-」は「プラスチック」を表します。
そのため、「P-BGA(Plastic BGA)」はパッケージ材質がプラスチックのBGAということになります。
C-BGA
BGAの前に付いている「C-」は「セラミック」を表します。
そのため、「C-BGA(Ceramic BGA)」はパッケージ材質がセラミックのBGAということになります。
S-FBGA
FBGAの前に付いている「S-」は「シリコン」を表します。
そのため、「S-FBGA(Silicon FBGA)」はパッケージ材質がシリコンのFBGAということになります。
BGA関連のその他のパッケージ
以下にネットや参考書等で見たことのあるBGAのパッケージを示します。
- EBGA(Enhanced BGA)
- FTBGA(Flex Tape BGA)
- PFBGA(FBGA with terminal for stack)
- 積層用端子付きFBGA
- PLFBGA(LFBGA with terminal for stack)
- 積層用端子付きLFBGA
- PTFBGA(TFBGA with terminal for stack)
- 積層用端子付きTFBGA
- PVFBGA(VFBGA with terminal for stack)
- 積層用端子付きVFBGA
- PWFBGA(WFBGA with terminal for stack)
- 積層用端子付きWFBGA
- PUFBGA(UFBGA with terminal for stack)
- 積層用端子付きUFBGA
- PXFBGA(XFBGA with terminal for stack)
- 積層用端子付きXFBGA
- FC-BGA(Flip Chip BGA)
- パッケージ基板に半導体チップをフェースダウンで接続パンプを介して接続したBGAの俗称です。
- MC-FBGA(Multi-Chip FBGA)
- Micro SMD
- National Semiconductor社の小型BGAパッケージです。4ピン~42ピンのタイプがあります。
まとめ
この記事では半導体(ICなど)のパッケージの『BGA』について、以下の内容を説明しました。
- BGAとは
- BGAの前に付く英文字により「パッケージ取り付け高さ」や「パッケージ材質」が変わる
お読み頂きありがとうございました。
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