抵抗の『種類』と『特徴』について!

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抵抗は性質や素材により、様々な種類があります。

この記事では『抵抗』について

  • 抵抗の『種類』
  • 各抵抗の特徴(メリットやデメリットなど)

などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。

抵抗の種類

抵抗の『種類』

抵抗は多くの種類があり、性質や素材によって主に上図のように分類することができます。

非常に低価格であり、最も多く使用されている抵抗は炭素皮膜抵抗(カーボン抵抗)です。また、回路に流れる電流の検出用には低抵抗かつ大電力(数W)でインダクタンスが小さい金属板抵抗を使用します。

ではこれから各抵抗について詳しく説明します。

ソリッド抵抗

ソリッド抵抗

炭素の粉末と樹脂を混合し、固形化した抵抗器。

高耐圧高抵抗のものを作ることができるため、おもに電源回路などの大きなストレスがかかる回路に使用されます。しかし、精度が悪いため、精密な用途には適しません。また、ソリッド抵抗はコストや精度面で難点があり、徐々に炭素皮膜抵抗に置き換わっています。

このソリッド抵抗は、炭素体抵抗固定体抵抗カーボンコンポジット抵抗カーボンコンポジション抵抗(Carbon Composition Resistor)とも呼ばれます。

また、ソリッド抵抗は英語では「Solid Resistor」と書きます。

メリット

  • 高耐圧高抵抗のものを作ることができる。
  • 寄生インダクタンス成分が小さい。
  • 断線が起こりにくい。
  • 過渡な条件下での使用に強く丈夫である。
  • 1/16W型のような超小型の抵抗の製造が可能である。
  • 幅広い抵抗値範囲をカバーできます。

デメリット

  • 精度が悪いので精密な用途には適さない。
  • 経年変化によって抵抗値がかなり変化(増加)する。
  • 温度係数が非常に大きく、著しい高温にさらされると一挙に抵抗値が高くなってしまうことがある。
  • 抵抗値の経年劣化や生産性が悪い等の理由で、製造を打ち切る国内メーカーが多く、入手性が悪い。海外メーカー製しか入手できないのが現状である。

炭素皮膜抵抗(カーボン抵抗)

炭素皮膜抵抗(カーボン抵抗)

安定した磁性体(セラミック)の表面に抵抗体として炭素皮膜を装着した抵抗器。

小電力用の抵抗では最も多く使用されており、通常、小型の抵抗器と言うと、炭素皮膜抵抗を指します。

抵抗値の精度は一般的に±5%(J)、±10%(K)が多く使われます。温度係数は負特性(温度の上昇で抵抗値が下がる)となっています。

炭素は英語で「カーボン(Carbon)」というため、カーボン抵抗とも呼ばれています。

また、炭素皮膜抵抗は英語では「Carbon Film Resistor」と書きます。

メリット

  • 非常に低価格な抵抗である。そのため、抵抗の中で最も多く使用されている。
  • 幅広い抵抗値範囲をカバーできる。

デメリット

  • 温度係数があまりよくないため、精密な用途には適さない。
  • 電流雑音や周波数の特性が良くない。

補足

  • 炭素皮膜抵抗の塗装をはがすと、内側に溝が入っています。この溝を調整することで抵抗値を調整しています。

金属皮膜抵抗(キンピ)

金属皮膜抵抗(キンピ)

磁性体(セラミック)の表面に、抵抗体としてNi-Cr(ニッケルクロム)などの金属材料を使用した抵抗器。

外観は炭素皮膜抵抗と似ています。

金属皮膜抵抗の金属皮膜を略して金皮(キンピ)とも呼ばれています。

また、金属皮膜抵抗は英語では「Metal Film Resistor」と書きます。

メリット

  • 炭素皮膜抵抗に比べて、温度係数が小さく、電流雑音が少なく、精度が良い。
  • 抵抗値の精度の選択肢が広く、±5%(J)、±2%(G)、±1%(F)、±0.5%(D)、±0.25%(C)、±0.1%(B)、±0.05%(A)などから選べる。

デメリット

  • 抵抗体に金属を使用しているため、炭素皮膜抵抗より高価(約2~3倍)となります。

補足

  • 金属皮膜抵抗には「厚膜型金属皮膜抵抗(金属系のペーストを加熱焼成したもの)」と「薄膜型金属皮膜抵抗(金属を蒸着させてコーティングしたもの)」があります。この2種類において、厚膜型が汎用的な金属皮膜抵抗であり、こちらが俗に「キンピ」と呼ばれているものです。薄膜型は厚膜型をさらに高精度(±0.05%程度のものもある)であり、低温度係数となっていますが、厚膜型より高価となっています。
  • 精度が良いため、主に通信・計測機器、コンピュータなどに使用されています。
  • 一般の金属の温度特性は正特性となっています。そこで、金属皮膜抵抗は合金の比率を変えることで、温度係数を小さくしています。また、比率によって、正特性と負特性のどちらかになります。

酸化金属皮膜抵抗(サンキン)

酸化金属皮膜抵抗(サンキン)

磁性体(セラミック)の表面に、抵抗体として酸化スズなどの金属酸化物を使用した抵抗器。

酸化金属の皮膜が熱によって燃焼することがないため、1W~5W程度の中電力用として多く用いられています。

酸化金属皮膜抵抗の酸化金属を略して酸金(サンキン)とも呼ばれます。

また、酸化金属皮膜抵抗は英語では「Metal Oxide Resistor」と書きます。

メリット

  • 電力のわりにコストが安い

デメリット

  • 精度・温度特性ともに金属皮膜抵抗より劣る。

補足

  • 抵抗体の材料である金属酸化物は無機材料のため、燃焼せずに発熱するという特徴があります。そのため、実装には注意が必要です。抵抗周囲の部品(コンデンサ等)や配線やプリント基板の温度管理をする必要があります。
  • 温度特性は約±350ppm/℃です。

メタルグレーズ抵抗

メタルグレーズ抵抗

金属や酸化ルテニウム等の金属酸化物とガラスを混合し、アルミナやセラミック等に高温で焼結させたものを抵抗体とした抵抗器。

また、メタルグレーズ抵抗は英語では「Cermet Film Resistor」と書きます。

メリット

  • 厚膜が得られるため、サージやパルスに強い
  • 耐腐食性に優れる。
  • 高抵抗領域においても抵抗値の経時変化が小さく信頼性が高い。
  • 安全性、耐環境性に優れている。

デメリット

  • 絶縁粒子を使用しているため、過電圧が印加されると、一部の絶縁粒子へ負荷が集中して、局所的な絶縁破壊を起こし、抵抗値が中途半端に変化する場合がある。

金属板抵抗

金属板抵抗

金属の抵抗体をジャバラ状に打ち抜き、リードを付け、セラミックケースにセメント樹脂で封止した抵抗器。

低抵抗かつ大電力(数W)でインダクタンスが小さいのが特徴です。

また、金属板抵抗は「Metal Plate (Cement) Resistor」と書きます。

メリット

  • 低抵抗(10mΩから製造が可能)でかつ大電力(数W)インダクタンスが小さい。そのため、電流検出回路に用いられている。なお、低抵抗なので、プリント基板の配線抵抗を考慮する必要がある。
  • 無機材料なので燃損しない

巻線抵抗

巻線抵抗

文字通り、抵抗線(金属の細い線、マンガンやニクロム線など)をセラミックのボビンなどに巻き付けた抵抗器。

低い抵抗値で大電力(数Wから数100W)を得ることができるのが特徴です。

また、巻線抵抗は英語では「Wire-Wound Resistor」と書きます。

メリット

  • 温度係数が小さい。
  • 電流雑音が比較的に小さい。
  • 耐熱性が良い。

デメリット

  • 高周波特性が悪い。
    • 抵抗線をボビンに巻き付けるという構造がコイル(インダクタ)と同じであり、インダクタンス成分を持ちます。そのため、高周波回路には注意が必要となります。
  • 抵抗値の高いものは大型かつ高価となる。

補足

  • 抵抗値は線種巻き数で調整します。
  • 巻線抵抗には電力用精密用があります。一般的に市販されているもののほとんどが電力用となっています。
  • 耐熱構造なので、定格電力で使うと抵抗が非常に高温になります。そのため、実装には注意が必要です。抵抗周囲の部品(コンデンサ等)や配線やプリント基板の温度管理をする必要があります。
  • 構造上、高周波数特性が悪いという性質がありますが、巻き方を無誘導巻とすることで対策された製品もあります。しかし、無誘導巻のものでも高周波での使用は避けた方が無難です。
  • 温度係数は品種ごとに異なります。
  • 巻線抵抗器は大電力用途で用いられることが多いため、耐熱性(発煙や発火が起こらない)であることが求められます。そのため、ケースには、絶縁の不燃性塗料を用いるものが多いです。ケースに角型のセメント材を用いたものはセメント抵抗、金属ケースを用いたものはメタルクラッド抵抗と呼ばれています。

セメント抵抗

セメント抵抗

巻線抵抗または金属皮膜抵抗などをセラミックケースに入れて、セメントで封止することで、耐熱性、耐圧性を向上させた抵抗器。

大電力用であり、電力の大きな抵抗が必要なときに使用します。

また、セメント抵抗は英語では「Ceramic Cement Resistor」と書きます。

メリット

  • 絶縁性に優れている。
  • セメントは放熱性が良いため、耐熱性が向上する。

デメリット

  • 巻線抵抗なので、インダクタンス成分を持ちます。そのため、高周波回路には注意が必要となります。

補足

  • 不燃性のケースでおおわれているため、発火せず、定格電力で使うと抵抗が非常に高温になります。そのため、実装には注意が必要です。抵抗周囲の部品(コンデンサ等)や配線やプリント基板の温度管理をする必要があります。

メタルクラッド抵抗

メタルクラッド抵抗

巻線抵抗に金属製の外装を取り付けた抵抗器。巻線抵抗の一種です。

メタルクラッド抵抗は大きな電流を流すことを想定しているため、放熱板や放熱フィンなど熱対策がなされているものもあります。

メタルクラッドは、Metal(金属)Clad(被膜した)を組み合わせたものになっています。

また、メタルクラッド抵抗は英語では「Metal Clad Resistor」と書きます。

ホーロー抵抗(ホウロウ抵抗)

ホーロー抵抗(ホウロウ抵抗)

セラミックの芯に抵抗線を巻き、その上に琺瑯(ほうろう)を焼き付けて耐熱性を高めた抵抗器。巻線抵抗の一種です。

表面の皮膜を削って抵抗線をむき出しにし、スライド金具を付けて抵抗値を調整できるようにしたものもあります。

また、ホーロー抵抗は英語では「Enamel Resistor」と書きます。

メリット

  • 耐熱性が非常に高いため、大電力を扱う場合に適しています。

デメリット

  • 巻線抵抗のなので、インダクタンス成分 を持ちます。そのため、高周波回路には注意が必要となります。

ヒューズ抵抗

ヒューズ抵抗

通常時は普通の抵抗として機能し、異常時の過負荷では抵抗体が完全に溶断して回路電流を遮断する機能を持った抵抗器。

これは、高温時に抵抗体がヒューズのように溶断するという現象を利用しています。構造的には酸化金属皮膜抵抗と同じ構造をしていますが、抵抗体が燃損するため、外装塗装は難燃性をなっています。

なお、ヒューズ抵抗はヒューズヒューズ付き抵抗と比べると、応答電流値や応答時間のバラツキが大きくなります。

また、ヒューズ抵抗は英語では「Fusible Resistor」と書きます。

あわせて読みたい

ヒューズ抵抗』については下記の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。

ヒューズ付き抵抗(温度ヒューズ内蔵抵抗)

ヒューズ付き抵抗(温度ヒューズ内臓抵抗)

主に、電源のON時に流れる突入電流を抑制するために使われる抵抗器。

電源のON時、電源ライン間に突入電流防止回路(抵抗とスイッチング素子(サイリスタやトライアックやリレー)で構成された回路)を接続することで、電源ラインに流れる突入電流を抑制する手法があります。この抵抗には、電源のON時に流れる突入電流に耐えることができるサージ耐量の大きな巻線抵抗器を用いることができます。

通常時は、スイッチング素子をオンすることで、スイッチング素子に電流を流します。しかし、このスイッチング素子が故障した場合、抵抗に電流が流れ続けることになり、抵抗がかなり発熱しまうという問題があります。そこで、安全対策として温度ヒューズを抵抗の近くに組み込んで一体化した部品があります。この部品がヒューズ付き抵抗(温度ヒューズ内蔵抵抗)です。

ヒューズ付き抵抗(温度ヒューズ内蔵抵抗)は突入電流防止回路の抵抗に用いられているため、突入電流防止抵抗突防抵抗と呼ばれることがあります。

また、ヒューズ抵抗(温度ヒューズ内蔵抵抗)は英語では「Thermal-Fuse Resistor」と書きます。

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ヒューズ抵抗(温度ヒューズ内蔵抵抗)』については下記の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。

突入電流防止回路』については下記の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。

ネットワーク抵抗

ネットワーク抵抗

複数の抵抗を1つの絶縁基板上にまとめた抵抗器。

部品点数の削減、省力化、高密度化などのメリットがあり多用され始めています。

抵抗の特性は一般の厚膜抵抗と同じです。複数の抵抗の接続方法には、並列、直列、分圧、独立など様々なものがあります。

ネットワーク抵抗は複合抵抗抵抗アレイとも呼ばれています。

また、ネットワーク抵抗は英語では「Network Resistor」と書きます。

補足

  • ネットワーク抵抗はアナログ回路等で相対的な抵抗値のばらつきを低減したい場合に使用します。

まとめ

この記事では抵抗の『種類』と『特徴』について、以下の内容を説明しました。

  • 抵抗の『種類』
  • 各抵抗の特徴(メリットやデメリットなど)

お読み頂きありがとうございました。

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