RL並列回路の『合成インピーダンス』と『合成アドミタンス』を分かりやすく解説!

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この記事ではRL並列回路の『合成インピーダンス』について

  • RL並列回路の『合成インピーダンス』の式・大きさ・ベクトル図
  • RL並列回路の『合成アドミタンス』の式

などを図を用いて分かりやすく説明しています。

RL並列回路の『合成インピーダンス』

RL並列回路の『合成インピーダンス』

RL並列回路は上図に示すように、抵抗\(R\)とコイル\(L\)を並列に接続した回路です。

抵抗\(R\)の抵抗値を\(R{\mathrm{[{\Omega}]}}\)、コイル\(L\)の自己インダクタンスを\(L{\mathrm{[H]}}\)とします。この時、抵抗\(R\)のインピーダンス\({\dot{Z}_R}\)、コイル\(L\)のインピーダンス\({\dot{Z}_L}\)はそれぞれ次式で表されます。

\begin{eqnarray}
{\dot{Z}_R}&=&R\\
{\dot{Z}_L}&=&jX_L=j{\omega}L
\end{eqnarray}

上式において、\(X_L\)は誘導性リアクタンス(コイル\(L\)の抵抗成分)と呼ばれています。また、\({\omega}\)は角周波数(角速度とも呼ばれる)であり、\({\omega}=2{\pi}f\)の関係があります。なお、リアクタンスについては下記の記事で詳しく説明していますので、参考になると幸いです。

『それぞれのインピーダンスの逆数の和』が『RL並列回路の合成インピーダンス\({\dot{Z}}\)の逆数』となるため、次式が成り立ちます。

\begin{eqnarray}
\frac{1}{{\dot{Z}}}&=&\frac{1}{{\dot{Z}_R}}+\frac{1}{{\dot{Z}_L}}\\
\\
&=&\frac{1}{R}+\frac{1}{j{\omega}L}\\
\\
&=&\frac{j{\omega}L}{R×j{\omega}L}+\frac{R}{R×j{\omega}L}\\
\\
&=&\frac{R+j{\omega}L}{j{\omega}RL}
\end{eqnarray}

上式の分母と分子をひっくり返すと次式となります。

\begin{eqnarray}
{\dot{Z}}=\frac{j{\omega}RL}{R+j{\omega}L}
\end{eqnarray}

また、上式には分母と分子に虚数単位\(j\)があります。分子のみに虚数単位\(j\)があるようにするために、分母と分子に『\(R-j{\omega}L\)』を掛けます。

\begin{eqnarray}
{\dot{Z}}&=&\frac{j{\omega}RL(R-j{\omega}L)}{(R+j{\omega}L)(R-j{\omega}L)}\\
\\
&=&\frac{j{\omega}R^2L-j^2{\omega}^2RL^2}{R^2-j{\omega}RL+j{\omega}RL-j^2{\omega}^2L^2}\\
\\
&=&\frac{j{\omega}R^2L+{\omega}^2RL^2}{R^2+{\omega}^2L^2}\\
\\
&=&\frac{{\omega}^2RL^2}{R^2+{\omega}^2L^2}+j\frac{{\omega}R^2L}{R^2+{\omega}^2L^2}
\end{eqnarray}

以上より、RL並列回路の合成インピーダンス\({\dot{Z}}\)は次式となります。

RL並列回路の合成インピーダンス

\begin{eqnarray}
{\dot{Z}}=\frac{{\omega}^2RL^2}{R^2+{\omega}^2L^2}+j\frac{{\omega}R^2L}{R^2+{\omega}^2L^2}
\end{eqnarray}

RL並列回路の『合成インピーダンス』の大きさ

RL並列回路の『合成インピーダンス』の大きさ

RL並列回路の合成インピーダンスの大きさ\(Z\)は次式で表される合成インピーダンス\({\dot{Z}}\)の絶対値となります。

RL並列回路の合成インピーダンス

\begin{eqnarray}
{\dot{Z}}=\frac{{\omega}^2RL^2}{R^2+{\omega}^2L^2}+j\frac{{\omega}R^2L}{R^2+{\omega}^2L^2}
\end{eqnarray}

もう少し詳しく説明すると、合成インピーダンスの大きさ\(Z\)は上式において、『実部\(\displaystyle\frac{{\omega}^2RL^2}{R^2+{\omega}^2L^2}\)の2乗』と『虚部\(\displaystyle\frac{{\omega}R^2L}{R^2+{\omega}^2L^2}\)の2乗』を足して、平方根を取ることで求めることができ、式で表すと次式となります。

\begin{eqnarray}
Z&=&|{\dot{Z}}|\\
\\
&=&\displaystyle\sqrt{\left(\displaystyle\frac{{\omega}^2RL^2}{R^2+{\omega}^2L^2}\right)^2+\left(\displaystyle\frac{{\omega}R^2L}{R^2+{\omega}^2L^2}\right)^2}\\
\\
&=&\displaystyle\sqrt{\displaystyle\frac{{\omega}^4R^2L^4+{\omega}^2R^4L^2}{\left(R^2+{\omega}^2L^2\right)^2}}\\
\\
&=&\displaystyle\sqrt{\displaystyle\frac{{\omega}^2R^2L^2\left({\omega}^2L^2+R^2\right)}{\left(R^2+{\omega}^2L^2\right)^2}}\\
\\
&=&\displaystyle\sqrt{\displaystyle\frac{{\omega}^2R^2L^2}{R^2+{\omega}^2L^2}}\\
\\
&=&\displaystyle\frac{{\omega}RL}{\displaystyle\sqrt{R^2+{\omega}^2L^2}}
\end{eqnarray}

以上より、RL並列回路の合成インピーダンスの大きさ\(Z\)は次式となります。

RL並列回路の合成インピーダンスの大きさ

\begin{eqnarray}
Z=|{\dot{Z}}|=\displaystyle\frac{{\omega}RL}{\displaystyle\sqrt{R^2+{\omega}^2L^2}}
\end{eqnarray}

インピーダンスに付いている「ドット」の意味

インピーダンス\(Z\)の記号の上に「・(ドット)」が付き、\({\dot{Z}}\)となっているものがあります。

このドットがついた\({\dot{Z}}\)は「ベクトルですよ!」ということを表しています。

ドットが付く場合(\({\dot{Z}}\)など)はベクトル(複素数)を表し、ドットが付かない場合(\(Z\)など)はベクトルの絶対値(大きさ,長さ)を表しています。

RL並列回路の『合成インピーダンス』のベクトル図

RL並列回路の合成インピーダンス\({\dot{Z}}\)の『ベクトル図』は下記のステップで描くことができます。

『ベクトル図』の描き方

  1. 合成インピーダンス\({\dot{Z}}\)の実部のインピーダンス\({\dot{Z}_{RE}}\)のベクトルを描く
  2. 合成インピーダンス\({\dot{Z}}\)の虚部のインピーダンス\({\dot{Z}_{IM}}\)のベクトルを描く
  3. 各ベクトルを合成する

では各ステップについて順番に説明していきます。

合成インピーダンス\({\dot{Z}}\)の実部のインピーダンス\({\dot{Z}_{RE}}\)のベクトルを描く

RL並列回路の『合成インピーダンス』のベクトル図の描き方1

合成インピーダンス\({\dot{Z}}\)の実部のインピーダンス\({\dot{Z}_{RE}}\)は次式で表されます。

\begin{eqnarray}
{\dot{Z}_{RE}}=\frac{{\omega}^2RL^2}{R^2+{\omega}^2L^2}
\end{eqnarray}

そのため、実部のインピーダンス\({\dot{Z_{RE}}}\)のベクトル方向は実数軸の向きとなります。ベクトルの向きについては後ほど詳しく説明します。

また、実部のインピーダンス\({\dot{Z}_{RE}}\)のベクトルの大きさ(長さ)\(Z_{RE}\)は次式となります。

\begin{eqnarray}
Z_{RE}=|{\dot{Z}_{RE}}|=\displaystyle\sqrt{\left(\frac{{\omega}^2RL^2}{R^2+{\omega}^2L^2}\right)^2}=\frac{{\omega}^2RL^2}{R^2+{\omega}^2L^2}
\end{eqnarray}

合成インピーダンス\({\dot{Z}}\)の虚部のインピーダンス\({\dot{Z}_{IM}}\)のベクトルを描く

RL並列回路の『合成インピーダンス』のベクトル図の描き方2

合成インピーダンス\({\dot{Z}}\)の虚部のインピーダンス\({\dot{Z}_{IM}}\)は次式で表されます。

\begin{eqnarray}
{\dot{Z}_{IM}}=j\frac{{\omega}R^2L}{R^2+{\omega}^2L^2}
\end{eqnarray}

そのため、虚部のインピーダンス\({\dot{Z}_{IM}}\)のベクトル方向は実数軸を反時計周りに90°回転した向きになります(『\(j\)』が付くと反時計周りに90°回転します)。ベクトルの向きについては後ほど詳しく説明します。

また、虚部のインピーダンス\({\dot{Z}_{IM}}\)のベクトルの大きさ(長さ)\(Z_{IM}\)は次式となります。

\begin{eqnarray}
Z_{IM}=|{\dot{Z}_{IM}}|=\displaystyle\sqrt{\left(\frac{{\omega}R^2L}{R^2+{\omega}^2L^2}\right)^2}=\frac{{\omega}R^2L}{R^2+{\omega}^2L^2}
\end{eqnarray}

各ベクトルを合成する

RL並列回路の『合成インピーダンス』のベクトル図の描き方3

『実部のインピーダンス\({\dot{Z_{RE}}}\)』と『虚部のインピーダンス\({\dot{Z}_{IM}}\)』のベクトルの合成が RL並列回路の合成インピーダンス\({\dot{Z}}\)のベクトル図となります。

ベクトルの向きについて

ベクトルの向きについて(RL並列回路)

ベクトルの向きの決め方についてもう少し詳しく説明します。

ベクトルの『向き』について

式に虚数単位『\(j\)』が付くとベクトルの向きが90°回転します。

  • 『\(+j\)』が付いている時
  • ベクトルは反時計周りに90°回転します。

  • 『\(-j\)』が付いている時
  • ベクトルは時計周りに90°回転します。

合成インピーダンス\({\dot{Z}}\)の虚部のインピーダンス\({\dot{Z}_{IM}}\)は次式で表されます。

\begin{eqnarray}
{\dot{Z}_{IM}}=j\frac{{\omega}R^2L}{R^2+{\omega}^2L^2}
\end{eqnarray}

そのため、ベクトル\({\dot{Z}_{IM}}\)の向きは実数軸を反時計周りに90°回転した向きとなります。

RL並列回路の『合成アドミタンス』

RL並列回路の『合成アドミタンス』

RL並列回路の合成インピーダンス\({\dot{Z}}\)は合成アドミタンス\({\dot{Y}}\)を用いることで簡単に導出することができます。なお、合成アドミタンス\({\dot{Y}}\)の逆数が合成インピーダンス\({\dot{Z}}\)となります。

抵抗\(R\)のアドミタンス\({\dot{Y}_R}\)、コイル\(L\)のアドミタンス\({\dot{Y}_L}\)はそれぞれ次式で表されます。

\begin{eqnarray}
{\dot{Y}_R}&=&\frac{1}{{\dot{Z}_R}}=\frac{1}{R}\\
{\dot{Y}_L}&=&\frac{1}{{\dot{Z}_L}}=\frac{1}{j{\omega}L}
\end{eqnarray}

RL並列回路の合成アドミタンス\({\dot{Y}}\)はそれぞれのアドミタンスを足したものなので次式となります。

\begin{eqnarray}
{\dot{Y}}&=&{\dot{Y}_R}+{\dot{Y}_L}\\
\\
&=&\frac{1}{R}+\frac{1}{j{\omega}L}\\
\\
&=&\frac{j{\omega}L}{R×j{\omega}L}+\frac{R}{R×j{\omega}L}\\
\\
&=&\frac{R+j{\omega}L}{j{\omega}RL}
\end{eqnarray}

RL並列回路の合成インピーダンス\({\dot{Z}}\)は合成アドミタンス\({\dot{Y}}\)の逆数なので次式となります。

\begin{eqnarray}
{\dot{Z}}&=&\frac{1}{{\dot{Y}}}\\
\\
&=&\frac{j{\omega}RL}{R+j{\omega}L}\\
\\
&=&\frac{{\omega}^2RL^2}{R^2+{\omega}^2L^2}+j\frac{{\omega}R^2L}{R^2+{\omega}^2L^2}
\end{eqnarray}

このようにアドミタンスを用いることで、計算が比較的簡単になります。

なお、アドミタンスについては下記の記事で詳しく説明していますので、ご参考になれば幸いです。

まとめ

この記事ではRL並列回路の『合成インピーダンス』について、以下の内容を説明しました。

  • RL並列回路の『合成インピーダンス』の式・大きさ・ベクトル図
  • RL並列回路の『合成アドミタンス』の式

お読み頂きありがとうございました。

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