この記事では『ツェナーダイオード』について
- ツェナーダイオードとは
- ツェナーダイオードの『特徴』・『記号』・『用途』
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
ツェナーダイオードとは
ツェナーダイオードは、逆電圧VR(カソードにプラス、アノードにマイナスを印加した時の電圧)を徐々に上げていくと、ある電圧で急激に逆電流IR(カソードからアノードに流れる電流)が流れるダイオードです。
ツェナーダイオードに印加する逆電圧VRを上げていき、ある電圧で急激に逆電流IRが流れる現象は「降伏現象」と呼ばれています。
逆電流IRが急激に流れ始める逆電圧VRをツェナー電圧(降伏電圧)VZといいます。また、この時に流れている逆電流IRをツェナー電流IZといいます。
降伏現象が生じた後は、ツェナー電流IZが変化してもツェナー電圧VZはそれほど変化しません。ツェナーダイオードは、この特性を利用して、定電圧回路に使用されていることが多いです。
補足
- 通常のダイオードはアノード(A)からカソード(K)の方向に順電流IFが流れます。
- ツェナーダイオードは英語では「Zener Diode」と書きます。
- 順方向特性は通常のダイオードとほぼ同等です。そのため、0.7V程度の順電圧VFを印加すると、順電流IFが流れ始めます。
- ツェナーダイオードは「定電圧ダイオード(Reference Diode)」とも呼ばれています。
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ツェナーダイオードの記号
ツェナーダイオードは一般のダイオードと区別するために、上図に示すようにカソードに「Z」のようなマークが付いている回路記号を用います。三角形を「塗りつぶしているもの」と「塗りつぶしていないもの」がありますが、どちらを使用しても構いません。
また、「鍵括弧(」)」のようなマークが付いている回路記号も用いることがありますが、あまり見かけません。
ツェナーダイオードの温度特性
ツェナーダイオード(定電圧ダイオード)のツェナー電圧VZは温度によって変化します。
温度特性で特徴的なのは、ツェナー電圧VZの大きさによって、「正の温度係数を持つツェナーダイオード」もあれば「負の温度係数を持つツェナーダイオード」もあることです。
具体的には、ツェナー電圧VZが5V付近を境界とし、ツェナー電圧VZが5V付近よりも高いものは正の温度係数を持つため、温度が上昇すると、ツェナー電圧VZが増加します。一方、ツェナー電圧VZが5V付近よりも低いものは負の温度係数を持つため、温度が上昇すると、ツェナー電圧VZが減少します。
また、ツェナー電圧VZが5V付近のツェナーダイオードは「正の温度係数」と「負の温度係数」がお互いに打ち消し合うため、温度変化が小さくなります。
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ツェナーダイオードの用途
ツェナーダイオードは、ツェナー電流IZが変化してもツェナー電圧VZはそれほど変化しない特性を利用して、定電圧回路に使用されていることが多いです。
ツェナーダイオードを回路や部品の前段に接続することで、回路や部品に対して、一定電圧を供給することができます。
また、ツェナー電圧VZを超える電圧が印加されると、導通するという特徴を活かして、静電気などのサージ電圧から回路や部品を保護するためにも用いられています。このような用途で使用するツェナーダイオードは「TVSダイオード」や「ESD保護ダイオード」といいます。
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補足
- TVSは「Transient Voltage Suppressor(過渡電圧抑制)」の略です。
- TVSダイオードの回路記号はツェナーダイオードと同じです。
- ESDは「Electro-Static Discharge(静電気放電)」の略です。
まとめ
この記事では『ツェナーダイオード』について、以下の内容を説明しました。
- ツェナーダイオードとは
- ツェナーダイオードの『特徴』・『記号』・『用途』
お読み頂きありがとうございました。
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