抵抗の『負荷軽減曲線』について!周囲温度と印加可能電力の関係!

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この記事では抵抗のデータシートに記載されている『負荷軽減曲線』について

  • 負荷軽減曲線とは
  • 負荷軽減曲線の見方

などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。

抵抗の負荷軽減曲線とは

抵抗の負荷軽減曲線とは

抵抗は周囲温度によって使用できる電力が異なります。

そのため、抵抗のデータシートには負荷軽減曲線というものが記載されています。

負荷軽減曲線は「縦軸:定格電力比(定格電力に対する比率のこと)」、「横軸:周囲温度」となっています。この負荷軽減曲線を見ることで、周囲温度によってどのくらいの電力が使用できるかが分かります(後ほど、負荷軽減曲線の見方を説明します)。

負荷軽減曲線は上図のようになっています。ほとんどのメーカーの抵抗の負荷軽減曲線には以下の特徴があります。

  • 周囲温度70℃以下の範囲
    • 定格電力比が100%になっています。

      すなわち、周囲温度70℃以下の条件では、定格電力に対して、100%の電力を使用することができるということです(定格電力が0.1Wの抵抗を使用している場合には、0.1Wまでの電力を使用することができるということです)。
  • 周囲温度70℃以上の範囲
    • 定格電力比が100%から下がります。

      すなわち、周囲温度70℃以上の条件では、定格電力に対して使用することができる電力が減っていきます。例えば、定格電力比が50%の場合、定格電力に値して、50%の電力しか使用することができません(定格電力が0.1Wの抵抗を使用している場合には、0.05Wまでの電力しか使用することができないということです)。

      この負荷軽減曲線は抵抗のサイズ・形状・材質等によって変わります。一般的には、「125℃品:周囲温度125℃で定格電力比0%になるもの」または「155℃品:周囲温度155℃で定格電力比0%になるもの」があります。

      125℃品の場合は周囲温度が70℃から125℃になると、定格電力比が0%になることから、1℃あたり1.82%/℃の減少となります。一方、155℃品の場合は周囲温度が70℃から155℃になると、定格電力比が0%になることから、1℃あたり1.18%/℃の減少となります。

補足

  • 負荷軽減曲線は電力軽減曲線とも呼ばれています。
  • 定格電力に対して100%の電力を使用できる周囲温度の最大値を定格周囲温度といいます。上図の場合、70℃が定格周囲温度となります。ほとんどの抵抗は70℃が定格周囲温度となっています。
  • あくまで上図は一例です。周囲温度85℃まで定格電力に対して100%の電力を使用できる抵抗もあります(定格周囲温度が85℃の抵抗もあります)。
  • 負荷軽減曲線の横軸は周囲温度の場合抵抗自体の温度の場合があります。ほとんどの抵抗は周囲温度となっています。抵抗自体の温度の場合には、抵抗自体の発熱があるため、実測して温度を確認する必要があります。

抵抗の負荷軽減曲線の見方

抵抗の負荷軽減曲線の見方

次に、負荷軽減曲線の見方について説明します。

一例として、定格電力が0.1Wの抵抗において、周囲温度が100℃の時に、使用できる電力が何Wになるかを考えてみましょう。

横軸の周囲温度100℃の点から縦軸方向に伸ばしていき、負荷軽減曲線と交わった点が使用可能な電力となります。ここでは、厳密に式を解いて使用可能な電力を計算してみます。

125℃品の場合、上図の式のxに100を代入すると、

\begin{eqnarray}
y=-\frac{100}{125-70}100+\left(100+\frac{100}{125-70}×70\right)=45.4
\end{eqnarray}

となるため、周囲温度100℃では定格電力の45.4%まで使用できることが分かります。すなわち、定格電力が0.1Wの抵抗の場合、0.1×0.454=0.0454Wまで使用可能ということです。

155℃品の場合、上図の式のxに100を代入すると、

\begin{eqnarray}
y=-\frac{100}{155-70}100+\left(100+\frac{100}{155-70}×70\right)=64.7
\end{eqnarray}

となるため、周囲温度100℃では定格電力の64.7%まで使用できることが分かります。すなわち、定格電力が0.1Wの抵抗の場合、0.1×0.647=0.0647Wまで使用可能ということです。

補足

  • 定格電力とは抵抗が故障または劣化することなく使用できる最大電力ですが、定格電力ギリギリで使用すると抵抗がかなり発熱します。発熱すると、抵抗を搭載している基板が焦げたり、半田が溶けたりすることがあります。そのため、抵抗の種類によって異なりますが、定格電力の30%~50%で使用するようにディレーティングすることをオススメします。

【その他】そもそも『周囲温度』ってなに?

負荷軽減曲線の横軸は周囲温度となっていることが多いですが、そもそも周囲温度はどこの温度なのでしょうか?

いろいろ考え方があります。例えば、抵抗が組み込まれている電子機器内部の周囲温度だったり、抵抗が実装されている基板の周囲の温度だったり、抵抗の周囲の温度だったり・・・。

このように、周囲温度はかなり曖昧な言葉ですが、ロームさんのホームページでは、周囲温度とは「抵抗自体が電力を消費していない状況で、室温や抵抗器周囲の発熱によってきまる抵抗周囲の雰囲気温度」のように書いてあります。

すなわち、周囲温度とは、電子機器内部の周囲の温度ではなく、基板に実装されている抵抗の周囲の温度ということになります。

まとめ

この記事では抵抗のデータシートに記載されている『負荷軽減曲線』について、以下の内容を説明しました。

  • 負荷軽減曲線とは
  • 負荷軽減曲線の見方

お読み頂きありがとうございました。

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