ノートンの定理とは?分かりやすく説明します!

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この記事では『ノートンの定理』について

  • ノートンの定理とは
  • ノートンの定理を用いて電圧を求める手順

などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。

ノートンの定理とは

ノートンの定理とは

ノートンの定理は、電源(電圧源、電流源)を含む回路において、任意の場所の電圧を求めることができる定理です。

ノートンの定理を用いれば、上図に示すような「複数の電源で構成されている回路」を「電流源\(I_O\)とコンダクタンス\(G_O\)が並列接続されている等価回路」に変換することができます。この時、抵抗\(R\)にかかる電圧\(V\)は次式で求めることができます。

\begin{eqnarray}
V=\frac{I_O}{G_O+G}\tag{1}
\end{eqnarray}

上式において、\(G_O\)、\(I_O\)、\(G\)は以下の意味となっています。

ノートンの定理の公式

  • \(G_O\)
  • \(G_O\)は端子A-Bを開放した時の合成コンダクタンスです。合成コンダクタンス\(G_O\)を求める際には、電圧源は短絡し、電流源は開放させます。

  • \(I_O\)
  • \(I_O\)は端子A-Bを短絡した時に流れる短絡電流です。

  • \(G\)
  • \(G\)は抵抗\(R\)のコンダクタンスです。

では次に、実際の回路で抵抗\(R\)にかかる電圧\(V\)をノートンの定理を用いて求めてみましょう。

補足

  • ノートンの定理は「ノルトンの定理」、「マイヤー・ノートンの定理」、「等価電流源の定理」とも呼ばれています。
  • ノートンの定理は英語では「Norton's Theorem」と書きます。
  • ノートンの定理の「ノートン」はベル研究所(アメリカ合衆国にある研究所)で働いていた技術者「エドワード・ロウリー・ノートン(Edward Lawry Norton)」が由来です。

ノートンの定理を用いて電圧を求める手順

ノートンの定理を用いて電圧を求める手順

では実際に、上図に示している電圧源\(V_1\)、抵抗\(R_1\),\(R_2\),\(R\)で構成された回路において、抵抗\(R\)にかかる電圧\(V\)を求めてみましょう。

抵抗\(R\)にかかる電圧\(V\)は下記の手順(ステップ1~6)で求めることができます。

ノートンの定理を用いて電圧を求める手順

  1. 電圧を求めたい抵抗\(R\)の両端に端子Aと端子Bを割り当てる
  2. 端子A-B間を開放した時の合成コンダクタンス\(G_O\)を求める
  3. 端子A-B間を短絡した時に流れる短絡電流\(I_O\)を求める
  4. 抵抗\(R\)のコンダクタンス\(G\)を求める
  5. 電流源\(I_O\)と合成コンダクタンス\(G_O\)の等価回路に変換する
  6. ノートンの定理の公式に\(G_O\),\(I_O\),\(G\)を代入して、電圧\(V\)を求める

電圧を求めたい抵抗\(R\)の両端に端子Aと端子Bを割り当てる

ノートンの定理を用いて電圧を求める手順01

上図に示すように、抵抗\(R\)の両端に端子Aと端子Bを割り当てます。

端子A-B間を開放した時の合成コンダクタンス\(G_O\)を求める

ノートンの定理を用いて電圧を求める手順02

端子A-B間を開放した時の合成コンダクタンス\(G_O\)を求めます。合成コンダクタンス\(G_O\)を求める際には、電圧源は短絡し、電流源は開放させて求めます。

抵抗\(R_1\)のコンダクタンス\(G_1\)と抵抗\(R_2\)のコンダクタンス\(G_2\)は以下の値となります。

\begin{eqnarray}
G_1&=&\frac{1}{R_1}=\frac{1}{2}{\mathrm{[S]}}\tag{2}
\\
G_2&=&\frac{1}{R_2}=\frac{1}{4}{\mathrm{[S]}}\tag{3}
\end{eqnarray}

上図に示している回路の場合、電圧源を短絡させると、コンダクタンス\(G_1\)とコンダクタンス\(G_2\)が並列接続された回路となります。並列接続された回路の場合、合成コンダクタンス\(G_O\)は単純な足し算で計算することができるため、次式となります。

\begin{eqnarray}
G_O=G_1+G_2=\frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_2}=\frac{R_1+R_2}{R_1R_2}=\frac{2+4}{2×4}=\frac{3}{4}{\mathrm{[S]}}\tag{4}
\end{eqnarray}

コンダクタンスって何?

コンダクタンスとは抵抗の逆数です。

コンダクタンスについては、下記の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。

【コンダクタンスとは】『単位』や『計算方法』などのまとめ!
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『アドミタンス』と『コンダクタンス』と『サセプタンス』の違い!
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端子A-B間を短絡した時に流れる短絡電流\(I_O\)を求める

ノートンの定理を用いて電圧を求める手順03

端子A-B間を短絡した時に流れる短絡電流\(I_O\)を求めます。

端子A-B間を短絡すると、上図に示すような回路になります。短絡している端子A-B間は抵抗値が0Ωなので、「電圧源\(V_1\)→抵抗\(R_1\)」を通った電流は抵抗\(R_2\)には流れず、端子A-B間に流れます。

したがって、短絡電流\(I_O\)はオームの法則より次式で表されます。

\begin{eqnarray}
I_O=\frac{V_1}{R_1}=\frac{10}{2}=5{\mathrm{[A]}}\tag{5}
\end{eqnarray}

抵抗\(R\)のコンダクタンス\(G\)を求める

ノートンの定理を用いて電圧を求める手順04

コンダクタンスは抵抗の逆数なので、抵抗\(R\)のコンダクタンス\(G\)は次式で表されます。

\begin{eqnarray}
G&=&\frac{1}{R}=\frac{1}{4}{\mathrm{[S]}}\tag{6}
\end{eqnarray}

電流源\(I_O\)と合成コンダクタンス\(G_O\)の等価回路に変換する

ノートンの定理を用いて電圧を求める手順05

ステップ2~4で求めた合成コンダクタンス\(G_O\)、短絡電流\(I_O\)、コンダクタンス\(G\)を用いると、上図に示すような「電流源\(I_O\)とコンダクタンス\(G_O\)が並列接続されている等価回路」に変換することができ、複雑な回路をシンプルにすることができます。

補足

ノートンの定理を用いて変換した等価回路は「ノートンの等価回路」と呼ばれています。

ノートンの定理の公式に\(G_O\),\(I_O\),\(G\)を代入して、電圧\(V\)を求める

ノートンの定理を用いて電圧を求める手順06

「電流源\(I_O\)とコンダクタンス\(G_O\)が並列接続されている等価回路」より、抵抗\(R\)にかかる電圧\(V\)は次式で表されます。

\begin{eqnarray}
V=\frac{I_O}{G_O+G}\tag{7}
\end{eqnarray}

上式に、各値を代入すると、抵抗\(R\)にかかる電圧\(V\)は以下の値となります。

\begin{eqnarray}
V=\frac{I_O}{G_O+G}=\frac{5}{\displaystyle\frac{3}{4}+\displaystyle\frac{1}{4}}=5{\mathrm{[V]}}\tag{8}
\end{eqnarray}

なお、抵抗\(R\)に流れる電流\(I\)はオームの法則より以下の値となります。

\begin{eqnarray}
I=\frac{V}{R}=\frac{5}{4}=1.25{\mathrm{[V]}}\tag{9}
\end{eqnarray}

【関連記事】テブナンの定理

なお、抵抗\(R\)に流れる電流\(I\)は『テブナンの定理』でも求めることができます。

『テブナンの定理』については下記の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。

テブナンの定理とは?分かりやすく説明します!
テブナンの定理の例題
テブナンの定理の証明

まとめ

この記事では『ノートンの定理』について、以下の内容を説明しました。

  • ノートンの定理とは
  • ノートンの定理を用いて電圧を求める手順

お読み頂きありがとうございました。

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ノートンの定理を用いた例題』、『ノートンの定理の証明方法』については下記の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。

ノートンの定理を用いた例題
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