この記事ではテブナンの定理を用いた例題を解いています。
「そもそもテブナンの定理って何?」という方は以下の記事で詳しく説明していますので、ご参考になれば幸いです。
テブナンの定理とは?分かりやすく説明します!
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テブナンの定理の例題
テブナンの定理において、抵抗\(R\)に流れる電流\(I\)は下記の手順(ステップ1~5)で求めることができます。
テブナンの定理を用いて電圧を求める手順
- 流れる電流\(I\)を求めたい抵抗\(R\)の両端に端子Aと端子Bを割り当てる
- 端子A-B間を開放した時の合成抵抗\(R_O\)を求める
- 端子A-B間を開放した時の開放電圧\(V_O\)を求める
- 電圧源\(V_O\)と合成抵抗\(R_O\)の等価回路に変換する
- テブナンの定理の公式に\(R_O\),\(V_O\),\(R\)を代入して、電流\(I\)を求める
では実際に様々な例題で抵抗\(R\)に流れる電流\(I\)を求めてみましょう。
テブナンの定理の例題1
上図に示している回路において、抵抗\(R\)に流れる電流\(I\)は何\({\mathrm{A}}\)でしょうか。テブナンの定理を用いて計算してみましょう。
流れる電流\(I\)を求めたい抵抗\(R\)の両端に端子Aと端子Bを割り当てる
上図に示すように、流れる電流\(I\)を求めたい抵抗\(R\)の両端に端子Aと端子Bを割り当てます。
端子A-B間を開放した時の合成抵抗\(R_O\)を求める
端子A-B間を開放した時の合成抵抗\(R_O\)を求めます。合成抵抗\(R_O\)を求める際には、電圧源は短絡し、電流源は開放させて求めます。
上図に示している回路の場合、電圧源を短絡させると、抵抗\(R_1\)と抵抗\(R_2\)が並列接続された回路となります。並列接続された回路の場合、合成抵抗\(R_{12}\)の逆数\(\displaystyle\frac{1}{R_{12}}\)は「各々の抵抗の逆数の和」になるため、次式で表されます。
\begin{eqnarray}
\frac{1}{R_{12}}&=&\frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_2}\\
\\
{\Leftrightarrow}R_{12}&=&\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{R_1}+\displaystyle\frac{1}{R_2}}=\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{2}+\displaystyle\frac{1}{6}}=\frac{6}{3+1}=\frac{3}{2}{\mathrm{[{\Omega}]}}\tag{1-1}
\end{eqnarray}
また、合成抵抗\(R_{12}\)と抵抗\(R_3\)は直列接続されています。直列接続された回路の場合、合成抵抗\(R_O\)は単純な足し算で計算することができるため、以下の値となります。
\begin{eqnarray}
R_O=R_{12}+R_3=\frac{3}{2}+3=\frac{3}{2}+\frac{6}{2}=\frac{9}{2}{\mathrm{[{\Omega}]}}\tag{1-2}
\end{eqnarray}
端子A-B間を開放した時の開放電圧\(V_O\)を求める
端子A-B間を開放した時の開放電圧\(V_O\)を求めます。
端子A-B間を開放すると、上図に示すような回路になります。開放電圧\(V_O\)は電圧源\(V_1\)を抵抗\(R_1\)と抵抗\(R_2\)で分圧した値になるため、以下の値となります。
\begin{eqnarray}
V_O=\frac{R_2}{R_1+R_2}V_1=\frac{6}{2+6}×12=\frac{6}{8}×12=9{\mathrm{[V]}}\tag{1-3}
\end{eqnarray}
電圧源\(V_O\)と合成抵抗\(R_O\)の等価回路に変換する
ステップ2,3で求めた合成抵抗\(R_O\)と開放電圧\(V_O\)を用いると、上図に示すような「電圧源\(V_O\)と抵抗\(R_O\)が直列接続されている等価回路」に変換することができ、複雑な回路をシンプルにすることができます。
補足
テブナンの定理を用いて変換した等価回路は「テブナンの等価回路」や「等価電圧源表示」と呼ばれています。
テブナンの定理の公式に\(R_O\),\(V_O\),\(R\)を代入して、電流\(I\)を求める
「電圧源\(V_O\)と抵抗\(R_O\)の等価回路」より、抵抗\(R\)に流れる電流\(I\)は次式で表されます。
I=\frac{V_O}{R_O+R}\tag{1-4}
\end{eqnarray}
上式に、各値を代入すると、抵抗\(R\)にかかる電圧\(V\)は以下の値となります。
I=\frac{V_O}{R_O+R}=\frac{9}{\displaystyle\frac{9}{2}+\displaystyle\frac{3}{2}}=\frac{9}{\displaystyle\frac{12}{2}}=\frac{9}{6}=\frac{3}{2}=1.5{\mathrm{[A]}}\tag{1-5}
\end{eqnarray}
なお、抵抗\(R\)にかかる電圧\(V\)はオームの法則より以下の値となります。
\begin{eqnarray}
V=R×I=\frac{3}{2}×\frac{3}{2}=\frac{9}{4}=2.25{\mathrm{[V]}}\tag{1-6}
\end{eqnarray}
【関連記事】ノートンの定理
なお、抵抗\(R\)にかかる電圧\(V\)は『ノートンの定理』でも求めることができます。
『ノートンの定理』については下記の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。
テブナンの定理の例題2
上図に示している回路において、抵抗\(R\)に流れる電流\(I\)は何\({\mathrm{A}}\)でしょうか。テブナンの定理を用いて計算してみましょう。
流れる電流\(I\)を求めたい抵抗\(R\)の両端に端子Aと端子Bを割り当てる
上図に示すように、流れる電流\(I\)を求めたい抵抗\(R\)の両端に端子Aと端子Bを割り当てます。
端子A-B間を開放した時の合成抵抗\(R_O\)を求める
端子A-B間を開放した時の合成抵抗\(R_O\)を求めます。合成抵抗\(R_O\)を求める際には、電圧源は短絡し、電流源は開放させて求めます。
上図に示している回路の場合、電圧源は短絡し、電流源は開放させると、抵抗\(R_1\),\(R_2\),\(R_3\)が直列接続されています。直列接続された回路の場合、合成抵抗\(R_{123}\)は単純な足し算で計算することができるため、以下の値となります。
\begin{eqnarray}
R_{123}=R_1+R_2+R_3=4+8+8=20{\mathrm{[{\Omega}]}}\tag{2-1}
\end{eqnarray}
また、合成抵抗\(R_{123}\)と抵抗\(R_4\)は並列接続されています。並列接続された回路の場合、合成抵抗\(R_O\)の逆数\(\displaystyle\frac{1}{R_O}\)は「各々の抵抗の逆数の和」になるため、次式で表されます。
\begin{eqnarray}
\frac{1}{R_O}&=&\frac{1}{R_{123}}+\frac{1}{R_4}\\
\\
{\Leftrightarrow}R_O&=&\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{R_{123}}+\displaystyle\frac{1}{R_4}}=\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{20}+\displaystyle\frac{1}{5}}=\frac{20}{1+4}=4{\mathrm{[{\Omega}]}}\tag{2-2}
\end{eqnarray}
端子A-B間を開放した時の開放電圧\(V_O\)を求める
端子A-B間を開放した時の開放電圧\(V_O\)を求めます。
端子A-B間を開放すると、上図に示すような回路になります。電流\(i_1\)は電流源\(I_1\)と同じ値になるため、以下の値となります。
\begin{eqnarray}
i_1=I_1=2{\mathrm{[A]}}\tag{2-3}
\end{eqnarray}
「電流\(i_2\)のルート」でキルヒホッフの第二法則を用いると次式が成り立ちます。
\begin{eqnarray}
V_1&=&R_1(i_2-i_1)+R_2i_2+R_3i_2+R_4i_2\\
\\
{\Leftrightarrow}12&=&4(i_2-2)+8i_2+8i_2+5i_2\\
\\
{\Leftrightarrow}20&=&25i_2\\
\\
{\Leftrightarrow}i_2&=&\frac{20}{25}=\frac{4}{5}{\mathrm{[A]}}\tag{2-4}
\end{eqnarray}
開放電圧\(V_O\)は抵抗\(R_4\)にかかる電圧\(V_4\)と等しいので、以下の値となります。
\begin{eqnarray}
V_O=V_4=R_4×i_2=5×\frac{4}{5}=4{\mathrm{[V]}}\tag{2-5}
\end{eqnarray}
電圧源\(V_O\)と合成抵抗\(R_O\)の等価回路に変換する
ステップ2,3で求めた合成抵抗\(R_O\)と開放電圧\(V_O\)を用いると、上図に示すような「電圧源\(V_O\)と抵抗\(R_O\)が直列接続されている等価回路」に変換することができ、複雑な回路をシンプルにすることができます。
テブナンの定理の公式に\(R_O\),\(V_O\),\(R\)を代入して、電流\(I\)を求める
「電圧源\(V_O\)と抵抗\(R_O\)の等価回路」より、抵抗\(R\)に流れる電流\(I\)は次式で表されます。
I=\frac{V_O}{R_O+R}\tag{2-6}
\end{eqnarray}
上式に、各値を代入すると、抵抗\(R\)にかかる電圧\(V\)は以下の値となります。
I=\frac{V_O}{R_O+R}=\frac{4}{4+4}=\frac{1}{2}=0.5{\mathrm{[A]}}\tag{2-7}
\end{eqnarray}
なお、抵抗\(R\)にかかる電圧\(V\)はオームの法則より以下の値となります。
\begin{eqnarray}
V=R×I=4×0.5=2{\mathrm{[V]}}\tag{2-8}
\end{eqnarray}
まとめ
この記事では『テブナンの定理の例題』について、説明しました。
お読み頂きありがとうございました。
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