この記事では空間距離の算出に必要となる『主電源過渡電圧』について
- 『主電源過渡電圧』とは
- 『主電源過渡電圧』の値の決め方
などを図を用いて分かりやすく説明しています。
主電源過渡電圧とは?
主電源過渡電圧とは、コンセントから供給される交流主電源から電子機器に入力されると予想される最大ピーク電圧のことを指します。この主電源過渡電圧は空間距離の算出に必要となります。
主電源過渡電圧は、英語では『Mains Transient Voltage』と書きます。
なお、この主電源過渡電圧は「JIS C6950-1:2012 2.10.3.2 主電源過渡電圧」に記載されています。
交流主電源過渡電圧の値
交流主電源過渡電圧の値は過電圧カテゴリと交流主電源電圧の値に依存します。一般的には、交流主電源に接続する電子機器の空間距離は過電圧カテゴリIIで設計しなければならないため、上記の表において、過電圧カテゴリIIの箇所を参照します。例えば、(単相)AC230Vの交流主電源の場合には300Vの行を適用し、交流主電源過渡電圧は2500Vとなります。
また、日本では公称交流主電源電圧100Vに対する交流主電源過渡電圧の値は、100Vの行ではなく150Vの行を適用します。すなわち、交流主電源過渡電圧は1500Vとなります。
過電圧カテゴリについては以下の記事に記載してますので参照してください。 続きを見る
過電圧カテゴリ(設置カテゴリ)とは?CATって何?
補足
- 交流主電源過渡電圧は常に表内の値の1つとなります。補間してはいけません。例えば、交流主電源電圧が120Vの場合には、150Vの行を適用します。
- 三相3線式に接続する電子機器で、中性線がない場合、交流主電源電圧は相導体間電圧となります。
- 三相3線式に接続する電子機器で、中性線がある場合、交流主電源電圧は相導体~中性線間電圧となります。
- 設置時に、その設計過電圧カテゴリを超える過渡過電圧にさらされる恐れがある電子機器には、電子機器の外部に追加の保護を備えなければいけません。この場合、設置指示書にはそのような外部保護の必要性を記載しなければいけません。
交流主電源の過渡電圧に起因する二次回路の最大過渡電圧
交流主電源の過渡電圧に起因する二次回路とは
「JIS C6950-1:2012 2.10.3.6 交流主電源からの過渡電圧」によると以下の2つが交流主電源の過渡電圧に起因する二次回路となります。
- 交流主電源からの電源供給を受け、規定通りの主保護接地端子に接続した二次回路
- 交流主電源からの電源供給を受け、規定通りの主保護接地端子に接続した金属遮蔽物により一次回路から分離した二次回路
交流主電源の過渡電圧に起因する二次回路の最大過渡電圧の値
交流主電源の過渡電圧に起因する二次回路の最大過渡電圧は以下の2つのいずれかとなります。
- 「JIS C6950-1:2012 2.10.3.9 過渡電圧の測定」に従って測定した値
- 次にリストした値で、上表に基づく一次回路の主電源過渡電圧よりも一段低い値
ピーク電圧:330V、500V、800V、1500V、2500V、4000V
まとめ
この記事では『主電源過渡電圧』について、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- 交流主電源過渡電圧の値
- 交流主電源の過渡電圧に起因する二次回路の最大過渡電圧
お読み頂きありがとうございました。
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