過電圧カテゴリ(設置カテゴリ)とは?CATって何?

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AC電源に接続される電気機器の仕様書を見ると、過電圧カテゴリ(Overvoltage Category)という用語が出てきます。この過電圧カテゴリは設置カテゴリ(Installation Category)とも呼ばれています。

では、これから過電圧カテゴリについて説明します。

過電圧カテゴリとは

過電圧カテゴリ、設置カテゴリ、測定カテゴリ
私たちが一般的に使用している電気機器はAC電源から電力が供給されています。このAC電源は『雷サージ』や『容量性・誘導性負荷の開閉』などによって過渡的に過電圧が発生する可能性があります。そのため、AC電源に接続される電気機器はこの過渡的な過電圧に耐えられるような安全設計が必要となります。

そこで、電気機器に印加される過渡的な過電圧の最大値(ここでは最大過渡電圧とこれから呼びます)の大きさがどの程度かを予想し、カテゴリI〜IVの4つのカテゴリに分類したものが過電圧カテゴリとなります。過電圧カテゴリの各カテゴリはCAT I、CAT IIのように省略して表されます。

以下に各公称電圧に対して、過電圧カテゴリとその予想される最大過渡電圧の表を示します。過電圧カテゴリのローマ数字が大きくなるほど、外部の送電線に近くなり、大きな過電圧が印加されると予想されるため、最大過渡電圧が大きくなっています。また、同一カテゴリ内では、公称電圧が大きいほど、最大過渡電圧が大きくなります。

公称電圧
ライン対中性点間電圧
対地間電圧
[Vrms]
最大過渡電圧
[V]
CAT ICAT IICAT IIICAT IV
503305008001500
10050080015002500
150800150025004000
3001500250040006000
6002500400060008000
100040006000800012000

コンセントに接続する電源コード、電源コードに直接接続される電気機器の1次側はCAT IIのカテゴリになります(後に詳しくCAT I〜CAT IIについて説明します)。例えば、公称電圧が100Vrmsだとすると、上表より電気機器の1次側には800Vの最大過渡電圧が印加される可能性があるということになります。そのため、CAT IIの電気機器は800Vの最大過渡電圧に耐えられるように設計されています。言い換えると、過電圧カテゴリとは、電気機器が耐えることができるAC電源からの最大過渡電圧がどの程度かを表しています。

また、過電圧カテゴリは電気機器内の空間距離(空気による絶縁距離)を決定する要素となります(空間距離はこの過電圧カテゴリと汚損度によって決まります)。

CAT IIの電気機器にCAT IIIの電圧を印加した場合

公称電圧100Vrmsにおいて、CAT IIで設計された電気機器をCAT IIIの場所(例えば屋内配線)に接続すると、どのようなことが起きるでしょうか。

CAT IIIの場所は、先程示した表より1500Vの過渡的な過電圧が発生する可能性があります。

CAT IIで設計された電気機器は最大過渡電圧800Vを耐えられるように空間距離などが設計されています。そこで、この電気機器に1500Vの過渡的な電圧が印加されると、電気機器内部の空気による絶縁が破壊され、感電に至る可能性があります(過電圧カテゴリCAT IIとある汚損度で空間距離を設計したのにもかかわらず、過電圧カテゴリCAT IIを超える電圧が印加されてしまうため)。

CAT I〜CAT IVの概要と具体例

CAT I

コンセントからトランスなどを経由した電気機器内の2次側の回路がCAT Iのカテゴリになります。

CAT II

コンセントに接続する電源コード、この電源コードに直接接続される電気機器の1次側がCAT IIのカテゴリになります。具体例としては、家電機器、情報処理機器、小型の電気工具などがあります。

CAT III

分電盤から電力が直接供給される機器(固定機器)の電気配線この電気配線に直接接続される固定機器の1次側分電盤からコンセントの裏側の配線端子までの電路(屋内配線)がCAT IIIのカテゴリになります。具体例としては、固定設備内のスイッチ、固定設備に接続される産業用機器などがあります。

CAT IV

建造物への引き込み線引き込み口から電力量メータの電路電力量メータから一次過電流保護装置(分電盤)までの電路がCAT IVのカテゴリになります。

【補足】測定カテゴリについて

過電圧カテゴリ、設置カテゴリと同様な考え方で測定カテゴリ(Measurement Category)と呼ばれるものがあります。この測定カテゴリとは、計測・制御用電気機器の安全規格(IEC 61010-1、EN61010シリーズ、JIS C 1010シリーズ)で規定されているもので、測定端子に適用されるカテゴリとなります。予想される最大過渡電圧は過電圧カテゴリと全く同じです。

オシロスコープやデジタルマルチメータなどの測定端子付近をみると、CAT IやCAT IIと表示されています。CAT II規格に準拠した測定器はCAT I規格に準拠した測定器よりも高い過電圧に耐えられるということになります。

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