この記事では、以下の内容を図を用いて、分かりやすく説明しています。
- 下敷きを髪の毛に擦ると静電気が発生する理由
- 下敷きがマイナス、髪の毛がプラスになる理由
- 帯電列とは
下敷きを髪の毛に擦ると静電気が発生する理由
小学生のころ、下敷きを髪の毛に擦りつけて、髪の毛を立たせた事は、一度くらいはあるのではないでしょうか?
ではなぜ、髪の毛が立つのでしょうか?
これは、下敷きを髪の毛に擦りつけることによって、下敷きがマイナスの静電気を帯び、髪の毛がプラスの静電気を帯びるからです。
磁石のS極とN極が引き付け合うように、マイナスの静電気とプラスの静電気は引き付け合います。
そのため、髪の毛は下敷きに引き付けられて立つのです。
下敷きと髪の毛による静電気以外にも、冬の時期にはセーターを脱いだ時に「バチっ!」とくる現象がありますよね。これも同じで服同士や服と肌がこすれることで、静電気が発生しているのです。
このように、静電気は物体と物体が擦れあったり、接触したりすることによって発生します。
補足
- 静電気を帯びている状態を帯電といいます。上の例だと、下敷きはマイナスに帯電し、髪の毛はプラスに帯電していると言います。
下敷きがマイナス、髪の毛がプラスになる理由
先ほど、下敷きを髪の毛に擦りつけると、下敷きがマイナスの静電気を帯び、髪の毛がプラスの静電気を帯びると説明しました。
これはなぜでしょうか?
答えは、マイナスの電荷を持つ電子というものが移動しているからです。
少し詳しく説明します。
物体は細かく見ると、原子という非常に小さいもので構成されています。原子はプラスの電荷を持つ原子核とマイナスの電荷を持つ電子からできています。
下敷きを髪の毛に擦りつけると、マイナスの電荷を持つ電子が髪の毛から下敷きに移動しています。
その結果、下敷きがマイナスの静電気を帯び(プラスよりもマイナスの方が多いため)、髪の毛がプラスの静電気を帯びます。
プラスの静電気を帯びやすい物体かマイナスの静電気を帯びやすい物体かは、物体の種類によって決まります。この傾向をまとめたものが「帯電列」となっています。
帯電列
帯電列とは、プラスの静電気を帯びやすい物体を上位(左側)に、マイナスの静電気を帯びやすい物体を下位(右側)に並べた配列のことをいいます。
帯電列を見ることで、
- 帯電極性(プラスとマイナスのどちらに帯電するか)
- 帯電量の大きさ
が分かるようになります。
【帯電列の見方①】帯電極性の決定
下敷きは、一般的には、ポリ塩化ビニルという素材でできいます。
下敷き(ポリ塩化ビニル)は髪の毛(人毛)よりも右側にあります。
そのため、下敷きを髪の毛に擦りつけると、下敷きがマイナスの静電気を帯び、髪の毛がプラスの静電気を帯びます。
また、その他の例として、ガラス棒を絹布で擦った場合、絹はガラスよりも右側にあります。そのため、絹布がマイナスの静電気を帯び、ガラス棒がプラスの静電気を帯びるということになります。
【帯電列の見方②】帯電の大きさ
帯電列は帯電極性(プラスとマイナスのどちらに帯電するか)を示すではなく、帯電量の大きさも表します。
接触や摩擦があったとき、帯電列上で、近い位置にあるものは帯電量が小さく、遠い位置にあるものは帯電量が大きくなります。
そのため、
- ガラスにウールの布を擦りつけた場合
- ガラスに紙を擦りつけた場合
帯電列上でガラスとウールは近い位置にあるため、帯電量が小さい。
帯電列上でガラスと紙は遠い位置にあるため、帯電量が大きい。
となります。
身近な例だと、パジャマの素材が「木綿・麻・絹」のいずれかの場合、帯電列上で「木綿・麻・絹」は「人などの皮膚」と近い位置にあるため、帯電量が小さくなります(静電気が発生しにくくなります)。すなわち、肌に優しい素材ということになります。
一方、パジャマの素材が「ポリエステル」の場合、帯電列上で「ポリエステル」は「人などの皮膚」と遠い位置にあるため、帯電量が大きくなります(静電気が発生しやすくなります)。
補足
- 帯電列の並びの順番は絶対的なものではありません。条件(物質の表面の粗さや吸湿性など)によって変わります。そのため、帯電列における細かい順番はネットやサイトによって異なっています。
- 帯電列は英語では「Triboelectric Series」と書きます。
まとめ
この記事では帯電列について、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- 下敷きを髪の毛に擦ると静電気が発生する理由
- 下敷きがマイナス、髪の毛がプラスになる理由
- 帯電列とは
お読み頂きありがとうございました。
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