【導体と絶縁体の違い】特徴・物質例・静電気対策など!

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この記事では導体絶縁体について

  • 導体絶縁体違い

などを図を用いて分かりやすく説明しています。

『導体』と『絶縁体』の違い

『導体』と『絶縁体』の違い

後ほど詳しく説明しますが、最初に導体絶縁体の違いについて説明します。

導体絶縁体の違いは下記のようになっています。

  • 導体
  • 電気を通しやすい物質です。金、銅、アルミニウムなどが導体となります。

  • 絶縁体
  • 電気を通しにくい物質です。ガラスやゴムなどが絶縁体となります。

上記のように、電気を通しやすさにより、導体絶縁体が分類されています。電気の通しやすさは自由電子の数によって異なります。自由電子が多いほど電気を通しやすく、自由電子が少ないほど電気を通しにくくなります。

ではこれから導体絶縁体について詳しく説明していきます!

導体

導体

導体は、自由電子が多く、電気を通しやすい物質です。

少し詳しく説明します。ここからは少しミクロな世界の話になります。

物質を細かく見ると、原子で構成されています。原子原子核電子からできています。

導体は原子核電子の結合が弱いため、電子原子から離れてしまうことがあります。

原子から離れた電子は自由に動き回れることができるようになります。この電子は『自由電子』と呼ばれています。自由電子マイナスの電荷を持っています。自由電子が抜けた原子プラスの電荷を持った陽イオンとなります。

この自由電子が電気を通しているのです。

金属などの導体は、原子が規則正しく配列されており、自由電子が多くある物質となっています。

ではここで、導体に電圧を印加した時にどうなるのかを考えてみましょう。

導体に電圧を印加した時

導体に電圧を印加した時

上図に示すように、導体の左側にプラス、右側にマイナスの電圧を印加しています。マイナスである自由電子は、磁石のS極とN極が引き付けあうように、プラスの方に引き付けられます。この自由電子の流れが電気の流れとなっています。なお、自由電子電流の向きは逆のため、電流右方向に流れます。

導体の物質例

導体には『金、銀、銅、鉄、アルミニウムなどの金属』や『電解液(イオン溶液)』や『黒鉛(炭素)』などがあります。また、『水道水』や『人体』も導体に分類できます。

導体の用途

導体は電気抵抗が小さい(伝導率が高い)ほど、電気を通しやすい物質となります。

銅は、伝導率が高く、加工が容易でコストも安いという特徴があります。そのため、大電流を流す電力ケーブルのほとんどは銅が用いられています。例えば、家庭の屋内配線テレビ等の家電製品の内部配線電源コードなどのケーブルプリント基板の導電部分には銅が用いられています。

アルミニウムは、銅よりも伝導率が低いため、大電流を流すことはできないが、銅よりも軽量なので、長距離を敷設する送電線に用いられています。送電線は数百メートルの鉄塔間を敷設するため、導体としての性能のほか、軽量で強度が高いことも重要視されます。

金は銅よりも伝導率が低く、コストが高くなっています。しかし、金は酸化がしずらく、金箔のように薄くすることができるという特徴があるため、半導体のチップと基板を接続するボンディングワイヤに用いられることがあります。

銀は、銅やアルミニウムよりも伝導率がかなり高いという特徴がありますが、コストが高いため、ケーブルの材料としては用いられません。

鉄は銅やアルミニウムよりも伝導率が低いため、ケーブルの材料としては用いられません。

補足

  • 導体は英語では「Conductor」と書きます。
  • 導体は導電体電気伝導体とも呼ばれています。
  • 自由電子は電気伝導を担うという意味で 「伝導電子(Conduction Electron)」とも呼ばれることもあります.

絶縁体

絶縁体

絶縁体は、自由電子が少なく、電気を通しにくい物質です。

少し詳しく説明します。

絶縁体は導体と異なり、原子核電子の結合が強いため、電子原子核から離れていくことはありません。つまり、自由電子がないということです。そのため、電子が動くことができるのは、原子核の周りのみとなります。

ではここで、絶縁体に電圧を印加した時にどうなるのかを考えてみましょう。

絶縁体に電圧を印加した時

絶縁体に電圧を印加した時

上図に示すように、絶縁体の左側にプラス、右側にマイナスの電圧を印加しています。マイナスである電子はプラスの方に引き付けられますが、絶縁体の電子は自由に移動できず、原子核から離れていくことができないため、上図に示すように、電子原子核がきれいに並ぶだけです。

このように、電子が自由に動けないため、絶縁体では電気が流れません。

絶縁体の物質例

絶単体には、『ゴム』、『ガラス』、『プラスチック』、『セラミック』、『磁器』、『』、『木綿』、『絶縁油』、『合成樹脂』、『』などがあります。

絶縁体の用途

絶縁体の用途

電源コードにはゴム製や樹脂製の絶縁体を被膜しています。このように絶縁体で保護することによって、導体部分の露出を無くし、感電事故が発生しないようにしています。また、変圧器では絶縁油で短絡を防いでいます。

補足

  • 絶縁体は英語では「Insulator」と書きます。
  • 絶縁体は導体に対して、不導体不良導体とも呼ばれています。

水は『導体』か『絶縁体』か?

水は一般的に電気を通す導体として分類されています。

しかし、不純物を含まない純水と呼ばれるものは絶縁体となります。

また、半導体などの電子部品や液晶パネルに使うガラスなどの製造過程においては、少しでも不純物が残っていると、製品の品質に大きな影響があります。そのため、純水をさらに高めた超純水というものが使われています。 

空気は『導体』か『絶縁体』か?

空気は電気を通さない絶縁体に分類されています。

そのため、最も簡単な絶縁方法は、『導体同士を離して空気で絶縁する方法』になります。

なお、電気を通さない空気等の絶縁体でも非常に高い電圧が加わると、絶縁が破壊され、絶縁性能を失い、電気が流れてしまいます。

例えば、は空気中に高い電圧が加わることで、空気の絶縁が破壊され、雲と地表との間で電気が流れているのです。

同様に、静電気は空気中に高い電圧が加わることで、空気の絶縁が破壊され、人体や物体との間で電気が流れています。

『絶縁体』と『誘電体』の違い

絶縁体誘電体は全く同じものです。

絶縁性に着目してその機能を利用しようとするとき絶縁体と呼び、誘電性に着目してその機能を利用しようとするときは誘電体と呼んでいます。

補足

  • 誘電体は英語では「Dielectric」と書きます。

『導体』と『絶縁体』の静電気

『導体』と『絶縁体』の静電気

導体は電気を通すため、均一に帯電する特徴があります。そのため、プラス帯電かマイナス帯電のどちらかの帯電となります。

この導体は、接地する(アースをとる)ことによって、静電気をアースに逃がすことができます。

一方、絶縁体は電気を通さないため、均一に帯電しません。そのため、場所によって帯電具合が変わります。また、同じものでもプラス帯電とマイナス帯電が混在する可能性もあります。

絶縁体は電気を通さないので、接地しても静電気を逃がすことはできません。イオナイザの設置等を行う必要があります。

まとめ

この記事では導体絶縁体について、以下の内容を説明しました。

当記事のまとめ

  • 『導体』と『絶縁体』の違い
  • 導体の特徴・物質例・用途
  • 導体に電圧を印加した時の挙動
  • 絶縁体の特徴・物質例・用途
  • 絶縁体に電圧を印加した時の挙動
  • 水は『導体』か『絶縁体』か?
  • 空気は『導体』か『絶縁体』か?
  • 『絶縁体』と『誘電体』の違い
  • 『絶縁体』と『誘電体』の静電気

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