この記事では、トライアックの動作原理について等価回路を用いて詳しく説明します。
まず最初に、トライアックの『構造』から・・・
トライアックは上図の右のような構造をしており、P型半導体とN型半導体が組み合わさった構造をしています。
トライアックは、動作の原理的には2つのサイリスタを逆並列に接続して、双方向に流せるようにしたものになります。
上図の「サイリスタを逆並列にした時の構造」において、
- MT2からMT1に電流が流れる時
- MT1からMT2に電流が流れる時
左側の赤色のサイリスタが導通し、P→N→P→Nの順番で流れます。この左側の赤色のサイリスタはトライアックでは、赤色の箇所に相当しており、MT2からMT1に電流が流れる時、上から下へP1→N1→P2→N2と流れます。
右側の青色のサイリスタが導通し、P→N→P→Nの順番で流れます。この右側の青色のサイリスタはトライアックでは、青色の箇所に相当しており、MT1からMT2に電流が流れる時、下から上へP2→N1→P1→N3と流れます。
トライアックの動作モードと動作原理
トライアックは双方向に電流を流せる素子であり、MT1端子を基準として、MT2端子とゲート端子の電圧の正負によって、4つの動作モードがあります。
- 第1象限
- 第2象限
- 第3象限
- 第4象限
MT1に対して、 MT2がプラス、ゲートがプラス
MT1に対して、 MT2がプラス、ゲートがマイナス
MT1に対して、 MT2がマイナス、ゲートがマイナス
MT1に対して、 MT2がマイナス、ゲートがプラス
ではこれから、各象限における動作原理を説明します。
なお、象限について以下の記事に詳しく記載していますので参考にしてください。
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第1象限(MT2がプラス、ゲートがプラス)
MT1に対してゲート端子にプラスの電圧を印加すると、ゲート電流は
と流れます。
このゲート電流が左側のサイリスタのNPNトランジスタのベースに流れることによってNPNトランジスタがオンして主電流1が流れます。この主電流1は
と流れます。
この主電流1が左側のサイリスタのPNPトランジスタのベースに流れることによって、PNPトランジスタがオンして主電流2が流れます。この主電流2は
と流れます。
その結果、トライアックがオン状態となります。
第2象限(MT2がプラス、ゲートがマイナス)
MT1に対してゲート端子にマイナスの電圧を印加すると、ゲート電流は
と流れます。
このゲート電流がトライアックのゲート部にあるNPNトランジスタがオンして、サブ電流が流れます。このサブ電流は
と流れます。
このサブ電流が左側のサイリスタのPNPトランジスタのベースに流れることによってPNPトランジスタがオンして、主電流2が流れます。この主電流2は
と流れます。
この主電流2が左側のサイリスタのNPNトランジスタのベースに流れることによって、NPNトランジスタがオンして主電流1が流れます。この主電流1は
と流れます。
その結果、トライアックがオン状態となります。
第3象限(MT2がマイナス、ゲートがマイナス)
MT1に対してゲート端子にマイナスの電圧を印加すると、ゲート電流は
と流れます。
このゲート電流がトライアックのゲート部にあるNPNトランジスタがオンして、サブ電流が流れます。このサブ電流は
と流れます。
このサブ電流が右側のサイリスタのPNPトランジスタのベースに流れることによってPNPトランジスタがオンして、主電流1が流れます。この主電流1は
と流れます。
この主電流1が右側のサイリスタのNPNトランジスタのベースに流れることによって、NPNトランジスタがオンして主電流2が流れます。この主電流2は
と流れます。
その結果、トライアックがオン状態となります。
第4象限(MT2がマイナス、ゲートがプラス)
MT1に対してゲート端子にプラスの電圧を印加すると、ゲート電流は
と流れます。
このゲート電流が左側のサイリスタのNPNトランジスタのベースに流れることによってNPNトランジスタがオンして、 サブ電流1が流れます。このサブ電流1は
と流れます。
このサブ電流1がトライアックのゲート部にあるPNPトランジスタがオンして、サブ電流2が流れます。このサブ電流2は
と流れます。
このサブ電流2が右側のサイリスタのNPNトランジスタのベースに流れることによってNPNトランジスタがオンして、主電流2が流れます。この主電流2は
と流れます。
この主電流2が右側のサイリスタのPNPトランジスタのベースに流れることによって、 PNPトランジスタがオンして主電流1が流れます。この主電流1は
と流れます。
その結果、トライアックがオン状態となります。
この第4象限では、右側のサイリスタをオンするために、左側のサイリスタ内のNPNトランジスタとトライアックのゲート部にあるPNPトランジスタの2つのトランジスタをオンする必要があります(第2象限と第3象限ではサイリスタをオンするために、1つのトランジスタがオンするだけで大丈夫です)。
まとめ
この記事ではトライアックの『動作原理』について、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- トライアックの等価回路による『動作原理』について
お読み頂きありがとうございました。
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