トランジスタの『2次降伏』とは?

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トランジスタには2次降伏という現象があります。今回はこの現象について説明します。

トランジスタの2次降伏とは?

トランジスタの2次降伏とは
トランジスタのコレクタエミッタ間電圧VCEを増加させると、ある時点で急激にコレクタ電流ICが増加する現象が生じます(この現象を1次降伏と呼びます)。

1次降伏後、さらにコレクタエミッタ間電圧VCEを増加させると、ある地点から急激にコレクタエミッタ間電圧VCEが低下し、低インピーダンスの領域となります。低インピーダンスとなることで、コレクタ電流ICが急増します。このコレクタエミッタ間電圧VCEが急激に下がり、コレクタ電流ICが急増する現象を2次降伏と呼びます。

低インピーダンスの領域になると、コレクタエミッタ間電圧VCEを下げても、トランジスタの機能は完全に復帰せず、半故障状態となります。半故障状態では、特性が劣化してしまい、正常にトランジスタを使用することができなくなります。

2次降伏は英語では『Secondary Breakdown』と呼ばれているので、頭文字をとって、『S/B』と略して表記されることが多いです。

2次降伏が生じる電圧はベース電流によって変わる

2次降伏が生じる電圧はベース電流によって変わる
ベース電流が大きいほど、低いコレクタエミッタ間電圧で2次降伏が生じます(図の赤い点線です)。

これは、ベース電流IBが大きいほど、1次降伏が生じるコレクタエミッタ間電圧VCEが低くなるからです。1次降伏が生じることでコレクタ電流がIC増加し、2次降伏が生じる線にぶつかります。

図より、ベースエミッタ間電圧を逆バイアスにした時が、2次降伏が生じるコレクタエミッタ間電圧VCEが一番高くなります。

2次降伏の原理

トランジスタは複数のチップが並列接続されて構成されています。

コレクタエミッタ間電圧を増加すると、1次降伏によってコレクタ電流が増大します。

この増大したコレクタ電流は、トランジスタの一部のチップに集中します。

一部のチップに電流が集中することで、そのチップ部分が発熱し、チップの温度が上昇します(この部分をホットスポットと呼びます)。

トランジスタは温度が上昇するとインピーダンスが低下する特徴があります。そのため、このホットスポットのインピーダンスが低下します。すると、コレクタ電流が増加し、発熱します。この発熱によってさらにインピーダンスが低下し、コレクタ電流が増加し、発熱します。この『発熱→インピーダンス低下→電流増大→発熱→ンピーダンス低下→・・・』となるサイクルは熱暴走と呼ばれ、この熱暴走によってトランジスタが破壊します。

低インピーダンスの領域になる時間は数usなので、トランジスタは2次降伏が生じると瞬時に破壊します。

MOSFETでも2次降伏が生じます

今まで、2次降伏の現象は、バイポーラトランジスタなどのバイポーラ素子しか考慮されてきませんでした。これはバイポーラトランジスタにおいて二次降伏が生じる電圧がSOAの領域と近かったからです。しかし、近年、MOSFETはオン抵抗の低減のために微細化を行っています。このMOSFETの微細化によって2次降伏が生じる電圧が低下し、SOAの領域に近くなりました。そのため、MOSFETでも2次降伏を考慮するようになりました。

*SOAについては
MOSFETの『SOA(安全動作領域)』とは?かなり詳しく説明します!
を参考にしてください。

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