この記事では『はんだボール』について
- はんだボールとは
- はんだボールの『原因』と『対策』
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
はんだボールとは
はんだボールとは、その名の通り、はんだがボール状になっている塊のことを指します。リフローの温度設定が悪かったり、クリームはんだ(ソルダーペースト)を塗りすぎたりしている場合に発生するはんだ不良です。
はんだボールはフローでもリフローでも発生しますが、主にリフロー時において、チップ部品の横にはんだボールが発生する場合が多いです。
はんだボールが基板上にある場合、振動等何かの拍子で転がり、ICなどのピッチが狭い部品に入り込むと、パターンが短絡してしまう可能性があります。パターンが短絡している状態で基板を動作させると、意図しない経路で電流が流れてしまうため、部品が焼損する可能性があります。
補足
- 基板検査時は正常でも、疑似接触状態であるはんだボールが市場で完全接触してしまい、基板が不良になる場合があります。さらに、不良基板を解析するために、不良基板を返却していただく過程ではんだボールが取れ、社内で検査すると良品となってしまった・・・という場合もあります。このように、はんだボールは不具合が再現しない場合があるので、解析が厄介な不良となっています。
はんだボールの原因
下記にはんだボールが発生する原因をいくつか紹介します。
- リフロー条件が悪い
- クリームはんだが過多
- マウンタによる部品実装時において、部品の押し付けが強い
- 印刷ズレ
- パット設計やメタルマスクの開口が不適切
- 基板が吸湿している
- フラックスの活性力不足
- 酸化した部品を使用している
- はんだ付け時にフラックスが急激に加熱される
- はんだ付け作業中にはんだがコテ先から脱落している
→温度プロファイル(はんだ付け時の温度や時間の条件)が悪いと、はんだボールが発生する可能性があります。
→クリームはんだの量が多いと、リフロー時に溶融したはんだがパットの周辺部に押し出され、はんだボールが発生する可能性があります。
→部品実装時の押し付けが強いと、クリームはんだを潰し、はんだが横に広がります。その結果、はんだがパットからはみ出してしまいます。この状態ではんだが溶融すると、実装された部品が邪魔して、溶融したはんだはパットに戻ることができません。そして、そのままはんだが凝固すると、はんだボールになる可能性があります。
→印刷のズレで、クリームはんだがパットからはみ出ると、はんだボールが発生する可能性があります。
→パット設計やメタルマスクの開口が不適切であり、クリームはんだがパットからはみ出ると、はんだボールが発生する可能性があります。
→基板が吸湿していると、はんだボールが発生しやすくなります。
→フラックスの活性力が不足していると、パット周辺部のはんだを凝縮させることができず、はんだボールとなります。
→酸化した部品を使用していると、はんだボールが発生しやすくなります。
→手作業でのはんだ付け時、はんだごての温度が高すぎる場合、はんだ内のフラックスが急激に加熱されることにより、水蒸気爆発のようにはんだが飛散することがあります。飛散したはんだが凝固すると、はんだボールになる可能性があります。
はんだボールの対策
下記にはんだボールの対策をいくつか紹介します。
- リフロー時はゆっくりとした温度プロファイルで生産する
- クリームはんだの量を少なくする
- 実装時において、部品の押し付けを軽くする
- メタルマスクの開口を調整する
→温度勾配をできるだけ滑らかな曲線にします。
→クリームはんだを薄く印刷する等ではんだ量を調整します。
まとめ
この記事では『はんだボール』について、以下の内容を説明しました。
- はんだボールとは
- はんだボールの『原因』と『対策』
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