近接効果とは?『原理』や『表皮効果との違い』について

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この記事では『近接効果』について

  • 近接効果とは
  • 近接効果と表皮効果の違い
  • 近接効果の原理

などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。

近接効果とは

近接効果とは

近接効果とは、近接して平行に並んでいる2本の導線に電流が流れている時、導線内部の電流密度が、それぞれの電流の向きが同一方向の場合には、他方の導線から離れている方が濃くなり、それぞれの電流の向きが反対方向の場合には、他方の導線から近い方が濃くなる現象です。

上図の導線Aと導線Bを用いて、もう少し詳しく説明します。

電流の向きが同一方向の時

上図の左側に示している図は導線Aと導線Bに流れている電流の向きが同一方向の時です。この時、導線Aと導線Bの電流密度は、他方の導線から離れている方が濃くなります。すなわち、互いの電線が反発するような電流密度の分布となります。

電流の向きが反対方向の時

上図の右側に示している図は導線Aと導線Bに流れている電流の向きが反対方向の時です。この時、導線Aと導線Bの電流密度は、他方の導線から近い方が濃くなります。すなわち、互いの電線が引き寄せるような電流密度の分布となります。

このように、近接効果によって、電流密度に偏りが生じるのです。

近接効果と表皮効果の違い

近接効果と似たような現象に「表皮効果」というものがあります。表皮効果とは、導線に交流電流が流れている時、導線の表面に電流が集中し、導線の表面から離れるほど(導線の中心部に近づくほど)、電流が流れにくくなる現象です。

表皮効果』については下記の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。

補足

  • 近接効果は英語では「Proximity Effect」と書きます。
  • 近接効果は流れる電流の周波数が高いほど顕著になります。

近接効果の原理

近接効果の原理

一例として、導線Aと導線Bに流れている電流の向きが同一方向の時を考えてみましょう。

導線Aに電流iAが流れている時、アンペールの法則によって、導線Aの周囲には磁界(磁場)Hが発生します。この時、磁界Hの向きは右手の法則(右ねじの法則)によって決まります。この導線Aが作り出した磁界Hが導線Bを貫きます。

導線Bに磁界Hが貫くと、「レンツの法則」より、その磁界Hの変化を妨げる方向に渦電流iEが発生します。渦電流iEの向きも右手の法則(右ねじの法則)によって決まります。

ここで、導線Bに注目して、「渦電流iE」と「導線Bに流れている電流iB」の向きを比較してみましょう。他方の導線(導線A)から離れている方では、渦電流iE電流iBの向きが同じです。一方、他方の導線(導線A)から近い方では、渦電流iE電流iBの向きが反対になります。

そのため、導線Bの電流密度は、他方の導線(導線A)から離れている方が濃くなるのです。導線Bに流れる電流iBが導線Aに及ぼす作用も同様に考えることができます。

あわせて読みたい

アンペールの法則』と『右手の法則』と『レンツの法則』については下記の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。

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上記の説明では、導線Aと導線Bに流れている電流の向きが同一方向の時を考えました。導線Aと導線Bに流れる電流の向きが反対方向の時でも、同様の考え方で近接効果の原理が分かります。

まとめ

この記事では『近接効果』について、以下の内容を説明しました。

  • 近接効果とは
  • 近接効果と表皮効果の違い
  • 近接効果の原理

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