絶縁型コンバータではフォトカプラと電流制限抵抗とツェナーダイオードを用いた過電圧保護回路が一般的です。この記事ではこの過電圧保護回路の設計方法について説明します。
フォトカプラを用いた『過電圧保護回路』の設計方法
フォトカプラを用いた『過電圧保護回路』は以下のようにフォトカプラPCと抵抗RとツェナーダイオードDZで構成されています。ここで、抵抗Rは過電圧保護回路が動作し、ツェナーダイオードが導通してから電源が停止するまでの間、フォトカプラPCに流れる電流を制限するための抵抗です。
例えば、出力電圧VOUTが12Vのコンバータにおいて、出力電圧VOUTの1.3倍で過電圧保護を動作させるように設計してみます。
過電圧保護電圧VOVPは
\begin{eqnarray}
V_{OVP}=V_{OUT}×1.3=15.6\mathrm{[V]}
\end{eqnarray}
となります。
ここで、フォトカプラのダイオード電圧VPCを1Vとすると、
\begin{eqnarray}
過電圧保護電圧V_{OVP}&=&ツェナー電圧 V_{DZ}+フォトカプラPCのダイオード電圧V_{PC}\\
⇔ツェナー電圧 V_{DZ}&=&過電圧保護電圧V_{OVP} -フォトカプラPCのダイオード電圧V_{PC}\\
&=&15.6-1\\
&=&14.6\mathrm{[V]}
\end{eqnarray}
となるため、ツェナー電圧VDZが14.6Vに近いものを選定します。
補足
- 過電圧保護回路に用いるフォトカプラは制御に用いるフォトカプラと同じものを用いるのが多いので、誤挿入を防止するためにできるだけ同じ種類のフォトカプラを使用することをオススメします。
- 過電圧保護が動作まで遅延時間があります。そのため、過電圧保護電圧VOVPで過電圧保護回路が動作しても実際は遅延時間によってもう少し電圧が上がります。したがって、遅延時間によって電圧が上がった時における電圧VMAXにおいて、ツェナーダイオードDZの定格電力を超えないように抵抗Rを選定してください。
まとめ
この記事では海外の『過電圧保護回路』について、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- フォトカプラを用いた『過電圧保護回路』の設計方法
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