『難燃グレード』とは?各等級(HBやV-0など)や試験について詳しく説明!

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この記事では『難燃グレード』について

  • 『難燃グレード』とは
  • 各等級の試験方法と判定基準について

などを図を用いて分かりやすく説明しています。

難燃グレードとは

難燃グレードとは
難燃グレードとは、装置や機器のプラスチック材料について、燃えにくさの度合いを表すもので、UL94規格で定められているのが一般的です。

UL94規格に基づく一般的な材料の難燃性の等級は

(優) 5VA>5VB>V-0>V-1>V-2>HB (劣)

となっており、5VAが最も難燃性に優れており、HBが最も難燃性に劣っています(HBは燃えやすいということ)

この等級は、規定された大きさの試験片に対して炎を当てた時の試験片の燃焼速度燃焼時間火玉の落下などについて評価を行うことによって決まります。

後ほど各等級について詳しく説明しますが、5VA~V-2は自己消火性を持つため、燃焼する速さは各等級によって異なりますが、火元が離れれば消えます。5VA~V-0の中で5VA~V-1は火玉の滴下がありませんが、V-2は火玉が滴下します。HBは自己消火性を持たないため、一回着火したら最後まで燃えます。

補足

  • 等級が『HB』の場合、『UL94 HB』や『94 HB』、または単に『HB』のように呼ばれます。
  • UL94規格とは、UL(Underwriters Laboratories Inc.:アメリカ保険業者安全試験所)が認定する「装置および機器のプラスチック材料の燃焼試験規格」です。
  • 難燃グレードは英語では『Flame retardant grade』と書きます。

各等級の試験方法・判定基準・等級について

HB

【難燃グレード】『HB』の試験方法

試験方法

試験方法

  1. 長さ125±5mm、幅13.0±0.5mmの試験片の片側から25±1mm100±1mmのところに標線をつけた後、試験片を片端で固定して水平に保持する。
  2. 保持していない自由な端に対して、長さ20mmの青色炎を30秒間接炎させる。
  3. 炎を離した後に試験片が燃焼を続けた場合、標線間75mmの燃焼速度を測定する。

この試験のことを『水平燃焼試験』と呼ばれています。

判定基準

HBの判定基準

  • 厚さが3.05mm以上の試験片については燃焼速度が毎分38.1mmを超えない。
  • 厚さが3.05mm以下の試験片については燃焼速度が毎分76.2mmを超ない
  • あるいは、炎が試験片の端から102mm の点に達する前に燃焼が止まる。

V-2・V-1・V-0

【難燃グレード】『V-2・V-1・V-0』の試験方法
【難燃グレード】『V-2・V-1・V-0』の試験方法02
V-2・V-1・V-0の試験方法は3種類とも共通ですが、判定基準が異なります。

試験方法

試験方法

  1. 長さ125±5mm、幅13.0±0.5mmの試験片をクランプに取り付け、垂直に保持する。
  2. 垂直に保持した試験片の下端に対して、長さ20mmの炎を10秒間接炎させる。
  3. 燃焼が30秒以内に消火した場合、直ちに10秒間再び接炎させる。

上記の試験における燃焼の挙動によってV-2・V-1・V-0の判定を行います。この試験のことを『垂直燃焼試験』と呼ばれています。

判定基準

まとめると下表のようになります。
【難燃グレード】『V-2・V-1・V-0』の判定

V-2

V-2の判定基準

  • いずれの接炎の後も、30秒以上燃焼を続ける試験片がない。
  • 2回目の接炎の後、60秒以上赤熱を続ける試験片がない。
  • 300mm下方に置かれたガーゼを着火させる粒子の落下が許容される
  • 5個の試験片に対する10回の接炎に対する総燃焼時間が250秒を超えない。
  • 固定用クランプの位置まで燃焼する試験片がない。

V-1

V-1の判定基準

  • いずれの接炎の後も、30秒以上燃焼を続ける試験片がない。
  • 2回目の接炎の後、60秒以上赤熱を続ける試験片がない。
  • 300mm下方に置かれたガーゼを着火させる粒子の落下が許容されない
  • 5個の試験片に対する10回の接炎に対する総燃焼時間が250秒を超えない。
  • 固定用クランプの位置まで燃焼する試験片がない。

V-0

V-0の判定基準

  • いずれの接炎の後も、10秒以上燃焼を続ける試験片がない。
  • 2回目の接炎の後、30秒以上赤熱を続ける試験片がない。
  • 300mm下方に置かれたガーゼを着火させる粒子の落下が許容されない
  • 5個の試験片に対する10回の接炎に対する総燃焼時間が50秒を超えない。
  • 固定用クランプの位置まで燃焼する試験片がない。

5VA・5VB

【難燃グレード】『5VA・5VB』の試験方法

試験方法

試験方法

  1. 長さ125±5mm、幅13.0±0.5mmの試験片をクランプに取り付け、垂直に保持する。
  2. 垂直に保持した試験片の下端に対して、長さ125mmの炎(青色内炎の高さを38mm)を5秒間接炎させ、5秒離す操作を5回繰り返す。
  3. 5回目に試験炎を取り去る。

上記の試験における燃焼の挙動によって5VAと5VB(5Vレベル)を満たすかの判定を行います。そして、5VAと5VBの判定は平板試験片(150±5mm×150±5mm)を用いて以下のように行います。

  1. 平板試験片(150±5mm×150±5mm)を水平に保持する。
  2. 水平に保持した試験片の下方に対して、長さ125mmの炎を5秒間接炎させ、5秒離す操作を5回繰り返す。

これら試験のことも『垂直燃焼試験』と呼ばれています。

判定基準

5VA

5VAの判定基準

  • 最後の接炎の後、60秒以上燃焼を続ける試験片がない。
  • 試験片の下方に置かれた脱脂棉を発火させる粒子を落下させる試験片がない。
  • 平板試験片に穴が開かない

5VB

5VBの判定基準

  • 最後の接炎の後、60秒以上燃焼を続ける試験片がない。
  • 試験片の下方に置かれた脱脂棉を発火させる粒子を落下させる試験片がない。
  • 平板試験片に穴が開いても良い

まとめ

この記事では海外の『難燃グレード』について、以下の内容を説明しました。

当記事のまとめ

  • 難燃グレードとは?
  • 各等級の試験方法と判定基準について

お読み頂きありがとうございました。

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