この記事では『片切りスイッチ』と『両切りスイッチ』について
- 『片切りスイッチ』と『両切りスイッチ』の違い
- 『片切りスイッチ』とは
- 『両切りスイッチ』とは
などを図を用いて分かりやすく説明しています。
『片切りスイッチ』と『両切りスイッチ』の違い
各スイッチのイメージは上図のような感じです。
- 片切りスイッチ
- 両切りスイッチ
ライブ(L)の線とニュートラル(N)の線の片方をON/OFFするスイッチです。低コストというメリットがありますが、接続方法によっては漏れ電流が流れてしまう可能性があります。
ライブ(L)の線とニュートラル(N)の線の両方をON/OFFするスイッチです。漏れ電流が流れないため、安全面ではメリットがありますが、コストが高くなっています。
では、これから各スイッチについて詳しく説明します。
片切りスイッチ
片切りスイッチとは、ライブ(L)の線とニュートラル(N)の線の片方をON/OFFするスイッチです。
スイッチは接地されていない相に接続します。日本の場合、ニュートラル(N)が接地されているので、ライブ(L)の方にスイッチを接続します。
スイッチがOFFの場合、負荷(電球や電源)には電気を供給しません。スイッチをONすると、負荷に電気が供給されます。
身近な例だと、照明や換気扇のスイッチは片切りスイッチとなっています。
メリット
- 部品が安い
- 小型
- 配線の手間が少ない
デメリット
- 日本の家庭用のような商用電源の電圧が100V系の場合には、ニュートラル(N)は接地されており、ライブ(L)に高電圧が印可されています。そのため、下図のようにプラグを逆向きに接続した場合、スイッチを切っても、高電圧が負荷に印可された状態になります。その結果、負荷を触った場合に感電する恐れがあります。また、負荷に漏れ電流が流れてしまいます。
補足
- 200V系では接地されている相がない場合があります。この場合、スイッチを切っても負荷に高電圧が印可されてしまいます。そのため、200V系では両切りスイッチを使うことになっています。
- 絶縁耐圧試験を行う場合には、接地側の線を断線する機器(断路端子台など)が必要になります。
両切りスイッチ
両切りスイッチとは、ライブ(L)の線とニュートラル(N)の線の両方をON/OFFするスイッチです。
スイッチがOFFの場合、負荷(電球や電源)には電気を供給しません。スイッチをONすると、負荷に電気が供給されます。
100V系でも200V系でもスイッチを切れば負荷に電圧が印可されることはありません。また、漏れ電流が流れることもありません。
身近な例だと、配線用ブレーカーは両切りスイッチとなっています。
メリット
- スイッチを切れば負荷は完全に絶縁されるので安全です。そのため、単相3線式や3相3線式などの200V系にも使用可能になっています。
デメリット
- 部品が高い
- 高型
- 配線の手間が多い
したがって、片切りスイッチと両切りスイッチの場合において、正常接続の場合と、逆向き接続(プラグを逆向きに接続)の場合において漏れ電流がの有無は下図のようになります。
製品だと『片切り状態』と『両切り状態』の両方が存在する
製品に片切りスイッチがついている場合でも、両切り状態になる場合があります。
それは、製品についているプラグをコンセントから抜いた時です。そのため、1つの製品で両切り状態、片切り状態、通電状態の3パターンが存在します。
- プラグ抜き
- スイッチがOFFの状態
- スイッチがONの状態
→両切り状態
→片切り状態
→通電状態
『片切りスイッチ』は漏れ電流に注意
両切りスイッチを使用している場合、スイッチをOFFすれば、負荷は完全に商用電源から切り離されるので、漏れ電流が流れる心配はありません。
しかし、片切りスイッチを使用している場合、片切りスイッチの接続箇所によっては、漏れ電流が通常使用時と比較して増加する場合があるのです。
一般的に、負荷の入り口には、ノイズを軽減するための部品(Xコンデンサ、Yコンデンサ、コモンチョークコイル)が接続されています。
では、漏れ電流を測定するために、負荷をGNDから切り離して、商用電源と負荷との間に漏洩電流計を接続した場合を考えてみましょう。
ニュートラル(N)を漏洩電流計に接続、ライブ(L)に片切りスイッチを接続している場合
片切りスイッチによって、漏れ電流が流れるルートが遮断されるため、漏れ電流は流れません。
ニュートラル(N)を漏洩電流計に接続、ニュートラル(N)に片切りスイッチを接続している場合
漏れ電流がノイズを軽減するための部品(Xコンデンサ、Yコンデンサ、コモンチョークコイル)を通って流れてしまいます。つまり、漏洩電流計を接続している相と同じ相を切れば、漏れ電流が流れるルートができ、漏洩電流計を接続している相と逆の相を切れば、漏れ電流が流れません。
また、上図において、水色の電流経路は通常時でも流れる漏れ電流のルートですが、緑色の電流経路は片切りスイッチをOFFしたことよって新たに生じた漏れ電流のルートです。Xコンデンサを通して漏れ電流が流れてしまいます。XコンデンサはYコンデンサより容量が大きいため、インピーダンスが小さく、短絡状態と仮定すると、Yコンは並列接続となり、容量が増加し、インピーダンスが低下します。その結果、下図に示すように漏れ電流が増加してしまうのです。
この漏れ電流が増加する現象は下図に示すように、ライブ(L)に漏洩電流計を接続している場合でも同じです。
まとめ
この記事では『片切りスイッチ』と『両切りスイッチ』について、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- 『片切りスイッチ』と『両切りスイッチ』の違い
- 『片切りスイッチ』とは
- 『両切りスイッチ』とは
- 製品だと『片切り状態』と『両切り状態』の両方が存在する
- 『片切りスイッチ』は漏れ電流に注意
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