『グランド(GND)』と『接地(アース)』の意味と違いについて!

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回路図には必ずグランド(GND)が描いてあります。

このグランド(GND)の意味はご存知でしょうか。

また、このグランド(GND)と似たような意味で使用される接地(アース)があります。

  • グランド(GND)接地(アース)違いはご存知でしょうか。
  • グランド(GND)接地(アース)には種類があるのはご存知でしょうか。
  • グランド(GND)接地(アース)回路記号が違うのはご存知でしょうか。

この記事では、グランド(GND)接地(アース)意味種類違いなどを図を用いて詳しく説明しています。

『グランド(GND)』と『接地(アース)』の違い

『グランド(GND)』と『接地(アース)』の違い

グランド(GND)とは、『回路動作の基準となる電位』のことを指します。

一方、接地(アース)とは、『大地への接続』のことを指します。

補足

グランド(GND)は『回路動作の基準となる電位』のことですが、『大地への接続』の意味でも使用されることがあります。このように、グランド(GND)を2つの意味に使用していることが混乱が生じる原因となっています。厳密に分けると、『回路動作の基準となる電位』がグランド(GND)で『大地への接続』が接地(アース)となります。

『グランド(GND)』と『接地(アース)』の種類

『グランド(GND)』と『接地(アース)』の種類

グランド(GND)接地(アース)には、さまざまな種類があり、分類すると上図のようになります(各種類については後ほど詳しく説明しています)。

上図から分かるように、『シグナルグランド(SG)、フレームグランド(FG)、フレーム接地、シグナル接地・・・』とかなりの種類があります。

回路にアナログ回路デジタル回路電力回路が混在するときは、シグナルグランドに「A.G.」や「D.G」などと記述し、何の回路のシグナルグランドかを分かるようにします。

例えば、「A.G.」と記述してある場合には、アナロググランド(アナログ回路のシグナルグランド)であるということになります。

実使用だとグランド(GND)接地(アース)は下図のように使用します。

『グランド(GND)』と『接地(アース)』の例

ではこれから各種類について説明していきます。

グランド(GND)

グランド(GND)

グランド(GND)とは、『回路動作の基準となる電位』のことを指します。

必ずしもグランド(GND)が地球の大地に接続されているとは限りません。

『回路動作の基準となる電位』が不安定になると、回路の誤動作の原因となります。そのため、グランド(GND)はできるだけ安定していることが重要です。

グランド(GND)には、フレームグランド(FG)シグナルグランド(SG)アナロググランドデジタルグランドパワーグランドの種類があります。

補足

  • グランド(GND)は回路動作の基準となる電位を表すため、回路図には必ず必要となります。
  • 一番安定している電位は地球の大地です。大地に接続することができない場合は、容量の大きな導体に接続することが望ましいです。容量が大きいほど、電流の変化による電位の変化が小さくなります。
  • グランド(GND)はグラウンドとも呼ばれています。

フレームグランド(FG)

フレームグランド(FG)

製品の金属製の筐体(シャーシ)』が『回路動作の基準となる電位』であるとき、フレームグランド(FG)と呼ばれています。

複数の回路が搭載されている製品の場合、回路間で電圧の調整をするためには、各回路において、基準となる共通の電位が必要となります。

そこで、各回路を筐体(シャーシ)に接続することで各回路動作の基準となる電位を筐体(シャーシ)に統一することができるのです。

補足

  • フレームグランドとはシャーシグランドとも呼ばれています。
  • 飛行機は接地(アース)をすることが不可能なので、最も大きな導体である飛行機の機体が基準電位となります。
  • 自動車は接地(アース)をすることが不可能なので、最も大きな導体である自動車の機体が基準電位となります。

シグナルグランド(SG)

シグナルグランド(SG)

フレームグランド(FG)と区別するために各回路のグランドをシグナルグランド(SG)と呼ぶ場合があります。

そのため、シグナルグランド(SG)とは、『回路動作の基準となる電位』のことを指します。

アナログ回路、デジタル回路、大きな電力を扱う電力回路が混在する回路の場合、それぞれの回路の性質に合わせてシグナルグランド配線を別々に配線し、それを1点で接続することで、他の回路の影響を受けにくくする必要があります。

1点で接続しない場合、電流の変化の大きいデジタル回路や電流の大きい電力回路のグランド配線の電位が変動し、それが微小な信号を扱うアナログ回路に影響を与えることがあります。

各回路のシグナルグランドを区別するために、アナログ回路のシグナルグランドを「アナロググランド(AGND)」、デジタル回路のシグナルグランドを「デジタルグランド(DGND)」、電力回路のシグナルグランドを「パワーグランド(PGND)」と呼びます。

補足

シグナルグランドは信号グランドとも呼ばれています。

アナロググランド(AGND)

アナロググランド(AGND)

アナロググランド(AGND)とは、アナログ回路の『シグナルグランド(回路動作の基準となる電位)』のことです。

デジタルグランド(DGND)

デジタルグランド(DGND)

デジタルグランド(DGND)とは、デジタル回路の『シグナルグランド(回路動作の基準となる電位)』のことです。

パワーグランド(PGND)

パワーグランド(PGND)

パワーグランド(PGND)とは、大きな電流が流れる電力回路の『シグナルグランド(回路動作の基準となる電位)』のことです。

電源回路ではYコンデンサを通してフレームグランド(FG)に接続されることが多いです。

接地(アース)

接地(アース)

接地(アース)とは、『大地への接続』のことを指します。

続すること書いて「接地」です。

地球上で最も大きな電気の導体は大地です。そのため、接地(アース)することで『回路動作の基準となる電位』を安定させることができます。

接地(アース)には、フレーム接地、シグナル接地、保護接地の種類があります。

補足

『接地する』は『アースに落とす』や『アースを取る』とも言います。

フレーム接地

フレーム接地

フレーム接地とは、「フレームグランドを大地に接続する(接地する)」ことを指します。

フレームグランドが接地されていないと、人間が製品のフレームに触った時、人体に電流が流れる可能性があります。

そのため、電子機器は安全面を考えるとフレームグランドを接地することが望ましいです。接地をすることで感電する危険がなくなります。

電子機器の電源プラグはニュートラル(N)とライブ(L)のみの2本あれば電子機器を動作させることができますが、電子レンジや冷蔵庫などの電源プラグを見ると緑色の線(アース線)が追加され、3本線になっているものがあります。

これは電子機器の筐体(シャーシ)を大地に接続(アース)するための線です。緑色の線(アース線)をコンセントのアース端子もしくは、専用の地中アース棒に接続する事で接続(アース)することができます。

シグナル接地

シグナル接地

シグナル接地とは、「回路動作の基準となる電位であるシグナルグランドの電位をより安定化する目的で大地に接続する(接地する)」ことを指します。

フレーム接地と区別するため、上記の接地をシグナル接地と呼ばれています。

補足

シグナル接地はシグナルGND接地とも呼ばれています。

保護接地

保護接地

保護接地とは、「人体に対する安全を目的で大地に接続(アース)すること」を指します。

大地に接続(アース)することで、電子レンジや洗濯機などが漏電しても人体が感電することを防ぐことができます。このグランド記号は電子回路で見かけることはないと思います。

補足

保護接地は保安接地保安用接地保護グランド保安グランドとも呼ばれています。

まとめ

この記事ではグランド(GND)接地(アース)について、以下の内容を説明しました。

当記事のまとめ

  • グランド(GND)接地(アース)の意味・種類・違い・回路記号について

お読み頂きありがとうございました。

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