【LTspice】バリスタ(varistor)の作成方法と使い方について

スポンサーリンク

LTspiceにはバリスタ(varistor)の素子があります。

バリスタは、端子間にかかる電圧が低いときは高抵抗ですが、端子間にかかる電圧がある値(バリスタの種類によって異なる)を超えると低抵抗になる素子です。

このバリスタについて作成方法と使い方を詳細に説明します。

LTspiceでバリスタを使用する方法

バリスタを表示する

【LTspice】バリスタの表示方法

LTsipceにはバリスタのモデルがあります。バリスタの出し方は、

  1. LTspiceを開いた後、メニューバーでcomponentボタンを押します。
  2. 「Select Component Symbol」が開くので、varistorを選択します。
  3. バリスタ(varistor)が回路図上に表示されます。

バリスタの作成方法と使い方

  1. バリスタ(varistor)を右クリックして、Component Attribute Editorを開き、Valueに「Rclamp=任意の抵抗値(単位はΩ)」を入力します。今回は「Rclamp=1」と入力しました。このパラメータの意味については後に説明します。
  2. 【LTspice】バリスタの作成方法01

  3. バリスタには2つの端子(+が書いてある端子、何も書いていない端子)があります。1つの端子にGNDを端子を接続し、もう1つの端子に電圧源を接続します。2つの端子のどちらにGNDを接続しても大丈夫です。その後、電圧源のDC電圧を変更します。今回は10V(この電圧のことをバリスタ電圧と今後呼びます)にしました。
  4. 【LTspice】バリスタの作成方法02

  5. これでバリスタ素子の完成です。今回作成したバリスタはバリスタ端子間にかかる電圧が10Vより低い時は、抵抗値が無限であり、10Vより高くなると、抵抗値が1Ω(「Rclamp=1」と設定したので)となります。

バリスタをシミュレーションで確認する

【LTspice】バリスタのシミュレーション

では作成したバリスタがきちんと設計した通りに動くかシミュレーションをしてみます。

このシミュレーションでは、入力電圧として、1秒間で20Vになる電圧源をPWL(0 0 1 20)で作成しています。

シミュレーション結果は右図のようになります。入力電圧が10Vを超えると、電流が流れ始めていることが確認できます。また、入力電圧が20Vの時には、電流は10A流れています。

【注意】
この10Aですが、「Rclamp=1」で入力電圧が20Vなので20A流れると思う人が多いと思いますが、違います。バリスタ電圧(10V)を超えた時は以下のような等価回路になります。そのため、入力電圧が20Vの時にはバリスタの端子間にかかる電圧は10Vとなります。バリスタの抵抗値が1Ωなので、10Aが流れるのです。

【補足】LTspiceのヘルプとサンプル回路図でバリスタを見てみる

LTspiceヘルプのバリスタ

LTspiceのヘルプを見るとこのように記載しています。
サンプル回路を参照してくださいと書いてありますが、このサンプル回路がバリスタを理解するためには少し難しいので、前半では簡単な回路で説明しました。

【LTspiceのヘルプ】
The VARISTOR is a voltage controlled varistor. Its breakdown voltage is set by the voltage between terminals 1 and 2. Its breakdown impedance is specified with the instance parameter rclamp. See the example schematic .\examples\Educational\varistor.asc
【日本語訳】
VARISTORは電圧制御バリスタです。その降伏電圧は、端子1と端子2との間の電圧によって設定されます。降伏インピーダンスは、インスタンスパラメータrclampで指定される。サンプルの回路図\ examples \ Educational \ varistor.ascを参照してください。

バリスタのサンプル回路図

【LTspice】バリスタのサンプル回路図
サンプル回路図はこのようになっています。少し複雑・・・。

サンプル回路の場所ですが、LTspiceをデフォルト設定でダウンロードした際には、『"C:\Users\ユーザー名\Documents\LTspiceXVII\examples\Educational\varistor.asc"』に入っています。

シミュレーション実行結果はこのようになります。
【LTspice】バリスタのサンプル回路図のシミュレーション01

かなり複雑なので分かりにくいですよね。表示波形を変えるとこのようになります。
【LTspice】バリスタのサンプル回路図のシミュレーション02

  • バリスタ電圧(青波形)の方が入力電圧(赤波形)より大きい場合
  • バリスタ電流(緑波形)は流れません。また、OUT端子電圧(ピンク波形)は入力電圧(赤波形)と等しくなります。

  • 入力電圧(赤波形)の方がバリスタ電圧(青波形)より大きい場合
  • バリスタ電流(緑波形)が流れます。OUT端子電圧(ピンク波形)はバリスタ電圧(青波形)でクランプされます。

なお、バリスタ電圧はマイナス電圧に対しても効果があります。

緑色で囲まれている領域ですが、バリスタ電圧(青波形)の方が入力電圧(赤波形)より大きいのにも関わらず、バリスタ電流(緑波形)が流れていますよね。

これは、例えばバリスタ電圧を10Vにしている場合。入力電圧が10Vを超えると電流が流れ始めるのは当たり前ですが、入力電圧が-10Vを下回ると電流が流れ始めるからなのです。

スポンサーリンク