『変数・図記号・単位』の由来と意味について!電流が『I』、トランジスタが『Q』なのはなぜ?

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普段何気なく使っている変数・図記号・単位。例えば、

  • 変数は、電圧はV、抵抗はR、電流はIなど・・・
  • 図記号は、抵抗にはR、コンデンサにはC、トランジスタにはQなど・・・
  • 単位は、電流の単位には[A]、電圧の単位には[V]、抵抗の単位には[Ω]など・・・

などを使用していますね。

この変数・図記号・単位ですが、由来がよく分からないものがいくつかあります。

  • 電圧の変数は『Voltage』の『V』、抵抗の変数は『Resistance』の『R』であり、頭文字が変数となっていますが、電流は英語だと『Current』の『C』です。でも『C』ではなく『I』が変数なのはなぜ?
  • トランジスタ(Transistor)の図記号はなぜ『Q』なの?

などなど

そこで、今回アルファベット別に変数・図記号・単位とその由来をまとめました。
これから詳しく説明します。

変数・図記号・単位の由来について!なぜ、電流は『I』、トランジスタは『Q』なの?

A

【A】電流の単位を表す

電流の単位は『アンペア(Ampare)』です。
その頭文字から電流の単位は『A』となりました。
『アンペア(Ampare)』は「アンペールの法則」を発見したフランスの物理学者、アンドレ=マリ・アンペール(André-Marie Ampère) から付けられました。

B

【B】磁束密度の変数を表す

磁束密度は英語では『Magnetic Flux Density』と書きます。頭文字に『B』はありません。
磁束密度の変数Bですが、電磁気学の有名な法則ビオサバールの法則(Biot-Savartの法則)の頭文字から来ている説が有力です。
ちなみに、磁束密度の単位は[Wb](←ウェーバ、Weber)です。

【B】サセプタンスの変数を表す

アドミタンス(Y=G+jB)の虚数部分であるサセプタンスを変数『B』で表します。その理由はまだ不明です。調べても出てきませんでした(出てきたら更新します)。
ちなみに、サセプタンスの単位は[S](←ジーメンス、Siemens)です。

C

【C】静電容量(キャパシタンス)の変数を表す

静電容量(Electrostatic Capacity)は電気容量やキャパシタンス(Capacitance)とも呼ばれます。
『キャパシタンス(Capacitance)』の頭文字から静電容量の変数は『C』となりました。
ちなみに、静電容量(キャパシタンス)の単位は[F](←ファラド、Farad)です。

【C】コンデンサ(キャパシタ)の図記号を表す

コンデンサは英語では『Condenser』、キャパシタは英語では『Capacitor』と書きます。
その頭文字からコンデンサ(キャパシタ)の図記号は『C』となりました。

【C】電荷(Q)の単位を表す

電荷の単位は『クーロン(Coulomb)』です。
その頭文字から電荷の単位は『C』となりました。

D

【D】ダイオードの図記号を表す

ダイオードは英語では『Diode』と書きます。
その頭文字からダイオードの図記号は『D』となりました。

【D】電束密度の変数を表す

電束密度は英語では『Electric Flux Density』と書きます。頭文字は『E』ですが、『E』は起電力で使用済、『F』は静電容量の単位で使用済。そのため、『Density』から電束密度の変数は『D』となった説が有力です。
ちなみに電束密度の単位は[C/m^2]です。

E

【E】起電力の変数を表す

起電力は英語では『Electromotive Force』と書きます。
その頭文字から起電力の変数は『E』となりました。
様々な参考書を見ると、電圧の変数を『V』と書いたり、『E』と書いてある場合があります。
厳密には、起電力が『E』、ある端子間の電圧(Voltage)をあらわす時には『V』と書きます。
ちなみに起電力の単位も[V](←ボルト、Volt)です。

F

【F】静電容量(キャパシタンス)の単位を表す

コンデンサ(キャパシタ)の静電容量(キャパシタンス)の単位は『ファラド(Farad)』です。
その頭文字から静電容量(キャパシタンス)の単位は『F』となりました。

【f】周波数の変数を表す

周波数は英語では『Frequency』と書きます。
その頭文字から周波数の変数は小文字の『f』となりました。
ちなみに周波数の単位は[Hz]です。

G

【G】コンダクタンスの変数を表す

アドミタンス(Y)の実数部分をコンダクタンス(G)といいます。
コンダクタンスの変数は『G』で表すのが一般的ですが、その理由はまだ不明です。調べても出てきませんでした(出てきたら更新します)。
ちなみに、コンダクタンスの単位は[S] (←ジーメンス、Siemens)です。

H

【H】インダクタンスの単位を表す

インダクタンスの単位は『ヘンリー(Henry)』です。
その頭文字からインダクタンスの単位は『H』となりました。
『ヘンリー(Henry)』はアメリカ合衆国の物理学者ジョセフ・ヘンリー(Joseph Henry)から付けられました。

【H】磁場(磁界の強さ)の変数を表す

磁場は英語では『Magnetic field』と書きます。頭文字は『M』ですが、磁場の変数は『H』です。
これは、インダクタンスの変数の『ヘンリー(Henry)』の頭文字と同じにしたという説が有力です。
ちなみに、磁場(磁界の強さ)の単位は[T]です。

I

【I】電流の変数を表す

電流は英語では『Current』と書きます。頭文字は『C』ですが、電流の単位は『I』です。
これは、電流ではなく、電流の大きさ(Intensity of Current(もしくはIntensity of Electric Current))の頭文字から来ているからです。
ちなみに電流の単位は[A]です。

J

【J】電流密度の変数を表す

電流密度は英語では『Current Density』と書きます。
Cは静電容量(キャパシタンス)の変数で使用しています。Dは電束密度(electric flux density)の変数で使用しています。そんため、電流の変数『I』に形が似ている『J』が使用されるようになった説が有力です。
ちなみに電流密度の単位は[A/m^2]です。

K

【K】公称インピーダンスの変数を表す

公称インピーダンスは英語では『Nominal Impedance』と書きます。頭文字は『N』ですが、公称インピーダンスの変数は『K』です。その理由はまだ不明です。調べても出てきませんでした(出てきたら更新します)。
ちなみに、公称インピーダンスの単位は[Ω](←Ω、Ohm)です。

L

【L】インダクタ(コイル)の図記号を表す

インダクタは英語では、『Inductor』と書きます。頭文字は『I』 ですが、インダクタの図記号は『L』です。
インダクタの図記号を『L』と表す由来としては、様々な説があります。
1つ目は、コイルは英語では『Coil』と書きます。この『Coil』から『L』を取ったという説です。
2つ目は、レンツの法則を解明したレンツ(Lenz)の頭文字から『L』を取ったという説です。

【L】自己インダクタンスの変数を表す

自己インダクタンスは英語では『Self-inductance』と書きます。頭文字は『S』 ですが、自己インダクタンスの変数は『S』です。
これは、上と同じ説で『L』となった説が有力です。
ちなみに自己インダクタンスの単位は[H](←ヘンリー、Henry)です。

M

【M】相互インダクタンスの変数を表す

相互インダクタンスは英語では『Mutual inductance』と書きます。
その頭文字から相互インダクタンスの単位は『M』となりました。
ちなみに相互インダクタンスの単位は[H] (←ヘンリー、Henry)です。

N

【N】巻数の変数を表す

巻数は英語では『Number of turns』と書きます。おそらくその頭文字から巻数の変数は『N』になったと思いますが、正確に由来が書いてある情報は調べても出てきませんでした(出てきたら更新します)。

O

O(オー)は数字の0(ゼロ)と間違えることが多いため、変数、図記号、単位で使用されることはありません。

P

【P】電力の変数を表す

電力は英語では『Power』と書きます。
その頭文字から電力の変数は『P』となりました。
ちなみに電力の単位は[W](←ワット、Watt)です。

電力を変数が『P』の場合は有効電力を表します。ちなみに皮相電力は『S』、無効電力は『Q』で表します。

Q

【Q】電荷の変数を表す

電荷は英語では『Electrical Charge』と書きます。頭文字は『E』ですが、『E』は起電力の変数で使用されています。また『Charge』の頭文字は『C』ですが、『C』は静電容量(キャパシタンス)の単位で使用されています。
そのため、別の文字を使用するようになったという説が有力です。
別の文字とは、電荷に溜まっている電荷の量を表す『電気量(Quantity of Electricity)』、『電荷量(Quantity of Electric Charge)』です。その頭文字から電荷の変数は『Q』となりました。
ちなみに電荷の単位は[C](←クーロン、Coulomb)です。

【Q】トランジスタの図記号を表す

トランジスタの図記号をQと表すようになった経緯は少し複雑です。
エレクトロ二クスの歴史が関係あります。
エレクトロ二クスの初期時代、無線通信の受信には、鉱石検波器が使用されていました。
鉱石検波器とは「鉱石(Ore)の結晶(quartz)に針を立てた整流素子」のことです。この鉱石検波器の図記号には、結晶(quartz)の頭文字であるQを使用していました。結晶は英語で『quartz』とも『crystal』とも言います。『crystal』の頭文字は『C』ですが、コンデンサ(キャパシタ)の図記号に『C』が使われていたため、『quartz』の頭文字を使用してました。
後に、エレクトロニクスが発達してトランジスタが誕生しました。発明当初のトランジスタは単結晶に針を立てた構造であり、これは鉱石検波器の後継ぎの姿そのものでした。そのため、トランジスタも鉱石検波器と同じく図記号にQを使用していました。
これがトランジスタの図記号を『Q』と書く理由です。

参考書を見ると、部品名を連想しやすいように『Q』ではなく、『Tr』と書いてある場合もあります。『T』ではないのは、トランス(Transformer)の図記号で『T』を使用しているためです。

【Q】Q値の変数を表す

Q値は英語では『Quality factor』と書きます。
その頭文字からQ値の変数は『Q』となりました。

【Q】無効電力の記号を表す

無効電力は英語では『Reactive Power』と書きますが、記号は『Q』で表します。ちなみに皮相電力は『S』、有効電力は『P』で表します。

R

【R】抵抗の変数・図記号を表す

抵抗は英語では『Resistance』と書きます。
その頭文字から抵抗の変数・図記号は『R』となりました。
ちなみに、抵抗の単位は[Ω](←Ω、Ohm)です。

S

【S】コンダクタンス・アドミタンス・サセプタンスの単位を表す

コンダクタンス・アドミタンス・サセプタンスの単位は『ジーメンス(Siemens)』です。
その頭文字からコンダクタンス・アドミタンス・サセプタンスの単位は『S』となりました。
『ジーメンス(Siemens)』はドイツの物理学者、ヴェルナー・フォン・ジーメンス (Werner von Siemens)から付けられました。

【S】皮相電力の記号を表す

皮相電力は英語では『Apparent Power』と書きますが、記号は『S』で表します。ちなみに皮相電力は『S』、無効電力は『Q』で表します。

T

【T】トランスの図記号を表す

トランス(変圧器)は英語では『Transformer』と言います。
その頭文字からトランスの図記号は『T』となりました。

【T】周期の変数を表す

周期は英語では『Period』と書きます。頭文字は『P』ですが、周期の変数は『T』です。
その理由はまだ不明です。調べても出てきませんでした(出てきたら更新します)。
ちなみに周期の単位は[s](←Second)です。

【T】磁場(磁界の強さ)の単位を表す

磁場(磁界の強さ)の単位は『テスラ(Tesla)』です。
その頭文字から磁場(磁界の強さ)の単位は『T』となりました。
『テスラ(Tesla)』は、クロアチアの天才発明家ニコラ・テスラ(Nikola Tesla)から付けられました。

【t】時間の変数を表す

時間は英語では『time』と書きます。
その頭文字から時間の変数は『t』となりました。
周期は大文字の『T』、時間は小文字の『t』で表すのが一般的です。
ちなみに時間の単位は[s](←Second)です。

U

【U】ICの図番号を表す

ICは図記号で『IC』を用いることがありますが、U1,U2・・・など『U』を用いることがあります。
この『U』ですが、Unitの『U』である説が有力です。

V

【V】電圧の変数を表す

電圧は英語では『Voltage』と言います。
その頭文字から電圧の変数は『V』となりました。
ちなみに電圧の単位も[V](←ボルト、Volt)です。

【V】電圧の単位を表す

電圧の単位は『ボルト(Volt)』です。
その頭文字から電圧の単位は『V』となりました。
『ボルト(Volt)』はボルタ電池を発明した物理学者アレッサンドロ・ボルタ(Alessandro Volta)から付けられました。
ちなみに、電圧は英語では『Voltage』、電圧の単位は英語では『Volt』です。

W

【W】電力の単位を表す

電力の単位は『ワット(Watt)』です。
その頭文字から電力の単位は『W』となりました。
『ワット(Watt)』は蒸気機関の発展に大いに貢献したジェームズ・ワット(James Watt)から付けられました。

X

【X】リアクタンスの変数を表す

インピーダンス(Z=R+jX)の虚数部分であるリアクタンス(Reactance)を変数『X』で表します。
リアクタンスの変数を『X』とする理由ですが、A~Zのうち使用されていない空きの変数が『X』だったためというのが有力です。

Y

【Y】アドミタンスの変数を表す

インピーダンス(Z=R+jX)の逆数であるアドミタンス(Admittance)を変数『Y』で表します。
アドミタンスの変数を『Y』とする理由ですが、リアクタンス(X)と同じく、A~Zのうち使用されていない空きの変数が『Y』だったためというのが有力です。

Z

【Z】インピーダンスの変数を表す

インピーダンスは英語では『Impedance』と書きます。
インピーダンスの変数を『Z』とする理由ですが、リアクタンス(X)、アドミタンス(Y)と同じく、A~Zのうち使用されていない空きの変数が『Z』だったためというのが有力です。

その他

【Ω】抵抗の単位を表す

抵抗の単位は『オーム(Ohm)』です。
頭文字はO(オー)ですが、これは数字の0(ゼロ)と間違えるので、ギリシャ語のΩ(オメガ)を使用しています。
『オーム(Ohm)』はオームの法則を発見したドイツの物理学者、ゲオルク・ジーモン・オーム(Georg Simon Ohm)から付けられました。

電気以外の変数・図記号・単位について

【F】力の変数を表す

力は英語では『Force』と書きます。
その頭文字から力の変数は『F』となりました。
ちなみに、力Fの単位は[N](←ニュートン)です。

【P】圧力の変数を表す

圧力は英語では『Pressure』と書きます。
その頭文字から圧力の変数は『P』となりました。
ちなみに、圧力Pの単位は[Pa](←パスカル)です。

【x・y・z】座標の変数を表す

最初に変数をxとして使用したのがフランスの数学者ルネ・デカルト(René Descartes)。
定数にはアルファベットの最初からa,b,cを使用して、変数にはx,y,zとアルファベットの終わりの方から使用していました。このため、未知数である1次元の座標の解をxと置き、それを2次元、3次元に拡張する際、アルファベット順にy,zとした説が有力です。

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