【LTspice】.tran解析とは

スポンサーリンク

.tran解析(Transient解析,トランジェント解析,過渡解析)についてです。
.tran解析とは、シミュレーションで最も基本的なコマンドです。回路の部品に印可される電圧や、部品に流れる電流の時間変化を解析することができます。

.tran解析の表示方法

メニューバーの「Simulate」を左クリックし、「Edit Simulation Cmd」を押します。
tran解析の表示方法

すると、.tran解析をどのような条件で行うかの画面が出てきます。
Edit Simulation Cmd

.tran解析の設定項目

.tran解析の設定項目
各項目の説明はこんな感じです。

Stop time

シミュレーション終了時間のことです。シミュレーションをスタートしてからどの時間まで行うかの設定をします。

Time to Start Saving Data

データ保存開始時間です。シミュレーションはTime=0から実行されますが、シミュレーションを開始してからここで設定した時間までは波形が表示されません。これは、シミュレーション結果をデータファイル(拡張子が”.RAW”のもの)に書き出さないからです。
★この機能を使うとき
例えば、T=10[s]で定常状態スイッチング電源があります。このスイッチング電源で定常状態のリプルの変化等を調べたいとき、T=10[s]までの過渡状態の期間は必要ありません。この場合に、「Time to Start Saving Data」を10[s]と入力すると、過渡状態の期間のデータを保存しないので、HDDの容量を押さえるだけでなく、シミュレーション時間の短縮になります。

Maximum Timestep

時間間隔の上限です。シミュレーションを実行する時間間隔の最大値を設定します。電圧や電流の変化を細かくみたい場合に使用します。信号周波数の1周期の1/10000~1/1000を指定するのが経験的にオススメです。
注意点として、Maximum Timestepは間隔の”最大値”を設定するもので”最小値”を設定するものではありません。そのため、Maximum Timestepを長くしてもシミュレーション時間の短縮にはなりません。周波数の高い信号や、過渡状態の時間が短い場合は、時間間隔をシミュレータ側で自動的に調整して小さくするので、時間がかかる場合があります。

.tran解析のオプション

start external dc supply voltages at 0V

外部電源を0Vでスタートして20usで設定電圧にする機能です。デフォルトでは無効です。チェックを入れると、Syntaxにstartupと表示されます。

Stop simulating if stedy state is detected

定常状態に達して変化しない場合、シミュレーションを終了します。出力波形が定常状態になったところをシミュレータが検出します。そこから、10回の繰り返しのところで、シミュレーションを終了します。シミュレーション中はデータを保存していますが、シミュレーションを終了すると、最後の繰り返しの10サイクル分だけを保存し、波形表示も最後の10サイクル分だけになります。

デフォルトでは無効です。チェックを入れると、Syntaxにsteadyと表示されます。

Don’t reset T=0 when steady state is detected

上記の適用をしません。このオプションにチェックを入れるとシミュレーションの最初からの結果が表示されるようになります。「Stop simulating if stedy state is detected」にチェックが入っている時のみ、この項目をチェックできます。

デフォルトでは無効です。チェックを入れると、Syntaxにnodiscardと表示されます。

Step the load current source

電流源負荷をステップ変化させます。負荷として電流値をステップ変化させる場合、これにチェックをしてあると、負荷の電流値は定常状態になるたびに、次の負荷電流値に変化します。

デフォルトでは無効です。チェックを入れると、Syntaxにstepと表示されます。

Skip Initial operating point solution

素子の初期値の値をシミュレーションの初期値とします。シミュレーション開始時、各々の素子に設定されている初期条件の値(コンデンサの初期電圧値等)をシミュレーションの初期値とします。シミュレーション開始時のT=0では計算結果が収束しにくい場合があり、その場合はシミュレーション時間が長くなります。この項目にチェックを入れると、開始時の収束しにくい時間をスキップして、シミュレーション時間を短縮します。

デフォルトでは無効です。チェックを入れると、Syntaxにuicと表示されます。

【その他】設定項目とSyntaxの関係
設定項目とSyntaxの関係

スポンサーリンク