この記事では『LLCコンバータ』において
- LLCコンバータの『励磁インダクタに流れる電流のピーク値』の導出方法
などを図を用いて分かりやすく説明しています。
励磁インダクタに流れる電流のピーク値の導出方法
LLCコンバータは『スイッチング周波数\(f_{SW}\)』が『共振インダクタ\(L_R\)と共振キャパシタ\(C_R\)による共振周波数\(f_R\)』より高い領域で動作している場合、励磁インダクタ\(L_M\)には\(-nV_{OUT}\)から\(nV_{OUT}\)に変化する矩形波が印可されます(\(n\)は巻数比)。
ここで、インダクタの有名な式\(v=L\displaystyle\frac{di}{dt}\)を用います。
1周期の半分\(\displaystyle\frac{T}{2}\)において、\(nV_{OUT}\)が印可されている間に、励磁インダクタ\(L_M\)に流れる電流が\(di_{LM}\)変化したとすると、以下の式が成り立ちます。
\begin{eqnarray}
nV_{OUT}&=&L_M \frac{di_{LM}}{\displaystyle\frac{T}{2}}\\
{\Leftrightarrow}di_{LM}&=&\frac{nV_{OUT}×T}{2L_M}\\
&=&\frac{nV_{OUT}}{2L_Mf_{SW}}
\end{eqnarray}
ここで、励磁インダクタ\(L_M\)に流れる電流のピーク値\(I_{LM(MAX)}\)は励磁インダクタ\(L_M\)に流れる電流の変化\(di_{LM}\)の半分なので、以下の式が成り立ちます。
I_{LM(MAX)}=\frac{1}{2}di_{LM}=\frac{nV_{OUT}}{4L_Mf_{SW}}
\end{eqnarray}
励磁インダクタ\(L_M\)に流れる電流のピーク値\(I_{LM(MAX)}\)が分かることで、トランスのコアの最大磁束密度\(B_M\)を導出することができます。その結果、コアのサイズや材質を決定することができるようになります。