【電気力線とは?】『本数』や『電束との違い』などを解説!

スポンサーリンク


この記事では『電気力線』について

  • 『電気力線』とは
  • 『電気力線』の性質
  • 『電気力線密度とは』とは
  • 『電気力線』と『電束』の違い

などを図を用いて分かりやすく説明しています。

電気力線とは

電気力線とは
電気力線とは、上図のように電界の様子を仮想的な線で表したものです。

電気力線+1[C]の正電荷から1/ε[本]の電気力線が出て、-1[C]の負電荷には1/ε[本]の電気力線が入ると考えます(εは誘電率です)。

電荷の電気量を1[C]ではなく、Q[C]として考えると・・・

電気力線+Q[C]の正電荷からQ/ε[本]の電気力線が出て、-Q[C]の負電荷にはQ/ε[本]の電気力線が入ることになります。

電気力線と似ているものに電束があります。電束電気力線と同様に電界の様子を仮想的な線で表したものです。

電気力線電束の違いは数え方本数です。

  • 電気力線[本]で数えますが、電束[C]で数えます。
  • 電気力線+Q[C]の正電荷からQ/ε[本]出ます。一方、電束+Q[C]の正電荷からQ[C]出ます。

なお、電気力線電束の違いについては、この記事の後半にまとめていますので参考にしてください。

電束について詳しくは以下の記事に説明していますので参考にしてください。

補足

  • 電気力線は英語では「Electric Lines of Force」と書きます。
  • 誘電率とは『物質の誘電分極のしやすさ』のこと意味します。分かりやすく言えば、『電荷の貯めやすさを示すもの』というイメージです。

電気力線の性質

電気力線の性質
電気力線には以下の性質があります。

電気力線の性質

  1. +Q[C]の正電荷からはQ/ε[本]の電気力線が出る。
  2. -Q[C]の負電荷にはQ/ε[本]の電気力線が入る。
  3. 電気力線正電荷から出て、負電荷に入る。
  4. 電気力線は途中で分岐したり、途中で途切れない
  5. 電気力線互いに交差しない
  6. 電気力線の方向はその点の電界の方向を表す。

電気力線密度とは

電気力線密度とは
電気力線密度とは、単位面積(1m2)当たりの電気力線の数のことです。

電気力線は「+Q[C]の正電荷からはQ/ε[本]の電気力線が球面上に出る」ため、電気力線密度はQ/ε[本]を球の面積S[m2]で割れば求めることができます。

\begin{eqnarray}
電気力線密度=\frac{1}{4{\pi}r^2}×\frac{Q}{{\varepsilon}}
\end{eqnarray}

ここで上式の右辺を少し変形すると、次式となります。

\begin{eqnarray}
電気力線密度=\frac{1}{4{\pi}r^2}×\frac{Q}{{\varepsilon}}=\frac{1}{4{\pi}{\varepsilon}}×\frac{Q}{r^2}=k\frac{Q}{r^2}=電界の強さE{\mathrm{[N/C]}}
\end{eqnarray}

すなわち、

電界の強さ\(E\)は、単位面積当たりの電気力線の本数(電気力線密度)と等しくなる

ということになります。そのため、電気力線の密度を見ることで、電界の強さ\(E\)の大きさも視覚的にとらえることができます。

電気力線の例題

電気力線の総本数Nを求める

\(+Q{\mathrm{[C]}}\))の正電荷から出る(もしくは\(-Q{\mathrm{[C]}}\))の負電荷に入る)電気力線の総本数\(N\)は、半径\(r{\mathrm{[m]}}\))の球の表面積を\(S{\mathrm{[m^2]}}\)とすると、
\begin{eqnarray}
電気力線の総本数N&=&E×S\\
&=&k\frac{Q}{r^2}×4{\pi}r^2\\
&=&4{\pi}kQ\\
&=&\frac{Q}{{\varepsilon}}{\mathrm{[本]}}
\end{eqnarray}
となります。すなわち、電気力線は形状に関係するパラメータ(上式だと半径\(r{\mathrm{[m]}}\))に関係なく、\(\displaystyle\frac{Q}{{\varepsilon}}=\left(4{\pi}kQ\right){\mathrm{[本]}}\)出ているということになります。

電界の強さEを求める

\(Q{\mathrm{[C]}}\))の電荷から距離\(r{\mathrm{[m]}}\))の位置の電界の強さ\(E\)は、半径\(r{\mathrm{[m]}}\))の球の表面積を\(S{\mathrm{[m^2]}}\)とすると、電気力線の総本数\(N\)を表面積\(S{\mathrm{[m^2]}}\)で割ることで求めることができます。
\begin{eqnarray}
E&=&\frac{N}{S}\\
&=&\frac{Q}{{\varepsilon}}×\frac{1}{S}\\
&=&\frac{Q}{{\varepsilon}}×\frac{1}{4{\pi}r^2}\\
&=&\frac{1}{4{\pi}{\varepsilon}}×\frac{Q}{r^2}\\
&=&k\frac{Q}{r^2}\\
\end{eqnarray}

『電気力線』と『電束』の違い

『電気力線』と『電束』の違い
電気力線電束も電界の様子を仮想的な線で表したものです。

ではこれらの違いはなんでしょうか?

この記事の冒頭に軽く述べましたが、電気力線電束の違いは数え方本数です。

  • 電気力線[本]で数えますが、電束[C]で数えます。
  • 電気力線+Q[C]の正電荷からQ/ε[本]出ます。一方、電束+Q[C]の正電荷からQ[C]出ます。
  • 電気力線-Q[C]の負電荷にはQ/ε[本]入ります。一方、-Q[C]の負電荷にはQ[C]入ります。

まとめ

この記事では電気力線について、以下の内容を説明しました。

当記事のまとめ

  • 電気力線とは
  • 電気力線の性質
  • 電気力線密度とは
  • 電気力線電束の違い

お読み頂きありがとうございました。

当サイトでは電気に関する様々な情報を記載しています。当サイトの全記事一覧には以下のボタンから移動することができます。

全記事一覧

スポンサーリンク