【ダイオード】順方向電圧の温度特性について

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ダイオードはアノード(A)からカソード(K)に順電流IFを流すと、一定電圧だけ電圧が下がります。

この一定電圧のことを順方向電圧VFと呼びます。

今回はこの順方向電圧VF温度特性について説明します。

ダイオードの順方向電圧の温度特性

【ダイオード】順方向電圧の温度特性について
ダイオードに順電流IFを流すと、一定電圧VFだけ電圧が下がります。

この一定電圧を順方向電圧VFと呼びます。

順方向電圧降下VF順電圧VFと呼ぶ場合もあります。

ダイオードのデータシートには温度が25℃の時における順方向電圧VFが記載してあります。

一般的にシリコンダイオードの場合、温度が25℃の時、順方向電圧VFは0.6〜0.7Vとなります。

この順方向電圧VFですが、温度によって変化します。これを順方向電圧の温度特性と呼びます。

温度が1℃上昇すると、順方向電圧VFは約2mV減少します。

式で表すと以下のようになります。

\begin{eqnarray}
V_F=(0.6-0.7[V]) +(-2[mV]×温度変化[^\circ\mathrm{C}])
\end{eqnarray}

例えば、25℃の時の順方向電圧VFが0.7Vのダイオードを使用する場合を考えてみます。

このダイオードを50℃の環境(つまり+25℃)で使用する時には順方向電圧VF
\begin{eqnarray}
V_F=0.7[V]+(-2[mV]×25[^\circ\mathrm{C}])=0.65[V]
\end{eqnarray}
となります。

逆に、0℃の環境(つまり−25℃)で使用する時には順方向電圧VF
\begin{eqnarray}
V_F=0.7[V]+(-2[mV]×-25[^\circ\mathrm{C}])=0.75[V]
\end{eqnarray}
となります。

このように、順方向電圧VF高温化では低く、低温化では高くなるのが特徴です

また、25℃においての順方向電圧0.7Vは目安であり、ダイオード個々のバラツキによって±0.1℃程度上下します。

このバラツキはデータシートに記載されてない場合があります。この場合には、メーカーに問い合わせすると教えてもらえるので必要に応じて問い合わせしましょう。

例えば、ルネサスの「1S2076A」という型番のダイオードはデータシートを見ると以下のようになっています。「バラツキ」、「温度特性」、「順電流IF-順方向電圧VF特性」が記載されています。

順方向電圧の温度特性(データシート)

自己発熱によっても順方向電圧は変化するので注意

自己発熱によっても順方向電圧は変化する
先ほどは、温度が50℃、0℃の時の順方向電圧VFを計算しました。

しかし、順方向電圧VFの温度特性は周囲の温度だけでなく、ダイオード自体の自己発熱によっても影響します。

先ほど紹介したルネサスの「1S2076A」という型番のダイオードにおいて順電流IFが100mA流れた場合の自己発熱による温度上昇ΔTを計算してみます。

順電流IF=100mAの時、順方向電圧VFは0.8Vとなっています。

この時、「1S2076A」が消費する電力PLOSSは、
\begin{eqnarray}
P_{LOSS}=I_F×V_F=100[mA]×0.8[V]=80[mW]
\end{eqnarray}
となります。

一方、「1S2076A」は許容損失Pdが250[mW]、接合部温度Tjの絶対最大定格が175[℃]なので、熱抵抗Rth(j-c)は、
\begin{eqnarray}
R_{th(j-c)}=\displaystyle\frac{Tj-25[^\circ\mathrm{C}]}{Pd}=600[^\circ\mathrm{C}/W]
\end{eqnarray}
となります。

以上より、順電流IFが100mA流れた場合の自己発熱による温度上昇ΔTは、
\begin{eqnarray}
ΔT=R_{th(j-c)}×P_{LOSS}=600[℃/W]×80[mW]=48[^\circ\mathrm{C}]
\end{eqnarray}
となります。

このようにダイオードに電流が流れることで、温度上昇ΔTが生じます。

例えば、電源ONしてダイオードに電流が流れ始めると、自己発熱によって温度が徐々に上昇し、順方向電圧VFは少しずつ低下します。

順方向電圧VFが低下することで、消費電力PLOSSも少なくなります。そのため、最終的にある温度で飽和して落ち着きます。

ダイオードの順方向電圧VFを利用するような回路においては、ダイオードの自己発熱による順方向電圧VFの変化も考慮する必要があります。

その他

ダイオードの順方向電圧VFは温度によって変化します。

この温度特性を打ち消すことを「温度補償」といいます。

回路形態を工夫することで、温度特性を打ち消した「温度補償回路」というものが存在します。

詳しい説明は後日説明します。

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