電流検出回路とは?【オペアンプとトランジスタで構成できます】

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この記事では『電流検出回路』について

  • 電流検出回路とは
  • 電流検出回路のシミュレーション
  • 『ハイサイド電流測定』と『ローサイド電流測定』

などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。

電流検出回路とは

電流検出回路とは

電流検出回路は負荷などに流れる電流の大きさを測定する回路です。電流検出抵抗の両端電圧を観測して換算することで、負荷に流れる電流を測定することができます。

電流検出回路には様々な回路構成があります。一例として上図に『抵抗\(R_S\),\(R_1\),\(R_2\)とNPN型トランジスタ\(Q_1\)とオペアンプで構成された電流検出回路』を示しています。上図の電流検出回路の場合、OUT端子の電圧\(V_{OUT}\)は次式で表されます。

\begin{eqnarray}
V_{OUT}=R_S×I_S×\frac{R_2}{R_1}\tag{1}
\end{eqnarray}

抵抗\(R_1\)と\(R_2\)の抵抗比\(\left(\displaystyle\frac{R_2}{R_1}\right)\)によって、電流検出抵抗\(R_S\)にかかる電圧\(R_S\)×\(I_S\)を換算しています。

電流検出に使う抵抗は『シャント抵抗』と呼ばれています。

電流検出回路の式導出

電流検出回路の式導出

では次に(1)式の導出方法について説明します。

オペアンプの反転入力端子(オペアンプの「-」の箇所)と非反転入力端子(オペアンプの「+」の箇所)の電圧が等しくなるように、NPN型バイポーラトランジスタ\(Q_1\)が動作します。そのため、抵抗\(R_1\)に流れる電流を\(I_1\)とすると次式が成り立ちます。

\begin{eqnarray}
R_S×I_S=R_1×I_1\\
\\
{\Leftrightarrow}I_1=\frac{R_S×I_S}{R_1}\tag{2}
\end{eqnarray}

また、NPN型バイポーラトランジスタ\(Q_1\)に流れるベース電流\(I_B\)は非常に小さいため、無視すると、OUT端子の電圧\(V_{OUT}\)は次式となります。

\begin{eqnarray}
V_{OUT}=R_2×I_1=R_2×\frac{R_S×I_S}{R_1}=R_S×I_S×\frac{R_2}{R_1}
\end{eqnarray}

これで式の導出を終わります。

電流検出回路のシミュレーション

電流検出回路のシミュレーション

電流検出回路の動作をLTspiceでシミュレーションしてみます。

ここでは一例として、\(R_S=0.1{\mathrm{[{\Omega}]}}\)、\(R_1=100{\mathrm{[{\Omega}]}}\)、\(R_2=1000{\mathrm{[{\Omega}]}}\)とします。すると、(1)式は次式となり、OUT端子の電圧\(V_{OUT}\)と電流検出抵抗\(R_S\)に流れる電流\(I_S\)が等しくなります。

\begin{eqnarray}
V_{OUT}=R_S×I_S×\frac{R_2}{R_1}=0.1×I_S×\frac{1000}{100}=I_S\tag{1}
\end{eqnarray}

シミュレーションでは『.dc解析』を用いて負荷に流れる電流\(I_{OUT}\)(オペアンプに流れ込む電流を無視すると電流検出抵抗\(R_S\)に流れる電流\(I_S\)と等しい)を0Aから5Aに変化させています。

シミュレーション結果でもOUT端子の電圧\(V_{OUT}\)と負荷に流れる電流\(I_{OUT}\)(≈\(I_S\))が等しくなっていることが確認できます。

『ハイサイド電流測定』と『ローサイド電流測定』

『ハイサイド電流測定』と『ローサイド電流測定』

負荷に流れる電流の電源側に電流検出抵抗\(R_S\)を置き、その両端電圧を観測することをハイサイド電流測定ハイサイド電流検出などと呼ばれています。

一方、負荷に流れる電流のGND側に電流検出抵抗\(R_S\)を置き、その両端電圧を観測することをローサイド電流測定ローサイド電流検出などと呼ばれています。

『ハイサイド電流測定』と『ローサイド電流測定』にはメリットデメリットがあります。

ハイサイド電流測定負荷のGNDが浮かないというメリットがありますが、電流検出回路が複雑になります

一方、ローサイド電流測定GND基準になるため電流検出回路の構成を単純にすることができますが、負荷のGNDが浮いてしまします

なお、先ほど説明した『抵抗\(R_S\),\(R_1\),\(R_2\)とNPN型トランジスタ\(Q_1\)とオペアンプで構成された電流検出回路』は電源側に電流検出抵抗\(R_S\)があるため、『ハイサイド電流測定』となります。

まとめ

この記事では『電流検出回路』について、以下の内容を説明しました。

  • 電流検出回路とは
  • 電流検出回路のシミュレーション
  • 『ハイサイド電流測定』と『ローサイド電流測定』

お読み頂きありがとうございました。

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