この記事では『ブリーダ抵抗』について
- ブリーダ抵抗とは
- ブリーダ抵抗の用途と計算方法
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
ブリーダ抵抗とは
ブリーダ抵抗は、ある程度の負荷電流を流すために、平滑回路と並列に接続してある抵抗です。
ブリーダ抵抗は「無負荷時(負荷電流\(I_{OUT}\)が0Aの時)」もしくは「軽負荷時(負荷電流\(I_{OUT}\)が小さい時)」において、出力電圧\(V_{OUT}\)を安定させる目的で用いられます。
回路によっては、安定に動作させるために、ある程度の負荷電流を流す必要があります。例えば、上図に示す電源回路(例:フライバックコンバータ)では、無負荷だと、MOSFETのスイッチング動作が不安定になったり、負荷の急激な変化に応答できなかったりする場合があります。この場合、平滑回路と並列にブリーダ抵抗を接続して、無負荷の状態が生じないようにすることで(ある程度の負荷電流\(I_{OUT}\)を流すことで)、回路を安定動作させることができます。
補足
ブリーダ抵抗は、『ダミー抵抗』と呼ばれることがあります。
ブリーダ抵抗の用途
ブリーダ抵抗の主な用途を下記に示します。
- 出力電圧の安定化
- ブリーダ抵抗を接続することで、スイッチング動作を安定化させたり、負荷の急激な変化に応答させたりさせることができます。
- 平滑コンデンサの放電用
- 電源がOFFになると、出力電圧\(V_{OUT}\)が低下しますが、出力平滑コンデンサ\(C_{OUT}\)の容量が大きいと、出力電圧\(V_{OUT}\)が低下するのに時間がかかります。早く出力電圧\(V_{OUT}\)を低下させるために、出力平滑コンデンサ\(C_{OUT}\)の放電用にブリーダ抵抗を接続することがあります。
ブリーダ抵抗の計算方法
一例として、上図に示す電源回路(例:フライバックコンバータ)において、
- 出力電圧\(V_{OUT}=24{\mathrm{[V]}}\)
- ブリーダ抵抗に流す電流\(I_{OUT2}=20{\mathrm{[mA]}}\)
とした時、ブリーダ抵抗の抵抗値\(R\)と消費電力\(P_{LOSS}\)を計算してみましょう。
出力電圧\(V_{OUT}\)が24Vの電源回路において、ブリーダ抵抗に流す電流\(I_{OUT2}\)を20mAとした場合、オームの法則より、ブリーダ抵抗の抵抗値\(R\)は以下の値となります。
\begin{eqnarray}
R=\frac{V_{OUT}}{I_{OUT2}}=\frac{24}{20×10^{-3}}=1.2{\mathrm{[k{\Omega}]}}
\end{eqnarray}
また、ブリーダ抵抗での消費電力\(P_{LOSS}\)は次式となります。
\begin{eqnarray}
P_{LOSS}=\frac{{V_{OUT}}^2}{R}=\frac{24^2}{1.2×10^3}=0.48{\mathrm{[W]}}
\end{eqnarray}
また、抵抗はこの消費電力\(P_{LOSS}\)によって温度が上昇します。抵抗の温度上昇は、定格電力比(抵抗の定格電力\(P_{RATED}\)に対する消費電力\(P_{LOSS}\))が小さいほど小さくなります。そのため、選定する抵抗の定格電力\(P_{RATED}\)は余裕をもって、2W品や3W品を選定することをオススメします。
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2W品や3W品の抵抗がない場合には、抵抗を複数個並列接続させることで、各抵抗で消費する消費電力を小さくすることができます。
まとめ
この記事では『ブリーダ抵抗』について、以下の内容を説明しました。
- ブリーダ抵抗とは
- ブリーダ抵抗の用途と計算方法
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