この記事では、バイポーラトランジスタの絶対最大定格に記載されている定格電圧について説明します。
バイポーラトランジスタの『定格電圧』について!
バイポーラトランジスタにおいて、定格電圧に関するものは上図の3つあります。PN接合に対して、逆方向電圧の最大電圧を規定したものとなっています。
コレクタベース間電圧VCBO
エミッタ(E)をオープン(O)にした状態において、コレクタ(C)とベース(B)間に印加できる最大の電圧のこと。
コレクタベース間電圧VCBOを超える電圧が印加されると、なだれ降伏現象を起こして破壊します。
VCBOとは、CBは「コレクタ(C)からベース(B)への電圧」、Oは「残った端子のエミッタはオープン(O)」ということを意味しています。
コレクタエミッタ間電圧VCEO
ベース(B)をオープン(O)にした状態において、コレクタ(C)とエミッタ(E)間に印加できる最大の電圧のこと。
3つの定格電圧の中で最も重要なパラメータであり、コレクタベース間電圧VCBOと同じか微妙に小さい値となっています。
コレクタエミッタ間電圧VCEOを超える電圧が印加されると、なだれ降伏現象を起こして破壊します。
VCEOとは、CEは「コレクタ(C)からエミッタ(E)への電圧」、Oは「残った端子のベースはオープン(O)」ということを意味しています。
エミッタベース間電圧VEBO
コレクタ(C)をオープン(O)にした状態において、エミッタ(E)とベース(B)に印加できる最大の電圧のこと。
この耐圧は一般的に5Vくらいのものが多いそうです。
エミッタベース間電圧VEBOを超える電圧が印加されると、直流電流増幅率hFEが低下など特性が変わり元に戻らなくなります。
エミッタ(E)とコレクタ(C)はNPNトランジスタの場合はN型半導体、PNPトランジスタの場合はP型半導体と同じですが、エミッタはコレクタよりも不純物濃度が高いため、コレクタベース間電圧VCBOより定格電圧が低くなります。
VEBOとは、EBは「エミッタ(E)からベース(B)への電圧」、Oは「残った端子のコレクタはオープン(O)」ということを意味しています。
なお、絶対最大定格には以下の記事に記載していますので参考にしてください。
あわせて読みたい
バイポーラトランジスタの『定格電圧』の値
バイポーラトランジスタの『定格電圧』はバイポーラトランジスタによって変わります。データシートを確認してください。
上図は東芝製バイポーラトランジスタ(2SC1815)の絶対最大定格です。
- コレクタベース間電圧VCBO:60V
- コレクタエミッタ間電圧VCEO:50V
- エミッタベース間電圧VEBO:5V
となっています。
【補足】その他の『定格電圧』
先ほど説明した定格電圧以外に以下のものもあります。あまり見かけることはないと思います。
コレクタエミッタ間電圧VCES
ベース(B)をショートにした状態において、コレクタ(C)とエミッタ(E)間に印加できる最大の電圧のこと。
コレクタエミッタ間電圧VCER
ベース(B)に抵抗が接続された状態において、コレクタ(C)とエミッタ(E)間に印加できる最大の電圧のこと。
コレクタエミッタ間電圧VCEX
ベースエミッタ間が逆バイアスされた状態において、コレクタ(C)とエミッタ(E)間に印加できる最大の電圧のこと。
まとめ
この記事ではバイポーラトランジスタの絶対最大定格に記載されている定格電圧について、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- バイポーラトランジスタの『定格電圧』とは
- バイポーラトランジスタの『定格電圧』の値
お読み頂きありがとうございました。
当サイトでは電気に関する様々な情報を記載しています。当サイトの全記事一覧には以下のボタンから移動することができます。