基板には必ず入っている『電界コンデンサ』。
その電界コンデンサの頭部には印があります。十字形だったり、K字形だったり・・・色々な形があるやつです。
その印は防爆弁と呼ばれているのですが、その防爆弁は何のためにあるのか?
防爆弁の形の種類は色々あるけどどのような形のものがあるのか?
気になったので色々調べてまとめました。
これから詳しく説明します。
防爆弁とは
防爆弁とは、コンデンサの頭部(薄肉部と呼ばれている箇所)にある印のことです。圧力弁や安全弁とも呼ばれています。
防爆弁がある理由
電界コンデンサの爆発を防ぐために防爆弁があります。
電界コンデンサに対して、『逆電圧印可』、『定格電圧を超える過電圧印可』、『加リプル電圧印可』、『交流電圧印可』、『急激な充放電』などを行うと、電界コンデンサ内部が発熱します。
この発熱によって、電界コンデンサ内の電界液や水分などの蒸発や、水素ガスの発生が生じます。
その結果、電界コンデンサの内圧が上昇し、この内圧を電界コンデンサが絶えられなくなると、電界コンデンサが派手に破裂して爆発します。
爆発した結果、電界コンデンサの内容物が外部へ飛散します。
この爆発を防ぐために防爆弁があるのです。電界コンデンサの内圧が上昇したら、防爆弁からガス抜きを行うことで、内圧の上昇を抑え、爆発を防ぐことができます。ちなみに、ガス抜き後は電界コンデンサを使用することはできません。
防爆弁の種類
防爆弁はメーカによって異なります。
十字形、K字形、Y字形、X字形、T字形、V字形など様々な形状の防爆弁があります。各メーカと防爆弁の形を一覧にすると下記のようになります。
今回紹介したのは国内メーカの電界コンデンサです。海外製はほとんどが十字形となっています。
日本ケミコンの防爆弁
Y字形の防爆弁です。アルファベットの”Y”とは少しことなり、120度おきに線が出ています。
ちなみに、Y字形の中心付近にマークがあるのは日本ケミコン製ではなく、TEAPO製となっています。間違えやすいので注意です。
ニチコンの防爆弁
十字形の防爆弁です。海外製の電界コンデンサの防爆弁は十字形が多いです。
ルビコンの防爆弁
K字形の防爆弁です。後に出てくる三洋電子の防爆弁もK字形ですが、ルビコンとは少し異なります。ルビコンは“l”に“く”をくっつけた形です。この形の防爆弁は他メーカと被っていないので、この形を見ればルビコン製と考えてよいです。ちなみに、三洋電子はアルファベットの”K”です。
エルナーの防爆弁
“ ━ ”に” )”が付いた防爆弁です。この形の防爆弁も他メーカと被っていないので、この形を見ればエルナー製と考えてよいです。
パナソニックの防爆弁
これはラジアルリード形の電界コンデンサではアルファベットの“T”の縦棒が突き出た防爆弁です。基板自立形ではアルファベットの“T”の横棒が曲がったような防爆弁になります。
マルコンの防爆弁
V字形の防爆弁です。この形の防爆弁は他メーカと被っていないので、この形を見ればマルコン製と考えてよいです。マルコンは日本ケミコンの関連会社です。現在は日本ケミコンに吸収合併されています。
三洋電子の防爆弁
K字形の防爆弁です。アルファベットの小文字の”x“のような形をした防爆弁もあるのですが、基本はアルファベットの”K”の形をした防爆弁です。
サン電子の防爆弁
K字形、x字形、Y字形の防爆弁です。
東信工業の防爆弁
Y字形、十字形、x字形の防爆弁です。
まとめ
このように防爆弁の形は色々あるので、基板を見た際にはどのような形になっているのかを確認しながらみると少し面白いかもしれないですね。