この記事では『抵抗の直並列接続』について
- 直並列接続された抵抗の合成抵抗の『求め方』と『例題』
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
抵抗の直並列接続
図1に示す回路は、抵抗\(R_2\)と抵抗\(R_3\)が並列接続され、それに抵抗\(R_1\)が直列接続されています。このような接続方法を「抵抗の直並列接続」といいます。
ポイント
『直列接続』と『並列接続』を組み合わせた接続方法が『直並列接続』です。
上図に示しているような直並列接続された抵抗の場合、合成抵抗\(R\)は以下の手順(ステップ1,2)で求めることができます。
合成抵抗Rを求める手順
- 並列接続されている抵抗\(R_2\)と\(R_3\)の合成抵抗\(R_{23}\)を求める。
- 抵抗\(R_1\)と合成抵抗\(R_{23}\)の合成抵抗\(R\)を求める
ステップ1
まず、並列接続されている抵抗\(R_2\)と\(R_3\)の合成抵抗\(R_{23}\)を求めます。
並列接続された抵抗の場合、合成抵抗\(R_{23}\)の逆数\(\displaystyle\frac{1}{R_{23}}\)は各抵抗の逆数の和で計算することができ、次式で表されます。
\begin{eqnarray}
\frac{1}{R_{23}}=\frac{1}{R_2}+\frac{1}{R_3}\tag{1}
\end{eqnarray}
上式を変形すると、合成抵抗\(R_{23}\)は次式で表されます。
\begin{eqnarray}
R_{23}=\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{R_2}+\displaystyle\frac{1}{R_3}}=\frac{R_2×R_3}{R_2+R_3}\tag{2}
\end{eqnarray}
合成抵抗\(R_{23}\)は1つの抵抗と見なせるので、図2のように変形することができます。このように変形すると、抵抗\(R_1\)と合成抵抗\(R_{23}\)が直列接続されているようになります。
ステップ2
次に、抵抗\(R_1\)と合成抵抗\(R_{23}\)の合成抵抗\(R\)を求めます。
直列接続された抵抗の場合、合成抵抗\(R\)は各抵抗の和で計算することができ、次式で表されます。
\begin{eqnarray}
R=R_1+R_{23}=R_1+\frac{R_2×R_3}{R_2+R_3}\tag{3}
\end{eqnarray}
合成抵抗って何?
回路に複数の抵抗がある時、複数の抵抗をまとめて1つの抵抗と見なしたものを「合成抵抗」といいます。
あわせて読みたい
抵抗の『直列接続』と『並列接続』については下記の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。
抵抗の直並列接続の例題
例題
上図に示した回路において、電源電圧\(V\)が\(60{\mathrm{[V]}}\)、抵抗\(R_1\)が\(6{\mathrm{[{\Omega}]}}\)、抵抗\(R_2\)が\(6{\mathrm{[{\Omega}]}}\)、抵抗\(R_3\)が\(12{\mathrm{[{\Omega}]}}\)の時、
- 抵抗\(R_1\)と抵抗\(R_2\)と抵抗\(R_3\)の合成抵抗\(R\)は何\({\mathrm{{\Omega}}}\)でしょうか。
- 回路に流れる電流\(I\)は何\({\mathrm{A}}\)でしょうか。
- 抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2\)は何\({\mathrm{A}}\)でしょうか。
- 抵抗\(R_1\)にかかる電圧\(V_1\)は何\({\mathrm{V}}\)でしょうか。
- 抵抗\(R_2\)にかかる電圧\(V_2\)は何\({\mathrm{V}}\)でしょうか。
解答
抵抗\(R_2\)と\(R_3\)の合成抵抗\(R_{23}\)は以下の値となります。
\begin{eqnarray}
R_{23}&=&\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{R_2}+\displaystyle\frac{1}{R_3}}\\
\\
&=&\frac{R_2×R_3}{R_2+R_3}\\
\\
&=&\frac{6×12}{6+12}\\
\\
&=&4{\mathrm{[{\Omega}]}}\tag{4}
\end{eqnarray}
抵抗\(R_1\)と合成抵抗\(R_{23}\)は直接接続されているので、合成抵抗\(R\)は各抵抗の和で計算することができ、以下の値となります。
\begin{eqnarray}
R=R_1+R_{23}=6+4=10{\mathrm{[{\Omega}]}}\tag{5}
\end{eqnarray}
したがって、回路に流れる電流\(I\)はオームの法則より以下の値となります。
\begin{eqnarray}
I=\frac{V}{R}=\frac{60}{10}=6{\mathrm{[A]}}\tag{6}
\end{eqnarray}
また、抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2\)は分流の法則より以下の値となります。
\begin{eqnarray}
I_2=\frac{R_3}{R_2+R_3}I=\frac{12}{6+12}×6=4{\mathrm{[A]}}\tag{7}
\end{eqnarray}
抵抗\(R_1\)にかかる電圧\(V_1\)はオームの法則より以下の値となります。
\begin{eqnarray}
V_1=R_1I=6×6=36{\mathrm{[V]}}\tag{8}
\end{eqnarray}
同様に、抵抗\(R_2\)にかかる電圧\(V_2\)はオームの法則より以下の値となります。
\begin{eqnarray}
V_2=R_2I_2=6×4=24{\mathrm{[V]}}\tag{9}
\end{eqnarray}
まとめ
この記事では、『抵抗の直並列接続』について、以下の内容を説明しました。
- 直並列接続された抵抗の合成抵抗の『求め方』と『例題』
お読み頂きありがとうございました。
当サイトでは電気に関する様々な情報を記載しています。当サイトの全記事一覧は以下のボタンから移動することができます。
また、下記に当サイトの人気記事を記載しています。ご参考になれば幸いです。