この記事では『ダイオード』について
- ダイオードとは
- テスターでダイオードの『極性』を確認する方法
- テスターでダイオードの『不良』や『故障』を確認する方法
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
ダイオードとは
まず、ダイオードについて軽く説明します。
ダイオードは、電気の流れ(電流)を一方通行にする電子部品です。
ダイオードはP型半導体とN型半導体を接合した構造が一般的です。P型半導体側の端子をアノード(A)、N型半導体側の端子をカソード(K)といい、アノード(A)からカソード(K)には電流を流しますが、カソード(K)からアノード(A)には電流を流しません。
アノードの「A」とカソードの「K」
アノードの「A」は「Anode」の頭文字です。
カソードの「K」は「Kathode」の頭文字です。「Kathode」はドイツ語です。カソードは英語では「Cathode」と書きますが、この「Cathode」はドイツ語の「Kathode」が由来となっています。
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テスターでダイオードの『極性』を確認する方法
テスターを用いると、ダイオードの『極性(アノードとカソード)』を確認することができます。デジタルテスターの場合、『ダイオード検査モード』または『抵抗値検査モード』を用いると極性を確認することができます。
【テスター検査】ダイオード検査モードを用いた場合
デジタルテスターのダイオード検査モードはダイオードの順方向電圧\(V_F\)を測定できるモードです。テスターによって異なりますが、ダイオード検査モードには、ダイオード記号のマークがあります。
アノード(A)に赤いリード、カソード(K)に黒いリードを当てた時
ダイオードはアノード(A)からカソード(K)の方向に電流が流れます。また、デジタルテスターは赤いリードがプラス(+)、黒いリードがマイナス(-)になっています。
そのため、ダイオードのアノード(A)に赤いリード(+)、カソード(K)に黒いリード(-)を当てると、ダイオードに電流が流れ、テスターには順方向電圧\(V_F\)が表示されます。順方向電圧\(V_F\)は最も一般的に用いられるシリコンダイオードでは0.4V~0.9V、ショットキーバリアダイオードやゲルマニウムダイオードでは0.2V~0.6Vの範囲となります。
表示値が0[V]または極端に小さい値の場合はショート不良、「O.L」または「O.F」の場合はオープン不良と考えられます。
アノード(A)に黒いリード、カソード(K)に赤いリードを当てた時
ダイオードはカソード(K)からアノード(A)には電流を流しません。
そのため、ダイオードのアノード(A)に黒いリード(-)、カソード(K)に赤いリード(+)を当てても電流が流れず、「O.L」または「O.F」とテスターに表示されます。
表示値が0[V]または極端に小さい値の場合はショート不良と考えられます。
赤いリード(+)と黒いリード(-)をアノード(A)とカソード(K)のどちらにつないでも、テスターの表示値が同じである場合、ダイオードが不良していると考えられます。
補足
- 「O.F」は「Over Flow(オーバーフロー)」の略です。「OF」、「O.F」、「O.F.」など省略の印であるピリオド(.)が入ったり入らなかったりします。
- 「O.L」は「Overflow Level」、「Over Load」の略です。「Over Range」をOLという場合もあります。テスターの取り扱い説明書によって略が異なります。なお、「OL」、「O.L」、「O.L.」など省略の印であるピリオド(.)が入ったり入らなかったりします。
- 基板に実装しているダイオードを検査する場合、基板に印加しているすべての電源をオフにし、ダイオードに電圧が印加されていないことを確認してください。
- コンデンサが充電されており、ダイオードに電圧が印加されている可能性があります。その場合、コンデンサを放電してください。
【テスター検査】抵抗値検査モードを用いた場合
デジタルテスターの抵抗値検査モードは、テスターにダイオード検査モードが無い時に使用します。テスターによって異なりますが、抵抗値検査モードには、Ω(←抵抗の単位)のマークがあります。
アノード(A)に赤いリード、カソード(K)に黒いリードを当てた時
ダイオードはアノード(A)からカソード(K)の方向に電流が流れます。
そのため、ダイオードのアノード(A)に赤いリード(+)、カソード(K)に黒いリード(-)を当てると、ダイオードに電流が流れ、テスターには抵抗値が表示されます。ダイオードにより異なりますが、テスターに表示される抵抗値は1kΩ~10MΩ程度の範囲となります。
表示値が0[Ω]または極端に小さい値の場合はショート不良と考えられます。
アノード(A)に黒いリード、カソード(K)に赤いリードを当てた時
ダイオードはカソード(K)からアノード(A)には電流を流しません。
そのため、アノード(A)に黒いリード(-)、カソード(K)に赤いリード(+)を当てても電流が流れず、テスターには「O.L」または「O.F」が表示されます。
表示値が0[Ω]または極端に小さい値の場合はショート不良と考えられます。
テスターでダイオードの『不良』や『故障』を確認する方法
先ほどは、ダイオードが正常の場合において、ダイオードの『極性』を確認する方法を説明しました。
では、次に、テスターでダイオードの『不良』や『故障』を確認する方法について説明します。
【テスター検査】ダイオードがショート不良・故障している時
ダイオードが『ショート不良』または『ショート故障』している場合、赤いリード(+)と黒いリード(-)をアノード(A)とカソード(K)のどちらにつないでも、電流が流れます。
そのため、『ダイオード検査モード』の場合、赤いリード(+)と黒いリード(-)をアノード(A)とカソード(K)のどちらにつないでも、表示値が0[V]または極端に小さい値になります。
『抵抗値検査モード』の場合、赤いリード(+)と黒いリード(-)をアノード(A)とカソード(K)のどちらにつないでも、表示値が0[Ω]または極端に小さい値になります。
【テスター検査】ダイオードがオープン不良・故障している時
ダイオードが『オープン不良』または『オープン故障』している場合、赤いリード(+)と黒いリード(-)をアノード(A)とカソード(K)のどちらにつないでも、電流が流れません。
そのため、『ダイオード検査モード』の場合、赤いリード(+)と黒いリード(-)をアノード(A)とカソード(K)のどちらにつないでも、表示値が「O.L」や「O.F」または極端に大きい値になります。
『抵抗値検査モード』の場合、赤いリード(+)と黒いリード(-)をアノード(A)とカソード(K)のどちらにつないでも、表示値が「O.L」や「O.F」または極端に大きい値になります。
まとめ
この記事では『ダイオード』について、以下の内容を説明しました。
- ダイオードとは
- テスターでダイオードの『極性』を確認する方法
- テスターでダイオードの『不良』や『故障』を確認する方法
お読み頂きありがとうございました。
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