テスターでMOSFETの『不良・故障』を確認する方法！

この記事では『MOSFET』について

MOSFETとは
テスターでMOSFETの『不良・故障』を確認する方法

などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。

MOSFETとは

まず、MOSFETについて軽く説明します。

MOSFETは3端子の素子であり、それぞれ、ゲート(G)、ドレイン(D)、ソース(S)といいます。

MOSFETはゲート酸化膜により『ゲート(G)』が『ドレイン(D)及びソース(S)』と絶縁されている構造をしています。また、ドレイン(D)-ソース(S)間はPN接合が形成されているため、寄生ダイオード(ボディダイオード)が内蔵されている構造となっています。

Nチャネル型MOSFETの場合、寄生ダイオードのアノード(A)がソース(S)、カソード(K)がドレイン(D)になります。一方、Pチャネル型MOSFETの場合、寄生ダイオードのアノード(A)がドレイン(D)、カソード(K)がソース(S)になります。

この寄生ダイオードによって、MOSFETの不良や故障を確認するためには、テスターをどのように接続すればよいのかが分かります。

テスターでMOSFETの『不良・故障』を確認する方法

デジタルテスターの場合、MOSFETの不良や故障を確認するためには、『ダイオード検査モード』または『抵抗値検査モード』を使用します。また、デジタルテスターは赤いリードがプラス(+)、黒いリードがマイナス(－)になっています。

テスターによって異なりますが、ダイオード検査モードにはダイオード記号のマークがあり、抵抗値検査モードにはΩ(←抵抗の単位)のマークがあります。

【テスター検査】Nチャネル型MOSFETの『不良・故障』を確認する方法

Nチャネル型MOSFETの場合、寄生ダイオードのアノード(A)がソース(S)、カソード(K)がドレイン(D)になります。

そのため、ソース(S)に赤いリード(+)、ドレイン(D)に黒いリード(－)を接続すると、寄生ダイオードが順バイアスされるため、電流が流れ、テスターには電圧値(0.6V程度)が表示されます。一方、接続を逆にすると、等価回路のダイオードが逆バイアスされるため、電流が流れなくなり、テスターには「O.L」や「O.F」が表示されます。

赤いリード(+)と黒いリード(－)をソース(S)とドレイン(D)のどちらにつないでも、テスターの表示値が0[V]または極端に小さい値の場合はショート不良、「O.L」または「O.F」の場合はオープン不良と考えられます。

補足

MOSFETのゲート酸化膜は静電気に弱く、静電気によってゲート(G)が破損した場合、ゲート(G)-ソース(S)間のインピーダンスが有限の値となります。通常はインピーダンスが非常に高いため、テスターには「O.L」または「O.F」と表示されます。
「O.F」は「Over Flow(オーバーフロー)」の略です。「OF」、「O.F」、「O.F.」など省略の印であるピリオド(.)が入ったり入らなかったりします。
「O.L」は「Overflow Level」、「Over Load」の略です。「Over Range」をOLという場合もあります。テスターの取り扱い説明書によって略が異なります。なお、「OL」、「O.L」、「O.L.」など省略の印であるピリオド(.)が入ったり入らなかったりします。
基板に実装しているMOSFETを検査する場合、基板に印加しているすべての電源をオフにし、MOSFETに電圧が印加されていないことを確認してください。
コンデンサが充電されており、MOSFETに電圧が印加されている可能性があります。その場合、コンデンサを放電してください。

【テスター検査】Pチャネル型MOSFETの『不良・故障』を確認する方法

Pチャネル型MOSFETの場合、寄生ダイオードのアノード(A)がドレイン(D)、カソード(K)がソース(S)になります。

そのため、ドレイン(D)に赤いリード(+)、ソース(S)に黒いリード(－)を接続すると、寄生ダイオードが順バイアスされるため、電流が流れ、テスターには電圧値(0.6V程度)が表示されます。一方、接続を逆にすると、等価回路のダイオードが逆バイアスされるため、電流が流れなくなり、テスターには「O.L」や「O.F」が表示されます。