この記事では、IC等の発熱する表面実装部品(チップ部品)を放熱するために用いられる『サーマルパッド』と『サーマルビア』について、図を用いてなるべく分かりやすく説明します。
『サーマルパッド』とは
ICやトランジスタ等の発熱する表面実装部品(チップ部品)は放熱する必要があります。そのため、上図に示すようにパッケージの裏面にパッドを設けている表面実装部品があり、パッドからプリント基板に放熱することがあります。このパッドのことを『サーマルパッド』といいます。サーマルパッドはGNDレベルとなっています。
なお、プリント基板上にはサーマルパッドをはんだ付けするため広いGNDパターン(銅パターン)を用意する必要があります。
補足
- サーマルパッドは英語では『Thermal Pad』と書きます。英語で調べる際には『Exposed-Pad(E-Pad)』で検索すると様々な情報が出てきます。
- サーマルパッドは放熱以外にも『GNDのインピーダンスを低くする役割』や『接合強度を高める役割』もあります。
- サーマルパッドは基板上のGNDパターンにはんだ付けしなくても動作する場合が多いですが、放熱の観点やインピーダンスの観点から接続することをオススメします。
『サーマルビア』とは
表面実装部品のサーマルパッドをプリント基板上のGNDパターンにはんだ付けすることによって、放熱することができますが、放熱性能を高めるために、GNDパターンに『サーマルビア』を設けていることがあります。サーマルビアとは基板を貫通している穴のことです。
多層基板の場合、銅層を絶縁しているエポキシ樹脂は断熱材に近い熱抵抗を持っています。そこで、基板表面に配置しているチップ部品の発熱を内層や裏面に放熱するためにサーマルビアを用いています。通常、ビアは層間の電気的な接続を得るために用いるものですが、放熱用途としても用いることができるのです。
補足
- サーマルビアは英語では『Thermal via』と書きます。英語で調べる際には『Thermal vias』と『s』を付けて検索すると様々な情報が出てきます。
- サーマルビアの内径が長いと、リフロー工程において、半田を吸い上げてしまうことがあるので注意が必要です。会社により様々なノウハウがありますが、内径0.3mm程度がオススメと書いてある資料が多いです。
- サーマルビアの間隔は1.2mm程度がオススメと書いてある資料が多いです。
- サーマルパッドの直下だけでは放熱が不足する場合には、チップ部品の周辺にサーマルビアを配置することで放熱性能を高めることができます。
まとめ
この記事では『サーマルパッド』と『サーマルビア』について、下記の内容を説明しました。
- 『サーマルパッド』と『サーマルビア』の特徴
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