この記事ではレンツの法則について
- レンツの法則とは
- 『レンツの法則』を用いて『誘導起電力の向き』がどのように決まるのか
などを図を用いて分かりやすく説明しています。
レンツの法則とは
レンツの法則とは、「電磁誘導によって生じる誘導起電力の向き」を表した法則です。
誘導起電力の向きは「元の磁束の変化を妨げる方向」となります。
もう少し詳しく説明します。
例えば、上図のように磁石のN極をコイルに近づけた場合の誘導起電力の向きは以下の流れで決まります。
磁石のN極をコイルに近づけた場合
- 磁石のN極をコイルに近づけると、右から左に鎖交する磁束(赤色)が増加します。
- コイルはレンツの法則によって、磁束の変化を妨げる方向(左から右)に磁束(緑色)を発生させます。
- コイルには左から右の磁束を発生する向きに誘導電流(青色)が流れます。この誘導電流の向きは右手の法則(または右ねじの法則)によって決まります。
- この誘導電流が流れる向きに誘導起電力(紫色)が発生します。
補足
レンツの法則は英語では、「Lenz's law」と書きます。19世紀にロシアの物理学者、ハインリヒ・レンツ(Lenz)によって発見されました。
『レンツの法則』と『ファラデーの法則』
レンツの法則は誘導起電力の「向き」を表します。一方、ファラデーの法則は誘導起電力の「大きさ」を表します。ファラデーの法則については以下の記事で説明していますので参考にしてください。
【ファラデーの法則とは?】『公式』や『積分形』や『微分形』などを詳しく解説!
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『レンツの法則』を用いて『誘導起電力の向き』がどのように決まるのか
次にレンツの法則を用いて以下の場合における誘導起電力を調べてみましょう。
- N極をコイルに近づけた場合
- N極をコイルから遠ざけた場合
- S極をコイルに近づけた場合
- S極をコイルから遠ざけた場合
N極の移動による誘導起電力の向き
N極をコイルに近づけた場合
磁石のN極をコイルに近づけた場合
- 磁石のN極をコイルに近づけると、右から左に鎖交する磁束(赤色)が増加します。
- コイルはレンツの法則によって、磁束の変化を妨げる方向(左から右)に磁束(緑色)を発生させます。
- コイルには左から右の磁束を発生する向きに誘導電流(青色)が流れます。この誘導電流の向きは右手の法則(または右ねじの法則)によって決まります。
- この誘導電流が流れる向きに誘導起電力(紫色)が発生します。
N極をコイルから遠ざけた場合
磁石のN極をコイルから遠ざけた場合
- 磁石のN極をコイルから遠ざけると、右から左に鎖交する磁束(赤色)が減少します。
- コイルはレンツの法則によって、磁束の変化を妨げる方向(右から左)に磁束(緑色)を発生させます。
- コイルには右から左の磁束を発生する向きに誘導電流(青色)が流れます。この誘導電流の向きは右手の法則(または右ねじの法則)によって決まります。
- この誘導電流が流れる向きに誘導起電力(紫色)が発生します。
S極の移動による誘導起電力の向き
S極をコイルに近づけた場合
磁石のS極をコイルに近づけた場合
- 磁石のS極をコイルに近づけると、左から右に鎖交する磁束(赤色)が増加します。
- コイルはレンツの法則によって、磁束の変化を妨げる方向(右から左)に磁束(緑色)を発生させます。
- コイルには右から左の磁束を発生する向きに誘導電流(青色)が流れます。この誘導電流の向きは右手の法則(または右ねじの法則)によって決まります。
- この誘導電流が流れる向きに誘導起電力(紫色)が発生します。
S極をコイルから遠ざけた場合
磁石のS極をコイルから遠ざけた場合
- 磁石のS極をコイルから遠ざけると、左から右に鎖交する磁束(赤色)が減少します。
- コイルはレンツの法則によって、磁束の変化を妨げる方向(左から右)に磁束(緑色)を発生させます。
- コイルには左から右の磁束を発生する向きに誘導電流(青色)が流れます。この誘導電流の向きは右手の法則(または右ねじの法則)によって決まります。
- この誘導電流が流れる向きに誘導起電力(紫色)が発生します。
まとめ
この記事ではレンツの法則ついて、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- レンツの法則とは
- 『レンツの法則』を用いて『誘導起電力の向き』がどのように決まるのか
お読み頂きありがとうございました。
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