シャントレギュレータ

【設計】ツェナーダイオードを用いたシャントレギュレータ

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シャントレギュレータの基本回路『ツェナーダイオードを用いたシャントレギュレータ』の設計方法について説明します。

回路形態

ツェナーダイオードを用いたシャントレギュレータの回路形態
ツェナーダイオードのツェナー電圧を利用した回路です。直列抵抗RSとツェナーダイオードのみで構成されるシンプルな回路となっています。負荷と並列にツェナーダイオードを接続することで、負荷にかかる電圧がツェナー電圧と等しくなります。例えば、5.1Vのツェナーダイオードを使用すると、出力電圧は5.1Vとなります。

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設計方法

設計方法
設計するにあたって、今回の仕様を書きます。
以下の仕様において、最適な直列抵抗RSの抵抗値を設計します。

【仕様】

  • 入力電圧VIN:10V~15V
  • 出力電圧IOUT:0mA~10mA
  • 出力電圧VOUT:5.1V(ツェナーダイオードのツェナー電圧と同じ)
  • 使用ツェナーダイオード:1N5231B
  • ツェナーダイオードの最少電流IZ(MIN) :20mA

その後、以下の項目を求めていきます。

  • 直列抵抗RSの最大消費電力が何Wになるか?
  • ツェナーダイオードの最大消費電力は使用ツェナーダイオード『1N5231B』の最大定格電力以下になっているか?
  • 出力電圧VOUTのバラツキはどれくらいか?

ではこれから詳しく説明していきたいと思います。

直列抵抗RSの抵抗値の設計

直列抵抗の抵抗値の設計
ツェナーダイオードにかかる電圧(ツェナー電圧)VZを一定にするためには、ある所定以上の電流をツェナーダイオードに常に流しておく必要があります。今回、ツェナーダイオードに流す電流の最少電流IZ(MIN) を20[mA]とします。

ツェナーダイオードに流れる電流IZが最少電流IZ(MIN) となるときは、以下の2つの条件が重なったときです。

  • 入力電圧VINが最小値VIN(MIN) となるとき
  • 出力電流IOUTが最大値IOUT(MAX) となるとき

この時、直列抵抗RSに流れる電流ISは出力電流Iの最大値IOUT(MAX) とツェナーダイオードの最少電流IZ(MIN) の足し算となり、

$$ I_S= I_{OUT(MAX)}+ I_{Z(MIN)} =10[mA]+20[mA]=30[mA]$$
となります。

また、直列抵抗RSにかかる電圧VSは入力電圧の最小値VIN(MIN) とツェナー電圧VZの引き算となり、

$$ V_S= V_{IN(MIN)}-V_{Z} =10[V]-5.1[V]=4.9[V]$$
となります。

よって、直列抵抗RSの抵抗値は

$$ R_S=\frac{V_S}{I_S}=\frac{4.9[V]}{30[mA]}{\approx}163[Ω]$$
となります。

直列抵抗RSの最大消費電力の計算

直列抵抗の最大消費電力の計算
直列抵抗RSの抵抗値が求まったので、次は直列抵抗RSに生じる最大消費電力を求めます。直列抵抗RSに生じる電力が最大となるときは、以下の条件のときです。

  • 入力電圧VINが最大値VIN(MAX)となるとき

この時、直列抵抗RSにかかる電圧VSが最大となり、その結果、直列抵抗RSの消費電力が最大となるのです。

直列抵抗RSにかかる最大電圧VS(MAX)

$$ V_{S(MAX)}= V_{IN(MAX)}-V_{Z} =15[V]-5.1[V]=9.9[V]$$
となります。

そのため、直列抵抗RSの最大消費電力PS(MAX)
$$P_{S(MAX)}=\frac{V_{S(MAX)} ^2}{R_S}=\frac{9.9[V]^2}{163[Ω]}{\approx}0.6[W]$$
となります。

よって、0.6W以上の抵抗を用いる必要があります。

ツェナーダイオードの最大消費電力の計算

ツェナーダイオードの最大消費電力の計算
ツェナー電圧VZは一定なので、ツェナーダイオードに流れる電流が最大となるときが、ツェナーダイオードは一番電力を消費します。

ツェナーダイオードに流れる電流が最大となるときは、以下の2条件が重なったときです。

  • 入力電圧VINが最大値VIN(MAX)となるとき
  • 入力電流IOUTが最小値IOUT(MIN) となるとき

この時、ツェナーダイオードに流れる最大電流IZ(MAX)
$$I_{Z(MAX)}=\frac{V_{IN(MAX)}-V_Z}{R_S}=\frac{15[V]-5.1[V]}{163[Ω]}{\approx}60[mA]$$
となります。

その結果、ツェナーダイオードの最大消費電力PZ(MAX)
$$ P_{Z(MAX)}= I_{Z(MAX)}×V_{Z}=60[mA]×5.1[V]{\approx}306[mW]$$
となります。

今回、使用しているツェナーダイオードは『1N5231B』です。このデータシートを見ると、以下のように許容電力PDが記載してあります。
1N5231B

周囲温度TAが25℃の時は許容電力PDは500[mW]なので、このツェナーダイオードを使用しても大丈夫そうです。ただ、周囲温度TAが上がると、許容電力PDは下がっていくので、周囲温度が高い場合には注意が必要になります。『消費電力ー周囲温度特性』などのグラフを用いて、どれくらい電力が使用するか確認する必要があります。

出力電圧のバラツキを計算する

出力電圧のバラツキを計算する
設計が終わったところで、次に出力電圧のバラツキを計算してみます。

出力電圧がばらつく要因として、『ツェナー電圧自体のバラツキ』と『ツェナーダイオードに流れる電流によるバラツキ』があります。この2つを考えて出力電圧のバラツキを計算します。

ツェナー電圧自体のバラツキ

データシートを見ると、ツェナー電流IZが20[mA]の時、ツェナー電圧VZの標準値が5.1[V]、最小値が4.845[V]、最大値が5.355[V]と記載してあります。

つまり、ツェナー電圧自体にバラツキがあるということです。

ツェナーダイオードに流れる電流によるバラツキ

今回、ツェナーダイオードに流れる最大電流IZ(MAX)は60[mA]です。ツェナーダイオードに流れる電流によってツェナー電圧VZ(MAX)がばらつくのでそのバラツキ具合を計算してみます。

データシートを見ると、ツェナーダイオードのインピーダンスはツェナー電流IZが20[mA]の時、17Ωとなっています。

ツェナーダイオードは一定電圧を維持する素子ですが、ツェナー電流IZが上がると、多少ツェナー電圧VZも上がります。

今回、最大電流60mAが流れる時は、
$$ΔV_Z = 17[Ω]×(60[mA]-20[mA])=0.68[V]$$
ツェナー電圧VZが上がります。

合計バラツキの計算

出力電圧が最小となるとき
ツェナー電流IZが20[mA]の時、ツェナー電圧VZの最小値は4.845[V]です。今回、ツェナー電流の最少電流は20[mA]なので、電流によるバラツキはありません。

したがって、出力電圧の最小値VOUT(MIN)は4.845[V]となります。

出力電圧が最大となるとき
ツェナー電流IZが20[mA]の時、ツェナー電圧VZの最大値は5.355[V]です。
今回、ツェナー電流の最大電流は60[mA]なので、電流によるバラツキがあります。
ツェナーダイオードに60[mA]流れることで、ツェナー電圧VZは0.68[V]上昇します。

したがって、出力電圧の最大値VOUT(MAX)は5.355[V]+0.68[V]=6.035[V]となります。

すなわち、5.1Vのツェナーダイオードを使用しても、出力電圧にはバラツキが生じるのです。シャントレギュレータで出力精度が欲しいときにはTL431等の基準電圧IC(シャントレギュレータICとも呼ばれる)を使用する必要があります。

TL431等の基準電圧ICを使用した回路については後日記載します。

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