この記事では『トラッキング現象』について
- 『トラッキング現象』とは
- 『トラッキング現象』のメカニズム
- コンセントが火災を引き起こす原因
などを図を用いて分かりやすく説明しています。
トラッキング現象とは?
トラッキング現象とは、電極間にホコリや水分(湿気)などが溜まることで、微小電流が流れはじめ、プラグ表面に炭化導電路(トラック)ができ、電極間がショートする現象です。
トラッキング現象で有名なのは、電源プラグのトラッキング現象です。コンセントとプラグの間にホコリが溜まり、そのホコリが空気中の水分を吸収することによって、微小電流が流れ、発火します。発火の程度によって影響は異なりますが、コンセントの周りが焦げていたり、最悪の場合、火災を引き起こします。
トラッキング現象のメカニズム
トラッキング現象のメカニズムは具体的には以下のようになっています。
トラッキング現象のメカニズム
- 電極間にホコリや水分(湿気)などが溜まる。
- 電極間に微小電流が流れはじめる。
- 微小電流が流れることでジュール熱が発生し、絶縁物の表面が部分的に乾燥する。
- 乾燥した部分に電圧が集中することで、局部的に微小放電(シンチレーション)が発生する。
- 放電点が炭化する。
- この過程(1~5)が繰り返され、炭化が進行すると、炭化導電路(トラック)を形成し、電極間がショートとなるため、発熱・発火する。
ホコリは空気中の水分を吸収することによって、電流が流れるようになります。
トラッキング現象が起こりやすい場所
- ホコリが溜まりやすい場所にあるコンセント
- 湿気の多い場所にあるコンセント
【例】冷蔵庫・テレビ・電子レンジ・洗濯機などの家電製品の裏側、家具の裏側。頻繁に電源プラグの抜き差しをせず、かつホコリが溜まりやすいところに電源プラグを挿すためトラッキング現象を引き起こす可能性があります。
【例】台所、洗面所、加湿器の近く、水槽の近く
トラッキング現象の厄介なところは、家電製品を使用していなくても、コンセントに電源プラグを挿しているだけで発生する点です。そのため、留守中にも火災の可能性があるのでとても恐ろしい現象だと思います。
トラッキング現象の対策方法
- 定期的に部屋を掃除をすることでホコリの付着を防止する。
- 定期的にコンセントから電源プラグを抜いて、乾いた布でホコリを取り除く。
- 古い電源タップは使用しない。
- 家電製品を使用していないときにはコンセントから電源プラグを抜く。
- トラッキング現象防止機能が備わっている電源プラグを使用する。
- コンセントにトラッキング現象防止カバーを取り付ける。
- コンセントキャップを使用する。
- 電源タップ収納ボックスを使用する。
- トラッキング現象防止の電源タップを使用する。
電源タップは消耗品です。電源プラグや変色していたり、電源プラグの抜き差しがゆるくなっていたら交換しましょう。
電源プラグの刃の根本に絶縁性のキャップが取り付けられているもので、ホコリが溜まってもショートをしないため、発火を防ぐことが可能となります。
普段使用しないコンセントやタップの差込口をフタすることで、ホコリや異物の侵入をブロックします。
収納ボックスの中に電源タップを入れることでホコリほ付着を防止することができます。
トラッキング現象の発生を検知して、瞬時にブレーカーを落とし、電源供給を遮断することができる電源タップがある。
トラッキング現象が発生しやすい時期
ホコリと水分(湿気)があれば季節・時期に関わらず、常にトラッキング現象は発生する可能性があるのですが、湿度が高くなる梅雨の時期は特にトラッキング現象が発生しやすくなっています。
まとめ
この記事ではトラッキング現象について、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- トラッキング現象とは電極間にホコリや水分(湿気)などが溜まることで、微小電流が流れはじめ、プラグ表面に炭化導電路(トラック)ができ、電極間がショートする現象のこと
- トラッキング現象のメカニズム
- トラッキング現象が起こりやすい場所
- トラッキング現象の防止方法
- トラッキング現象が発生しやすい時期
お読み頂きありがとうございました。
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