サイリスタとは?『仕組み』や『用途』などを解説!

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この記事では『サイリスタ』について

  • サイリスタとは
  • サイリスタの『駆動方法』・『構造』・『等価回路』・『仕組み』・『用途』

などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。

サイリスタとは

サイリスタとは

サイリスタは、ダイオードにゲート端子を加えた素子です。上図に示すようにアノード(A)、カソード(K)、ゲート(G)の3つの端子があります。

ダイオードは、アノード(A)からカソード(K)にかかる電圧がプラス(正)の時に電流\(i_F\)が流れ、アノード(A)からカソード(K)にかかる電圧がマイナス(負)の時に電流\(i_F\)が流れなくなる素子です。

一方、サイリスタはアノード(A)からカソード(K)にかかる電圧がプラス(正)の時において、ゲート電流\(i_G\)を流すことで、電流\(i_F\)が流れるようになります。アノード(A)からカソード(K)にかかる電圧がマイナス(負)の時に電流\(i_F\)が流れなくなる特徴はダイオードと同じです。

補足

  • サイリスタは英語では「Thyristor」と書きます。
  • サイリスタはアメリカのゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company、略称: GE)によって開発されました。当時はSCR(Silicon Controlled Rectifier:シリコン制御整流子)という名だったので、サイリスタはSCRと呼ばれることがあります。

サイリスタの駆動方法

サイリスタの駆動方法

サイリスタをオンする方法

ゲート(G)にゲート電流\(i_G\)が流れることで、サイリスタがオンし、アノード(A)からカソード(K)に電流\(i_F\)を流すことができます。

一度サイリスタがオン状態になると、ゲート電流\(i_G\)による制御が失われ、ゲート(G)に流れる電流を遮断しても、アノード(A)からカソード(K)に電流\(i_F\)が流れ続けます。

サイリスタをオフする方法

アノード(A)からカソード(K)に流れる電流\(i_F\)がゼロ(厳密には保持電流以下)になると、サイリスタがオフします。

サイリスタの構造

サイリスタの構造

サイリスタはP型半導体N型半導体が4層構造になっており、「P型-N型-P型-N型」の順番で並んでいます。

最初のP型半導体がアノード(A)、最後のN型半導体がカソード(K)となっており、真ん中のP型半導体またはN型半導体のどちらかがゲート(G)となります。

P型半導体からゲート(G)端子を引き出しているものを「Pゲート品」N型半導体からゲート(G)端子を引き出しているものを「Nゲート品」といいます。

Pゲート品はゲート(G)に電流を"流し込む"ことでオンしNゲート品はゲート(G)から電流を"引き抜く"ことでオンします。

サイリスタの等価回路と仕組み

サイリスタの等価回路と仕組み

サイリスタは「P型-N型-P型-N型」の順番で並んでいる構造なので、PNP型トランジスタ\(Q_1\)NPN型トランジスタ\(Q_2\)を組み合わせた等価回路で表すことができます。

この等価回路を用いて、サイリスタの仕組みを説明します。

サイリスタ(Pゲート品)の仕組み

サイリスタ(Pゲート品)の仕組み

ゲート(G)に電流を流し込むと、NPN型トランジスタ\(Q_2\)のベースにベース電流\(I_{B2}\)が流れるため、NPN型トランジスタ\(Q_2\)がオンします。

NPN型トランジスタ\(Q_2\)がオンすると、PNP型トランジスタ\(Q_1\)のベースにベース電流\(I_{B1}\)が流れるため、PNP型トランジスタ\(Q_1\)がオンします。

PNP型トランジスタ\(Q_1\)がオンすると、コレクタ電流\(I_{C1}\)が流れます。このコレクタ電流\(I_{C1}\)はNPN型トランジスタ\(Q_2\)のベースに流れ込みます。

そのため、ゲート(G)に電流が流れなくなっても、NPN型トランジスタ\(Q_2\)のベースにベース電流\(I_{B2}\)が流れ続けているため、サイリスタのアノード(A)からカソード(K)に電流を流し続けることができます。

サイリスタをオフさせるためには、アノード(A)からカソード(K)に流れる電流がゼロ(厳密には保持電流以下)になることが必要です。

サイリスタ(Nゲート品)の仕組み

サイリスタ(Nゲート品)の仕組み

ゲート(G)から電流を引き抜くと、PNP型トランジスタ\(Q_1\)のベースにベース電流\(I_{B1}\)が流れるため、PNP型トランジスタ\(Q_1\)がオンします。

PNP型トランジスタ\(Q_1\)がオンすると、NPN型トランジスタ\(Q_2\)のベースにベース電流\(I_{B2}\)が流れるため、NPN型トランジスタ\(Q_2\)がオンします。

NPN型トランジスタ\(Q_2\)がオンすると、コレクタ電流\(I_{C2}\)が流れます。このコレクタ電流\(I_{C2}\)はPNP型トランジスタ\(Q_1\)のベースから供給されています。

そのため、ゲート(G)に電流が流れなくなっても、PNP型トランジスタ\(Q_1\)のベースにベース電流\(I_{B1}\)が流れ続けているため、サイリスタのアノード(A)からカソード(K)に電流を流し続けることができます。

サイリスタをオフさせるためには、アノード(A)からカソード(K)に流れる電流がゼロ(厳密には保持電流以下)になることが必要です。

サイリスタの用途

サイリスタの用途

サイリスタは整流回路に用いることができます。上図に示しているのは、交流電圧\(v_{IN}\)をサイリスタで整流して、負荷抵抗\(R_{OUT}\)に電圧を供給している回路です。

上図の右側に示している波形は上から交流電圧\(v_{IN}\)、ゲート電流\(i_G\)、出力電圧\(v_{OUT}\)です。

交流電圧\(v_{IN}\)がプラスの時、あるタイミングでサイリスタにゲート電流\(i_G\)が流れると、サイリスタがオンし、出力電圧\(v_{OUT}\)が出力されます。サイリスタは、一度オンするとゲート電流\(i_G\)が流れなくなっても、オンし続けます。

交流電圧\(v_{IN}\)がマイナスになると、サイリスタのアノード(A)からカソード(K)に電流が流れなくなるので、サイリスタがオフし、出力電圧\(v_{OUT}\)が0Vになります。

再び、交流電圧\(v_{IN}\)がプラスの状態になって、ゲート電流\(i_G\)が流れると、サイリスタはオンし、出力電圧\(v_{OUT}\)が出力されます。

整流素子に「ダイオード」を用いた場合

ダイオードとサイリスタの比較

整流素子に「サイリスタ」ではなく「ダイオード」を用いた場合、交流電圧\(v_{IN}\)がプラスの時、常にダイオードが導通します。サイリスタを用いることで、ゲート電流\(i_G\)を流すタイミングによってサイリスタを導通させるタイミングを制御することができます。

まとめ

この記事では『サイリスタ』について、以下の内容を説明しました。

  • サイリスタとは
  • サイリスタの『駆動方法』・『構造』・『等価回路』・『仕組み』・『用途』

お読み頂きありがとうございました。

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