この記事でははんだについて
- はんだの種類
- 各はんだの特徴
などを説明しています。
はんだの種類
はんだは大きく分けて、鉛を含む「鉛入りはんだ(有鉛はんだ)」と鉛を含まない「鉛フリーはんだ(無鉛はんだ)」があります。
「鉛入りはんだ」とはその名の通り鉛を含むはんだです。
鉛入りはんだでは「共晶はんだ」と呼ばれるものが主流になっています。その他には、融点が高い「高温はんだ」や融点が低い「低温はんだ」、ステンレス表面の薄い酸化膜を除去することができる「ステンレス用はんだ」などがあります。
「鉛フリーはんだ」とはその名の通り鉛を含まないはんだです。
鉛フリーはんだでは、「スズ(Sn):96.5%、銀(Ag):3.0%、銅(Cu):0.5%の成分で構成されたもの」が主流になっています。その他には、融点が低い「鉛フリー低温はんだ」やステンレス表面の薄い酸化膜を除去することができる「鉛フリーステンレス用はんだ」などがあります。
では、まず「鉛入りはんだ(有鉛はんだ)」の種類と各はんだの特徴をこれから詳しく説明していきます。
鉛入りはんだ(有鉛はんだ)の種類
共晶はんだ
「共晶はんだ」はスズ(Sn)が63%、鉛(Pb)が37%含まれているはんだです。鉛入りはんだでは主流になっています。
スズ(Sn)の融点は237℃、鉛(Pb)の融点は327℃ですが、スズ(Sn)を63%、鉛(Pb)を37%の割合で混ぜると、融点がもっとも低くなるのです。したがって、「共晶はんだ」は融点が低いという特徴があります。
また、共晶はんだはぬれ性が良いという特徴を持ちます。そのため、はんだ付けする金属と金属の隙間に入り込みやすく、金属同士を隙間なく密着した接続ができます。
下図はスズ(Sn)と鉛(Pb)の配合比に対する状態図です。縦軸が温度[℃]、横軸がスズ(Sn)と鉛(Pb)の配合比となっています。この状態図はスズ(Sn)と鉛(Pb)の配合比によって融点を変化させることを示しています。
状態図において、液相線より上は完全に液体となり、固相線より下は完全に固体となります。スズ(Sn)と鉛(Pb)の配合比の配合比によっては半溶解状態(液体と固体が共存している状態)があるのですが、共晶はんだ(共晶点)は下図から分かるように、半溶解状態がほとんどないため、はんだ付けの信頼性が高く、初心者でも扱いやすいはんだとなっています。
補足
金属を混ぜた時、一番低い温度で溶ける配合になるものを共晶合金といいます。
高温はんだ
「高温はんだ」は、鉛(Pb)の含有量を増やすことで融点を高くしたはんだです。高温の環境で使用される電子部品などに使用されます。先ほど示した状態図においても、鉛(Pb)の配合比が大きい場合に融点が高くなることが分かると思います。
鉛(Pb)の融点は327℃なので、鉛の含有量が大きいほど、融点が高くなります。鉛の含有量が95%のはんだは、融点が300℃程度となり、柔らかくなるという特徴があるため、熱疲労に強くなります。
高温はんだには一般的には、スズ(Sn)か鉛(Pb)をベースに銀(Ag)、アンチモン(Sb)、インジウム(In)等が配合されています。
低温はんだ
「低温はんだ」は、スズ(Sn)か鉛(Pb)をベースにカドニウム(Cd)、ビスマス(Bi)、インジウム(In)等を配合することで、融点を低くしたはんだです。耐熱性のない電子部品などに使用されます。
低温はんだを使用すれば、電子部品や基板を損傷することなく部品を取り外すことができますが、接合強度等で「共晶はんだ」には劣るので、通常の電子部品に使用されることはほとんどありません。
ステンレス用はんだ
「ステンレス用はんだ」は、その名の通りステンレス用のはんだです。
はんだの素材は通常のはんだと同じものですが、ステンレス表面の薄い酸化膜を除去するために、フラックスに強酸性のものを使用しています。
鉛フリーはんだ(無鉛はんだ)の種類
鉛フリーはんだ
「鉛フリーはんだ」は、その名の通り、鉛(Pb)を含まないはんだです。成分は主にスズ(Sn)を用いています。スズ(Sn)に他の金属(銀や銅)を含有しています。
鉛フリーはんだの中でも一般的なのが、「スズ(Sn):96.5%、銀(Ag):3.0%、銅(Cu):0.5%」で構成されたものであり、融点は約217度となっています。
鉛フリーはんだについては以下の記事に詳しく説明していますので参考にしてください。
【鉛フリーはんだとは?】融点や成分などを解説!
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鉛フリー低温はんだ
「鉛フリー低温はんだ」は、にスズ(Sn)にビスマス(Bi)を配合したはんだです。
鉛フリーステンレス用はんだ
「鉛フリーステンレス用はんだ」は、その名の通りステンレス用の鉛フリーはんだです。
はんだの素材は通常の鉛フリーはんだと同じものですが、ステンレス表面の薄い酸化膜を除去するために、フラックスに強酸性のものを使用しています。
まとめ
この記事でははんだについて、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- はんだの種類
- 各はんだの特徴
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