この記事では『SI接頭語』について
- SI接頭語とは
- SI接頭語の『覚え方』・『一覧表』・『変換方法』・『ルール』・『例題』
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
SI接頭語とは
SI接頭語とは、大きな桁や小さな桁を表すために、単位の前に付けられている接頭語です。
身近な例としては、距離を表す単位の「mm(ミリメートル)」の「m(ミリ)」、「cm(センチメートル)」の「c(センチ)」、「km(キロメートル)」の「k(キロ)」などがSI接頭語となります。
「m(ミリ)」、「c(センチ)」、「k(キロ)」どれも単位「m(メートル)」の前に付けられていますね。
これらSI接頭語は「10■」を表しています(■には数字が入ります)。
例えば、SI接頭語の「k(キロ)」は「103」を表しています。そのため、「1km」の「km」を「m」に変換する場合には、次式のように変換します。
\begin{eqnarray}
1{\mathrm{km}}=1×10^3{\mathrm{m}}=1000{\mathrm{m}}
\end{eqnarray}
同様に、「c(センチ)」は「10-2」を表しています。そのため、「1cm」の「cm」を「m」に変換する場合には、次式のように変換します。
\begin{eqnarray}
1{\mathrm{cm}}=1×10^{-2}{\mathrm{m}}=10^{-2}{\mathrm{m}}=0.01{\mathrm{m}}
\end{eqnarray}
SI接頭語は全部で20個もあります。次に「SI接頭語の一覧」について説明します。
補足
- SI接頭語は「SI接頭辞」や、SIを付けずに単に「接頭語」や「接頭辞」とも呼ばれています。
ポイント:コンデンサの静電容量
電気の世界では、コンデンサの静電容量の単位である「μF(マイクロファラド)」の「μ(マイクロ)」や「pF(ピコファラド)」の「p(ピコ)」もSI接頭語になります。「μ(マイクロ)」と「p(ピコ)」どれも単位「F(ファラド)」の前に付けられていますね。
SI接頭語の一覧
SI接頭語は「10■」を表しており、全部で20個あることを説明しました。
これら20個のSI接頭語のうち、1番大きな桁は「Y(ヨタ)」の「1024」、1番小さな桁は「y(ヨクト)」の「10-24」まであります。
各SI接頭語の記号・名称・数値・十進表記・和名をまとめた一覧表を下記に示します。
記号 | 名称 | 数値 | 十進表記 | 和名 |
Y | ヨタ(yotta) | 1024 | 1,000,000,000,000,000,000,000,000 | じょ、秭(し) |
Z | ゼタ(zetta) | 1021 | 1,000,000,000,000,000,000,000 | 十垓(がい) |
E | エクサ(exa) | 1018 | 1,000,000,000,000,000,000 | 百京(けい) |
P | ペタ(peta) | 1015 | 1,000,000,000,000,000 | 千兆 |
T | テラ(tera) | 1012 | 1,000,000,000,000 | 兆 |
G | ギガ(giga) | 109 | 1,000,000,000 | 十億 |
M | メガ(mega) | 106 | 1,000,000 | 百万 |
k | キロ(kilo) | 103 | 1,000 | 千 |
h | ヘクト(hecto) | 102 | 100 | 百 |
da | デカ(deca) | 101 | 10 | 十 |
100 | 1 | 一 | ||
d | デシ(deci) | 10-1 | 0.1 | 分(ぶ) |
c | センチ(centi) | 10-2 | 0.01 | 厘(りん) |
m | ミリ(milli) | 10-3 | 0.001 | 毛(もう) |
μ | マイクロ(micro) | 10-6 | 0.000 001 | 微(び) |
n | ナノ(nano) | 10-9 | 0.000 000 001 | 塵(じん) |
p | ピコ(pico) | 10-12 | 0.000 000 000 001 | 漠(ばく) |
f | フェムト(femto) | 10-15 | 0.000 000 000 000 001 | 須臾(しゅゆ) |
a | アト(atto) | 10-18 | 0.000 000 000 000 000 001 | 刹那(せつな) |
z | ゼプト(zepto) | 10-21 | 0.000 000 000 000 000 000 001 | 清浄(せいじょう) |
y | ヨクト(yocto) | 10-24 | 0.000 000 000 000 000 000 000 001 | 涅槃寂静(ねはんじゃくじょう) |
これらSI接頭語のうち、「記号」と「数値」の関係を覚えておいた方が良いものは赤色と緑色で示しています。後ほど覚え方について説明します。
SI接頭語はラテン語やギリシャ語が由来となっています。例えば、「m(ミリ)」や「c(センチ)」はラテン語の「milli(1000)」や「centum(100)」が由来であり、「k(キロ)」はギリシャ語の「khilioi(1000)」が由来となっています。
SI接頭語の覚え方
SI接頭語は「3桁ずつずれていくことに着目する」と覚えやすいです。
大きい桁の覚え方
「k(103)」→「M(106)」→「G(109)」→「T(1012)」
と3桁ずつずれていくことに着目して、「キロ、メガ、ギガ、テラ」と何回も声に出して覚えます。
「k(キロ)」が「103」であることだけを覚えて置けば、「M(メガ)」は「k(キロ)」から3桁ずれるので、「106」だと分かります。
「h(ヘクト)」だけは別途「102」と暗記します。
小さい桁の覚え方
「m(10-3)」→「μ(10-6)」→「n(10-9)」→「p(10-12)」
と3桁ずつずれていくことに着目して、「ミリ、マイクロ、ナノ、ピコ」と何回も声に出して覚えます。
「m(ミリ)」が「10-3」であることだけを覚えて置けば、「μ(マイクロ)」は「m(ミリ)」から3桁ずれるので、「10-6」だと分かります。
「d(デシ)」は「10-1」、「c(センチ)」は「10-2」と別途暗記します。
SI接頭語のルール
SI接頭語を使う上で、いくつかルールがあるので、これから説明します。
ルール1:大文字と小文字を分けること
大文字のSI接頭語は小文字にはしてはいけません。同様に、小文字のSI接頭語は大文字にはしてはいけません。
例えば、「m(ミリ)」(←10-3)を大文字にしてしまうと「M(メガ)」(←106)になってしまいます・
ルール2:2つのSI接頭語を組み合わせてはいけない
SI接頭語は組み合わせてつかうことはできません。
例えば、10-9mを次式に示すように変換してはいけないということです。
\begin{eqnarray}
10^{-9}{\mathrm{m}}=1×10^{-3}×10^{-6}{\mathrm{m}}=1{\mathrm{mμm}}
\end{eqnarray}
10-9mを変換するためには「10-9」を表す「n(ナノ)」を用いて、次式のように変換します。
\begin{eqnarray}
10^{-9}{\mathrm{m}}=1×10^{-9}{\mathrm{m}}=1{\mathrm{nm}}
\end{eqnarray}
ルール3: SI接頭語は累乗よりも優先である
例えば、面積1cm2は1辺1cmの正方形の面積であり、
\begin{eqnarray}
1{\mathrm{cm}}×1{\mathrm{cm}}&=&1{\mathrm{(cm)^2}}\\
&=&1{\mathrm{cm^2}}\\
\\
1{\mathrm{cm}}×1{\mathrm{cm}}&=&1×10^{-2}{\mathrm{m}}×1×10^{-2}{\mathrm{m}}\\
&=&1×10^{-4}{\mathrm{m^2}}\\
\end{eqnarray}
となるため、「1cm2」は「1m2を10-4倍したもの」と等しくなります。
1辺1mの正方形の面積1m2に「c(センチ)」をつけたものではないので注意してください。
SI接頭語の例題
例題
1kmは「何m」「何cm」「何mm」でしょうか。
解答
kmをmに変換する方法
kmの「k(キロ)」がSI接頭語であり、「103」を表しています。そのため、1kmをmに変換するには次式のように計算します。
\begin{eqnarray}
1{\mathrm{km}}=1×10^3{\mathrm{m}}=1000{\mathrm{m}}
\end{eqnarray}
kmをcmに変換する方法
cmの「c(センチ)」がSI接頭語であり、「10-2」を表しています。そのため、1kmをcmに変換するには次式のように計算します。
\begin{eqnarray}
1{\mathrm{km}}=1×10^3{\mathrm{m}}=1×10^5×10^{-2}{\mathrm{m}}=1×10^5{\mathrm{cm}}=100000{\mathrm{cm}}
\end{eqnarray}
kmをmmに変換する方法
mmの「m(ミリ)」がSI接頭語であり、「10-3」を表しています。そのため、1kmをmmに変換するには次式のように計算します。
\begin{eqnarray}
1{\mathrm{km}}=1×10^3{\mathrm{m}}=1×10^6×10^{-3}{\mathrm{m}}=1×10^6{\mathrm{mm}}=1000000{\mathrm{mm}}
\end{eqnarray}
まとめ
この記事では『SI接頭語』について、以下の内容を説明しました。
- SI接頭語とは
- SI接頭語の『覚え方』・『一覧表』・『変換方法』・『ルール』・『例題』
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