この記事では『リプル電圧』と『リプル率』について
- リプル電圧とは
- リプル率とは
- リプル電圧とリプル率の計算方法と例題
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
リプル電圧とは
「商用電源を整流した後の出力電圧」や「スイッチング電源の出力電圧」は平滑回路によって完全な一定電圧にすることはできず、微小に電圧変動が発生します。この電圧変動の大きさをリプル電圧といいます。
リプル電圧は「商用電源の周波数」や「スイッチング電源のスイッチング周波数」に同期して発生します。
リプル電圧は理想的にはゼロであることが望ましいです。例えば、スイッチング電源の出力電圧のリプル電圧が大きくなり、出力電圧の最小値が負荷側の最低動作電圧を下回ると、負荷が異常動作を引き起こす可能性があります。
リプル電圧が大きい場合には、コンデンサの容量を大きくしたり、インダクタを挿入したりすることによって、リプル電圧を低減させることができます。
補足
- リプル電圧は「リップル電圧」とも呼ばれています。
リプル率とは
リプル率は平滑回路の直流出力に含まれている交流成分(リプル電圧)の程度を示したものです。
リプル率は交流成分(リプル電圧の実効値)\(V_{AC}\)と直流成分\(V_{DC}\)の比であり、次式で表されます。
\begin{eqnarray}
\mbox{リプル率}=\frac{\mbox{交流成分(リプル電圧の実効値)}V_{AC}}{\mbox{直流成分}V_{DC}}×100{\mathrm{[{\%}]}}
\end{eqnarray}
上式を用いるとリプル率を計算することができます(後ほど例題で説明します)。
補足
- リプル率は「リップル率」や「リプル含有率」や「リップル含有率」とも呼ばれています。
- リプル率をリプル電圧のP-P値(出力変動の最大値\(V_{MAX}\)と最小値\(V_{MIN}\)の差)と直流成分\(V_{DC}\)の比で表している資料もあります。
リプル電圧とリプル率の例題
例題
平滑回路の出力波形が上図のように示されるとき、この電圧の交流成分(リプル電圧の実効値)\(V_{AC}\)とリプル率を求めてみましょう。ただし、リプル電圧の波形は単一周波数の正弦波とします。
リプル電圧の波形は単一周波数の正弦波なので、交流成分(リプル電圧の実効値)\(V_{AC}\)は下記の値になります。
\begin{eqnarray}
V_{AC}=\frac{1.4}{\sqrt{2}}{\;}{\approx}{\;}1{\mathrm{[V]}}
\end{eqnarray}
あわせて読みたい
『正弦波の実効値』については下記の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。 続きを見る『正弦波』の実効値・平均値・波形率・波高率の求め方
リプル率は交流成分(リプル電圧の実効値)\(V_{AC}\)と直流成分\(V_{DC}\)の比であるので、下記の値になります。
\begin{eqnarray}
\mbox{リプル率}=\frac{\mbox{交流成分(リプル電圧の実効値)}V_{AC}}{\mbox{直流成分}V_{DC}}×100=\frac{1}{20}×100=5{\mathrm{[{\%}]}}
\end{eqnarray}
まとめ
この記事では『リプル電圧』と『リプル率』について、以下の内容を説明しました。
- リプル電圧とは
- リプル率とは
- リプル電圧とリプル率の計算方法と例題
お読み頂きありがとうございました。
当サイトでは電気に関する様々な情報を記載しています。当サイトの全記事一覧は以下のボタンから移動することができます。
また、記事下に当サイトの人気記事を記載しています。ご参考になれば幸いです。