プリント基板の寄生インダクタンスについて!計算式などを解説!

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この記事では『プリント基板の寄生インダクタンス』について

  • プリント基板の寄生インダクタンスの計算方法
  • プリント基板の寄生インダクタンスによって発生する電圧

などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。

プリント基板の寄生インダクタンス

プリント基板の寄生インダクタンス

プリント基板のパターン配線である銅箔は寄生インダクタンスを持っています。

プリント基板の寄生インダクタンス\(L_P{\mathrm{[μH]}}\)は、銅箔の長さを\(L{\mathrm{[mm]}}\)、銅箔の厚みを\(t{\mathrm{[mm]}}\)、銅箔の幅を\(W{\mathrm{[mm]}}\)とすると、次式で表すことができます。

\begin{eqnarray}
L_P=0.0002×L×\left[{\ln}\left(\frac{2×L}{W+t}\right)+0.2235×\left(\frac{W+t}{L}\right)+0.5\right]{\mathrm{[μH]}}\tag{1}
\end{eqnarray}

(1)式から分かるように、プリント基板の寄生インダクタンス\(L_P\)は銅箔の長さ\(L\)・厚み\(t\)・幅\(W\)によって変化します。

では、実際に寄生インダクタンス\(L_P\)を計算してみましょう。例えば、

  • 銅箔の長さ:\(L=1{\mathrm{[cm]}}=10{\mathrm{[mm]}}\)
  • 銅箔の厚み:\(t=35{\mathrm{[μm]}}=0.035{\mathrm{[mm]}}\)
  • 銅箔の幅:\(W=0.25{\mathrm{[mm]}}\)

の時、寄生インダクタンス\(L_P\)は以下の値になります。

\begin{eqnarray}
L_P&=&0.0002×L×\left[{\ln}\left(\frac{2×L}{W+t}\right)+0.2235×\left(\frac{W+t}{L}\right)+0.5\right]\\
\\
&=&0.0002×10×\left[{\ln}\left(\frac{2×10}{0.25+0.035}\right)+0.2235×\left(\frac{0.25+0.035}{10}\right)+0.5\right]{\mathrm{[μH]}}\\
\\
&=&0.00951{\mathrm{[μH]}}\\
\\
&=&9.51{\mathrm{[nH]}}\tag{2}
\end{eqnarray}

また、上図の右側に示しているのは、銅箔の厚みが\(t=35{\mathrm{[μm]}}\)の時において、銅箔の幅\(W\)と銅箔の長さ\(L\)を変化させた時の寄生インダクタンス\(L_P\)を表すグラフです。グラフを見ると、銅箔の幅\(W\)が広く、銅箔の長さ\(L\)が短いほど、寄生インダクタンス\(L_P\)が小さくなることが分かります。

補足

  • (1)式はあくまで近似値となります。
  • プリント基板の銅箔の厚み\(t\)は18μm・35μm・70μmが一般的に使われています。

プリント基板の寄生インダクタンスによって発生する電圧

銅箔(パターン)に寄生インダクタンス成分があるということは、銅箔に流れる電流が変化すると、電圧が発生するということになります。

寄生インダクタンス\(L_P{\mathrm{[H]}}\)の銅箔(パターン)に流れる電流が、時間\(t{\mathrm{[s]}}\)の間に\(i{\mathrm{[A]}}\)変化すると、銅箔には以下の電圧が発生します。

\begin{eqnarray}
|V|=L_P×\frac{di}{dt}{\mathrm{[V]}}\tag{3}
\end{eqnarray}

例えば、寄生インダクタンス\(L_P=10{\mathrm{[nH]}}\)の銅箔(パターン)に流れる電流が、時間\(5{\mathrm{[ns]}}\)の間に\(1.5{\mathrm{[A]}}\)変化すると、銅箔には以下の電圧が発生します。

\begin{eqnarray}
|V|=L_P×\frac{di}{dt}=10×10^{-9}×\frac{1.5}{5×10^{-9}}=3{\mathrm{[V]}}\tag{4}
\end{eqnarray}

このように、銅箔(パターン)に流れる電流が変化すると、寄生インダクタンス\(L_P\)によって、電圧が発生するので、注意が必要です(動作に影響を与えたり、IC等の部品を破損させたりすることがあります)。

あわせて読みたい

インダクタに流れる電流が変化すると、インダクタに電圧が発生する現象は自己誘導と呼ばれています。

自己誘導』については下記の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。

まとめ

この記事では『プリント基板の寄生インダクタンス』について、以下の内容を説明しました。

  • プリント基板の寄生インダクタンスの計算方法
  • プリント基板の寄生インダクタンスによって発生する電圧

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