『技術分野』には『本発明は、○○に関する。』といったように、発明が対象としている具体的な技術分野や応用分野を記載します。では、技術分野を記載する目的や技術分野の書き方について説明します。
目的
『技術分野』は発明のどの技術分野に属しているかを明確にし、その発明が何に関するものであるかを、明細書を読む方に簡潔に知らせるためにあります。『発明の名称』のみでは範囲が広すぎて、発明の対象が明確ではありません。例えば、発明の名称に「□□装置」と書いてあっても、何に関する発明か分かりませんよね。そのため、「〇〇をする□□装置」や「〇〇に用いる□□装置」など発明が対象としている具体的な技術分野を書きます。
一般的な書き方
発明の名称の具体的な技術分野を記載している場合
『発明の名称』が適切に技術分野を表している場合には、技術分野は発明の名称と関連付けて記載するのが一般的です。例えば発明の名称が「□□装置」の場合には、技術分野には『本発明は、(発明の名称を具体的に記載)に関する。』と記載します。今回、末尾には『~に関する。』と書きましたが、『~に関するものである。』と書いてある技術分野も多いです。なお、応用ができる発明の場合でも『技術分野』には主要なものを記載します。詳しくは『発明の実施の形態』に書き、発明はいろいろな応用ができることをそこで示します。
発明の名称だけを記載している場合
『技術分野』の書き方に関して厳密にルールがあるわけではありません。そのため、『本発明は、□□装置に関する。』と具体的な技術分野を書いていない場合もあります。
発明が技術分野の中で細かい分野に属している場合
発明が技術分野の中で細かい分野に属している場合には、「本発明は、○○に関し(“係り”でも可)、特に××に関する。」のように、○○と大きな技術分野を記載した後に、細かく××と技術分野の中で特に何に関するものであるかを記載します。
なお、発明が細かい技術分野でない場合に、上記のように記載するのはやめましょう。例えば、発明の名称が『パソコン』で、請求項もパソコン全体に適用される技術について書いてある場合に、『本発明は、〇〇するパソコンに係り、特にノートパソコンに関する。』と記載すると、発明がノートパソコンにだけに限定していると解釈される場合があります。そのため、『本発明は〇〇するパソコンに関する。』だけにするか、『本発明は〇〇するパソコンに係り、特にノートパソコンに好適に利用できるようなものである。』という風に例外記載にするのがオススメです。
技術分野が一般的に知られていない場合
発明の技術分野が一般的に知られていないものの場合、例えば、画期的な特許で全く新しい技術に関するような場合には、「本発明は○○する□□に関する。」と記載した後に、「ここで□□とは・・・」と発明の名称について補足で説明を加えます。
記載例
色々な記載方法があるのでまとめると以下のようになります。発明の名称が□□装置の場合には、
1.発明の名称だけを記載している場合
・本発明は、□□装置に関する(関するものである)。
2.発明の名称の具体的な技術分野を記載している場合
・本発明は、〇〇をする□□装置に関する(関するものである)。
・本発明は、〇〇をするための□□装置に関する(関するものである)。
・本発明は、〇〇に用いる□□装置に関する(関するものである)。
3.発明が技術分野の中で細かい分野に属している場合
・本発明は、〇〇をする□□装置に関し(係り)、特に××に関する(関するものである)。
4.技術分野が一般的に知られていない場合
・本発明は、〇〇をする□□装置に関する(関するものである)。ここで□□装置とは・・・。
書いてはいけないこと
1電気、機械、精密機械といった漠然とした分類を記載してはいけません。
2技術分野では、発明の課題・効果・目的には触れない。『技術分野』に不用意に多くを記載すると、特許請求の範囲を狭く解釈される場合があります。