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【過電流保護の種類】『フの字特性』・『垂下特性』・『ヘの字特性』を解説!

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この記事では過電流保護について

  • 過電流保護の種類(フの字特性・垂下特性・ヘの字特性)
  • 過電流保護時の動作(自動復帰・ラッチ)

などを図を用いて分かりやすく説明しています。

以下の目次から各項目に飛べるようになっています。

過電流保護の種類

過電流保護の種類

過電流保護とは、負荷の短絡時や負荷の異常時などによって出力電流IOUTが過大となった場合に、負荷と電源を保護する機能です。過電流が流れるのを防止することによって、電源内の素子(MOSFET,ダイオード,IC,抵抗等)の劣化や破壊を防止することができます。

この過電流保護には逆L字垂下特性フの字特性ヘの字特性など様々な特性の種類があります。

また、過電流保護時の動作として、自動復帰型やラッチ型などがあります。

補足

過電流保護は英語では「Over Current Protection」と書きます。

過電流保護の特性

過電流保護には逆L字垂下特性フの字特性ヘの字特性など様々な特性があります。各特性の特徴を以下に示します(後ほど詳しく説明します)。

過電流保護の特性

  • 逆L字垂下特性
  • 出力電流IOUTが過電流設定値ILIMITに達すると、出力電流IOUTが定電流状態のまま出力電圧VOUTが直線的に垂下する特性

  • フの字特性
  • 出力電流IOUTが過電流設定値ILIMITに達すると、出力電流IOUTも出力電圧VOUTも低下する特性

  • ヘの字特性
  • 出力電流IOUTが過電流設定値ILIMITに達すると、出力電圧VOUTが低下するが出力電流IOUTが増加する特性

逆L字垂下特性

逆L字垂下特性

上図に逆L字垂下特性における出力電流IOUTを徐々に増加させた時の出力電圧VOUTの変化を示しています。

出力電圧IOUTが過電流設定値ILIMITに達すると、出力電流IOUTが定電流状態のまま出力電圧VOUTが直線的に垂下します。出力電流IOUTを定電流にするため、電源内の素子に過電流が流れることを防止することができますが、発熱は防止することができません。

シリーズレギュレータ(リニアレギュレータの一種)において、『逆L字垂下特性』の過電流保護が動作した時を考えてみます。

シリーズレギュレータでは、入力電流IINと出力電流IOUTがほぼ等しくなるため、過電流動作時は入力電流IINも定電流を維持します。また、シリーズレギュレータでの損失PLOSSは次式で表されます。

\begin{eqnarray}
P_{LOSS}=(V_{IN}-V_{OUT})×I_{OUT}\tag{1}
\end{eqnarray}

そのため、入力電圧VINが一定で出力電流IOUTも一定の場合、出力電圧VOUTが低下するほどシリーズレギュレータにかかる電圧が増加するため、(1)式より損失PLOSSが増加します。

この損失PLOSSにより、シリーズレギュレータ内の素子の温度が上昇して、定格温度を超える可能性があります。定格温度を超えると、熱破壊を引き起こす可能性があるため、シリーズレギュレータにおいて、『逆L字垂下特性』の過電流保護の場合には、加熱保護回路が別途必要となります。

一方、DC/DCコンバータ(スイッチングレギュレータの一種) において、『逆L字垂下特性』の過電流保護が動作した時を考えてみます。

DC/DCコンバータの入力電流IINは次式で表されます。

\begin{eqnarray}
I_{IN}=\frac{I_{OUT}×V_{OUT}}{V_{IN}×効率η}\tag{2}
\end{eqnarray}

そのため、入力電圧VINが一定で出力電圧VOUTが低下すると、(2)式より入力電流IINも低下するため、過電流保護時において、シリーズレギュレータより損失がはるかに小さくなります。

補足

  • 『逆L字垂下特性』は『垂下形』・『固定電流制限方式』・『定電流制御電圧垂下形』・『定電流電圧垂下方式』など様々な呼ばれ方があります。
  • 『逆L字垂下特性』はバッテリーの充電に適した特性となっています。定電流領域を用いることでバッテリーへの定電流充電を行うことができます。

フの字特性

フの字特性

上図にフの字特性における出力電流IOUTを徐々に増加させた時の出力電圧VOUTの変化を示しています。

出力電圧IOUTが過電流設定値ILIMITに達すると、出力電流IOUTも出力電圧VOUTも低下します。

出力電圧VOUTの低下に応じて出力電流IOUTも下げる動作を繰り返しB点に達します。B点では、出力電流IOUTが小さいため、『逆L字垂下特性』において問題点だった発熱を防止することができます。そのため、『フの字特性』は安全な保護特性と言えます。

しかし、負荷が『定電流負荷』・『起動時に大電流が流れるモータ』・『大容量のコンデンサが接続されている負荷』などの場合、起動時に突入電流で『フの字特性』の領域に入り、出力電圧VOUTが立ち上がらない場合があります。この場合、保護が働いたまま安定してしまいます。

補足

  • 出力電圧VOUT-出力電流IOUTの特性がカタカナの「フ」の文字に似ていることから『フの字特性』と呼ばれています。
  • 『フの字特性』は、出力電流IOUTが0Vの時において、出力電流IOUTが0A(C点)まで低下するタイプと定格電流の数分の1(B点)までしか低下しないタイプがあります。
  • 『フの字特性』は『フォールドバック形』・『フォールドバック電流制限』・『フォールドバック制御形』・『フの字形』・『フの字垂下形』・『フの字負荷特性』など様々な呼ばれ方があります。
  • この特性は英語では『Fold Back Characteristic』と書きます。
  • 出力電圧VOUTが0Vになるときの出力電流IOUT出力短絡電流と呼びます。

ヘの字特性

ヘの字特性

上図にヘの字特性における出力電流IOUTを徐々に増加させた時の出力電圧VOUTの変化を示しています。

出力電圧IOUTが過電流設定値ILIMITに達すると、出力電圧VOUTが低下するが出力電流IOUTが増加します。

『ヘの字特性』は先ほど説明した『フの字特性』と組み合わせて使用することが多いです。この場合、第2の過電流設定値ILIMIT2に達すると、『フの字特性』となり、出力電流IOUTを急激に減少させます。このようにすることで、負荷短絡によって大電流が流れることを防止することができます。

補足

  • 『ヘの字特性』は『ヘの字垂下形』・『定電力制御電圧垂下形』など様々な呼ばれ方があります。

組み合わせ型

【過電流保護】組み合わせ型

その他に『逆L字垂下特性』と『フの字特性』を組み合わせた特性や、『ヘの字特性』と『フの字特性』を組み合わせた特性があります。

逆L字垂下特性』と『フの字特性』を組み合わせると、『逆L字垂下特性』において問題点だった発熱を防止することができます。そのため、過電流動作時において発熱を防止することができます。

間欠型

【過電流保護】間欠型

上図に間欠型における出力電流IOUTを徐々に増加させた時の出力電圧VOUTの変化を示しています。

出力電圧IOUTが過電流設定値ILIMITに達すると、出力電圧VOUTが低下し、間欠動作開始電圧に達すると出力がON/OFFを繰り返す間欠動作をします。

間欠動作範囲においては、断続的に出力電流IOUTが流れるため、発熱を防止することができます。

過電流保護の動作

過電流保護時の動作には自動復帰型ラッチ型(シャットダウン型)があります。ICのデータシートには自動復帰型かラッチ型かが記載されているので確認する必要があります。各動作の特徴を以下に示します(後ほど詳しく説明します)。

過電流保護の動作

  • 自動復帰型
  • 過電流状態が解除されると、出力電圧VOUTが自動的に復帰するタイプ

  • ラッチ型(シャットダウン型)
  • 過電流状態が解除されても、出力電圧VOUTが復帰しないタイプ

自動復帰型(パルスバイパルス型)

パルスバイパルス型は、自動復帰型の一種であり、レギュレータに流れる電流が過電流設定値ILIMITに達すると、出力をオフ(例えば、スイッチングをオフ)することで、電流を制限する方式です。

過電流状態がなくなると、出力が自動的に復帰します。詳しくは以下の記事に記載しています。

パルスバイパルス方式
【過電流保護】パルスバイパルス方式とは

続きを見る

自動復帰型(ヒカップ型・リセット型)

ヒカップ型(リセット型)は、自動復帰型の一種であり、過電流状態がある一定以上経過すると、出力をオフ(例えば、スイッチングをオフ)した後、一定時間後にソフトスタートによる再起動をする方式です。

過電流状態がなくなると、出力が自動的に復帰します。なお、ヒカップ(Hiccup)とはしゃっくりの意味となっています。

ラッチ型(シャットダウン型)

ラッチ型(シャットダウン型)は、過電流状態がある一定以上経過すると、出力をオフ(例えば、スイッチングをオフ)してラッチ停止する方式です。

このラッチ停止状態を解除するためには、ICのリセット等を行う必要があります。

まとめ

この記事では過電流保護ついて、以下の内容を説明しました。

当記事のまとめ

  • 過電流保護の種類(フの字特性・垂下特性・ヘの字特性)
  • 過電流保護時の動作(自動復帰・ラッチ)

お読み頂きありがとうございました。

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