『出力インピーダンス』と『入力インピーダンス』とは?

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この記事では『出力インピーダンス』と『入力インピーダンス』について

  • 『出力インピーダンス』とは
  • 『入力インピーダンス』とは
  • 『出力インピーダンス』が低い方がよい理由
  • 『入力インピーダンス』が高い方がよい理由

を図を用いて説明しています。

出力インピーダンスと入力インピーダンス

出力インピーダンスと入力インピーダンス

上図は『電圧を出力する回路』と『電圧が入力される回路』をつなげた回路図となっています。

上図において、『電圧を出力する回路』に接続されている\(R_{OUT}\)を出力インピーダンス『電圧が入力される回路』に接続されている\(R_{IN}\)を入力インピーダンスといいます。

また、電圧源から出力される電圧を減衰させることなく伝えるためには、出力インピーダンスを低く入力インピーダンスを高くします。

ではこれから、『出力インピーダンス』、『入力インピーダンス』、『出力インピーダンスが低く、入力インピーダンスが高い方がよい理由』について詳しく説明していきます。

出力インピーダンスとは

出力インピーダンス

出力インピーダンスとは、『電圧を出力する回路』の出力端子側から見た時のインピーダンスです。電池の内部抵抗などが出力インピーダンスとなります。

例えば、上図の回路の場合、出力インピーダンス\(R_{OUT}\)は\(100{\mathrm{[{\Omega}]}}\)ということになります。

補足

  • 出力インピーダンスは英語では「Output Impedance」と書きます。
  • 様々な波形を出力することができるファンクションジェネレータと呼ばれる機器の出力インピーダンスは一般的には\(50{\mathrm{[{\Omega}]}}\)となっています。

入力インピーダンスとは

入力インピーダンス

入力インピーダンスとは、『電圧が入力される回路』の入力端子側から見た時のインピーダンスです。

例えば、上図の回路の場合、入力インピーダンス\(R_{IN}\)は\(1000{\mathrm{[{\Omega}]}}\)ということになります。

もう少し詳しく説明すると、『電圧が入力される回路』の入力端子側から見た時における「回路内部の抵抗的な要素(抵抗,コンデンサ,コイル,電線抵抗等)」をひっくるめたインピーダンスが入力インピーダンスとなります。

補足

  • 入力インピーダンスは英語では「Input Impedance」と書きます。
  • 入力インピーダンスは負荷インピーダンス(Load Impedance)外部インピーダンス(External Impedance)とも呼ばれています。
  • 電子機器の入力インピーダンスが\(1000{\mathrm{[{\Omega}]}}\)と書いてあれば、イメージ的には、その機器の入力端子が\(1000{\mathrm{[{\Omega}]}}\)の抵抗でGNDに接続されていると考えてください。

出力インピーダンスが低く、入力インピーダンスが高い方がよい理由

一般的には、出力インピーダンスが低く入力インピーダンスが高いほど良くなります。次にその理由について説明します。

出力インピーダンスが低い方がよい理由

出力インピーダンスが低い方がよい理由

出力インピーダンスが低いほど、『電圧源の電圧』と『電圧が入力される回路』に印加される電圧の差が小さくなります。そのため、出力インピーダンスはなるべく低い方が良いのです。

もう少し詳しく

例えば、上図に示すように、『\(100{\mathrm{[V]}}\)の電圧を出力する回路』と『電圧が入力される回路(入力インピーダンス\(R_{IN}=1000{\mathrm{[{\Omega}]}}\))』をつなげた回路を考えます。

この時、出力インピーダンス\(R_{OUT}\)が『\(1{\mathrm{[{\Omega}]}}\)(低い)』と『\(1000{\mathrm{[{\Omega}]}}\)(高い)』の時に、『電圧が入力される回路』にどれくらいの電圧を印加されるのかを考えてみましょう。

  • 出力インピーダンス\(R_{OUT}\)が『\(1{\mathrm{[{\Omega}]}}\)(低い)』の時
  • 『電圧が入力される回路』には以下の電圧\(V\)が印加されます。

    \begin{eqnarray}
    V=\frac{R_{IN}}{R_{OUT}+R_{IN}}=\frac{1000}{1+1000}{\approx}99.9{\mathrm{[V]}}
    \end{eqnarray}

  • 出力インピーダンス\(R_{OUT}\)が『\(1000{\mathrm{[{\Omega}]}}\)(高い)』の時
  • 『電圧が入力される回路』には以下の電圧\(V\)が印加されます。

    \begin{eqnarray}
    V=\frac{R_{IN}}{R_{OUT}+R_{IN}}=\frac{1000}{1000+1000}=50{\mathrm{[V]}}
    \end{eqnarray}

このように、出力インピーダンスが低いほど、出力インピーダンスでの電圧降下が小さくなり、『電圧源の電圧』と『電圧が入力される回路』に印加される電圧の差が小さくなります。

ゆえに、出力インピーダンスが低い方が良いのです。

入力インピーダンスが高い方がよい理由

入力インピーダンスが高い方がよい理由

入力インピーダンスが低いほど、『電圧源の電圧』と『電圧が入力される回路』に印加される電圧の差が小さくなります。そのため、入力インピーダンスはなるべく高い方が良いのです。

もう少し詳しく

例えば、上図に示すように、『\(100{\mathrm{[V]}}\)の電圧を出力する回路(出力インピーダンス\(R_{OUT}=100{\mathrm{[{\Omega}]}}\))』と『電圧が入力される回路』をつなげた回路を考えます。

この時、入力インピーダンス\(R_{IN}\)が『\(1{\mathrm{[{\Omega}]}}\)(低い)』と『\(10000{\mathrm{[{\Omega}]}}\)(高い)』の時に、『電圧が入力される回路』にどれくらいの電圧を印加されるのかを考えてみましょう。

  • 入力インピーダンス\(R_{IN}\)が『\(1{\mathrm{[{\Omega}]}}\)(低い)』の時
  • 『電圧が入力される回路』には以下の電圧\(V\)が印加されます。

    \begin{eqnarray}
    V=\frac{R_{IN}}{R_{OUT}+R_{IN}}=\frac{1}{100+1}{\approx}0.99{\mathrm{[V]}}
    \end{eqnarray}

  • 入力インピーダンス\(R_{IN}\)が『\(10000{\mathrm{[{\Omega}]}}\)(高い)』の時
  • 『電圧が入力される回路』には以下の電圧\(V\)が印加されます。

    \begin{eqnarray}
    V=\frac{R_{IN}}{R_{OUT}+R_{IN}}=\frac{10000}{100+10000}{\approx}99.0{\mathrm{[V]}}
    \end{eqnarray}

このように、入力インピーダンスが低いほど、出力インピーダンスでの電圧降下が小さくなり、『電圧源の電圧』と『電圧が入力される回路』に印加される電圧の差が小さくなります。

ゆえに、入力インピーダンスが高い方が良いのです。

ロー出し、ハイ受け

『電圧を出力する回路』の出力インピーダンスを低くし、『電圧が入力される回路』の入力インピーダンスを高くすることを、「ロー出し、ハイ受け」を呼びます。

出力インピーダンスと入力インピーダンスは単なる抵抗ではない

今までの説明では、簡潔に説明するために、出力インピーダンスと入力インピーダンスはシンプルな抵抗として考えていました。そのため、回路図でも抵抗の記号で描いています。

しかし、出力インピーダンスと入力インピーダンスはシンプルな抵抗ではなく、電流を妨げる様々な要因をひっくるめたものとなっています。そのため、電圧源が交流電圧を出力する場合には、周波数によって、インピーダンスの大きさが変わったり、位相が変わったりします。

以上より、出力抵抗ではなく出力インピーダンス入力抵抗ではなく入力インピーダンスという表現を用いています。

この記事では、『電圧を出力する回路』の電圧源を直流電圧源で考えています。この電圧源は直流ではなく、様々な波形を出力する信号源でも構いません。

まとめ

この記事では『出力インピーダンス』と『入力インピーダンス』について、以下の内容を説明しました。

当記事のまとめ

  • 『出力インピーダンス』とは
  • 『入力インピーダンス』とは
  • 『出力インピーダンス』が低い方がよい理由
  • 『入力インピーダンス』が高い方がよい理由

お読み頂きありがとうございました。

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