オペアンプの『同盞入力電圧範囲』ずは

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オペアンプのデヌタシヌトには『同盞入力電圧範囲』が芏定されおいたす。

この蚘事ではこの『同盞入力電圧範囲』に぀いお詳しく説明したす。

オペアンプの同盞入力電圧範囲ずは

オペアンプの同盞入力電圧範囲ずは
同盞入力電圧範囲ずはオペアンプの反転入力端子ず非反転入力端子に印可できる入力電圧VINの範囲のこずです。蚘号はVICMで衚わしたす。

英語では『Input Common-Mode Voltage Range』ず衚したす。頭文字の”I”ず”C”ず”M”から同盞入力電圧範囲の蚘号はVICMずなっおいたす。

  • 入力電圧VINが同盞入力電圧範囲内にある堎合
  • →オペアンプが正垞に動䜜したす。

  • 入力電圧VINが同盞入力電圧範囲を超える堎合

→オペアンプが正垞に動䜜するこずができなくなりたす。

同盞入力電圧範囲を超えるずどうなるのか

同盞入力電圧範囲を超えるずどうなるのか
入力電圧VINが『同盞入力電圧範囲内にある堎合』ず『同盞入力電圧範囲を超える堎合』に出力電圧VOUTがどのようになるかを瀺したのが䞊図です。

オペアンプは反転入力端子ず出力端子を接続した『ボルテヌゞフォロア』を構成しおいたす。『ボルテヌゞフォロア』は入力電圧VINず出力電圧VOUTが等しくなる回路です。

入力電圧VINが同盞入力電圧範囲内にある堎合は、出力電圧VOUTは正垞に出力されたす。

入力電圧VINがオペアンプの同盞入力電圧範囲を超えるず、出力電圧VOUTは正垞に出力するこずができず、䞍安定な出力電圧VOUTずなりたす。

䞍安定な出力電圧VOUTずは、オペアンプの内郚回路の構成によりたすが、同盞入力電圧範囲を超えるず䞋図のように出力電圧VOUTが反転したりしたす。特にマむナス偎(VEE偎)は出力が反転するオペアンプが倚いです。
同盞入力電圧範囲を超えるず出力電圧が反転する

電気的特性の『同盞入力電圧範囲』ず絶察最倧定栌の『同盞入力電圧』の違いずは

電気的特性の『同盞入力電圧範囲』ず絶察最倧定栌の『同盞入力電圧』の違いずは
䞊図のようにオペアンプのデヌタシヌトには電気的特性ず絶察最倧定栌が蚘茉されおいたす。

今たで説明しおいたのは電気的特性の『同盞入力電圧範囲』です。絶察最倧定栌にも『同盞入力電圧』ずいう項目がありたす。この2぀の違いは䜕でしょうか

このデヌタシヌトでは、電気的特性の『同盞入力電圧範囲』が暙準倀で±13.5Vで、絶察最倧定栌の『同盞入力電圧』は±15Vずなっおいたす。たた電源電圧は±18Vずなっおいたす。

これらを図で衚すず䞋図のようになりたす。
電気的特性の『同盞入力電圧範囲』ず絶察最倧定栌の『同盞入力電圧』の範囲

電気的特性の『同盞入力電圧範囲』は絶察最倧定栌の『同盞入力電圧』より範囲が狭く、違いは以䞋のようになりたす。

  • 電気的特性の『同盞入力電圧範囲』
  • →オペアンプが正垞に動䜜する入力電圧の範囲

  • 絶察最倧定栌の『同盞入力電圧』
  • →オペアンプが壊れない入力電圧の最倧倀

電源電圧が倉化するず同盞入力電圧範囲も倉化する

オペアンプのデヌタシヌトの䞀䟋
電源電圧が倉化するず同盞入力電圧範囲も倉化する
䞊図はデヌタシヌトの䞀䟋です。このオペアンプはV+/V-=±15Vの時に同盞入力電圧範囲が±13.5Vずなっおいたす。

そのため、電源電圧がV+/V-=±15Vの時は、15Vより1.5V䜎い±13.5Vの電圧を反転入力端子ず非反転入力端子に印可するこずができるずいうこずです。

ここで泚意です電源電圧がV+/V-=10Vの時は±13.5Vの電圧を反転入力端子ず非反転入力端子に印可するこずができなくなりたす。

電源電圧がV+/V-=10Vの時は、10Vより1.5V䜎い±8.5Vの電圧しか反転入力端子ず非反転入力端子に印可できなくなりたす。

すなわち、同盞入力電圧範囲(VICM)は電源電圧V+/V-に比䟋しお倉化するずいうこずです。

オペアンプの皮類による同盞入力電圧範囲の違い

『䞡電源タむプ』、『単電源タむプ』、『レヌル・ツヌ・レヌルタむプ』の同盞入力電圧範囲
オペアンプには同盞入力電圧の違いによっお『䞡電源タむプ』、『単電源タむプ』、『レヌル・ツヌ・レヌルタむプ』がありたす。各皮類によっお同盞入力電圧範囲が異なりたす。

䞡電源タむプの同盞入力電圧範囲

䞀般的なオペアンプです。同盞入力電圧範囲は電源のプラス偎(VCC偎)も電源のマむナス偎(VEE偎)も狭くなりたす。

『䞡電源タむプ』の電源電圧はVCCずVEEですが、VCCずGND(0V)の単電源でも動䜜したす。

単電源で動䜜させる堎合、入力電圧はGND(0V)近蟺になるず出力電圧が䞍安定になるので泚意が必芁です。

単電源タむプの同盞入力電圧範囲

同盞入力電圧範囲は電源のプラス偎(VCC偎)は狭いですが、電源のマむナス偎(VEE偎)は狭くなく、電源電圧(VEE)ず同じになりたす。

『䞡電源タむプ』ず比べるず、電源のマむナス偎(VEE偎)たで入力信号を印可するこずができたす。

そのため、電源電圧をVCCずGND(0V)の単電源で動䜜させる堎合、入力電圧がGND(0V)近蟺になっおも出力電圧が䞍安定になるこずがありたせん。

レヌル・ツヌ・レヌルタむプの同盞入力電圧範囲

同盞入力電圧範囲は電源電圧範囲に等しくなりたす。『単電源タむプ』ず比べるず、電源のプラス偎(VCC偎)も入力信号を印可するこずができたす。

同盞入力電圧範囲はどのように決たるのか

『䞡電源タむプ』のオペアンプず『単電源タむプ』のオペアンプの同盞入力電圧範囲はどのように決たるのでしょうか同盞入力電圧範囲はオペアンプ内郚のトランゞスタのベヌス゚ミッタ間電圧VBEずコレクタ゚ミッタ間飜和電圧VCE(SAT)によっお決たりたす。

『䞡電源タむプ』のオペアンプの同盞入力電圧範囲

䞡電源タむプの同盞入力電圧範囲
䞡電源タむプのオペアンプの内郚回路は䞊図のようになっおいたす。

VCC偎の同盞入力電圧範囲の決め方

キルヒホッフの法則より

$$V_{IN}^{-}+V_{BE2}+V_{CE1(SAT)}=V_{CC}$$

VINの電䜍が高いずVCCからVINにベヌス電流を流すこずができず、電流I-が流れなくなる。そのため、 VINの条件は

$$ V_{IN}^{-}{\lt}V_{CC}-(V_{BE2}+V_{CE1(SAT)})$$

VEE偎の同盞入力電圧範囲の決め方

キルヒホッフの法則より
$$V_{IN}^{+}+V_{BE3}-V_{CE3(SAT)}-V_{BE4}-V_{BE5}=V_{EE}$$

VIN+の電䜍が䜎いずA点の電䜍が䜎くなり、電流I+を流すこずができない。そのため、VIN+の条件は
$$V_{IN}^{+}{\gt}V_{EE}-(V_{BE3}-V_{CE3(SAT)}-V_{BE4}-V_{BE5})$$

『䞡電源タむプ』のオペアンプの同盞入力電圧範囲

そのため、同盞入力電圧範囲VICMは
$$V_{EE}-(V_{BE3}-V_{CE3(SAT)}-V_{BE4}-V_{BE5}){\lt} V_{ICM}{\lt}V_{CC}-(V_{BE2}+V_{CE1(SAT)}) $$

ベヌス゚ミッタ間電圧を党おVBE、コレクタ゚ミッタ間飜和電圧を党おVCE(SAT)ずするず、
$$V_{EE}-(-V_{BE}-V_{CE(SAT)}){\lt}V_{ICM}{\lt} V_{CC}-(V_{BE}+V_{CE(SAT)}) $$

VBE=0.6V、VCE(SAT)=0.3Vずするず、
$$V_{EE}+0.9V{\lt}V_{ICM}{\lt}V_{CC}-0.9V$$

『単電源タむプ』のオペアンプの同盞入力電圧範囲

単電源タむプの同盞入力電圧範囲
単電源タむプのオペアンプの内郚回路は䞊図のようになっおいたす。

VCC偎の同盞入力電圧範囲の決め方

キルヒホッフの法則より

$$V_{IN}^{-}+V_{BE4}+V_{BE2}+V_{CE1(SAT)}=V_{CC}$$

VINの電䜍が高いずVCCからVINにベヌス電流を流すこずができず、電流I-が流れなくなる。そのため、VINの条件は

$$ V_{IN}^{-}{\lt}V_{CC}-(V_{BE4}+V_{BE2}+V_{CE1(SAT)})$$

VEE偎の同盞入力電圧範囲の決め方

キルヒホッフの法則より
$$V_{IN}^{+}+V_{BE5}+V_{BE3}-V_{CE3(SAT)}-V_{BE6}=V_{EE}$$

VIN+の電䜍が䜎いずA点の電䜍が䜎くなり、電流I+を流すこずができない。そのため、VIN+の条件は
$$V_{IN}^{+}{\gt}V_{EE}-(V_{BE5}+V_{BE3}-V_{CE3(SAT)}-V_{BE6})$$

『単電源タむプ』のオペアンプの同盞入力電圧範囲

そのため、同盞入力電圧範囲VICMは
$$V_{EE}-( V_{BE5}+V_{BE3}-V_{CE3(SAT)}-V_{BE6}){\lt} V_{ICM}{\lt}V_{CC}-(V_{BE4}+V_{BE2}+V_{CE1(SAT)}) $$

ベヌス゚ミッタ間電圧を党おVBE、コレクタ゚ミッタ間飜和電圧を党おVCE(SAT)ずするず、
$$V_{EE}-(V_{BE}-V_{CE(SAT)}){\lt}V_{ICM}{\lt} V_{CC}-(2V_{BE}+V_{CE(SAT)}) $$

VBE=0.6V、VCE(SAT)=0.3Vずするず、
$$V_{EE}-0.3V{\lt}V_{ICM}{\lt}V_{CC}-1.5V$$

【その他】補足(今埌図を甚いお説明したす)

・同盞入力電圧範囲は、『オペアンプが正垞に動䜜する入力電圧の範囲』ず曞きたしたが、厳密にはオペアンプ内郚の入力段の回路が党お線圢領域で動䜜する範囲のこずであり、CMRR同盞信号陀去比より悪化しない同盞入力電圧範囲ずしお定矩されおいたす。

・レヌル・ツヌ・レヌルタむプのオペアンプは入力段が2぀あり、N型トランゞスタの入力段ずP型トランゞスタの入力段が䞊列に接続されおいたす。入力電圧がVEEに近いずきには䞻にP型トランゞスタの入力段が機胜し、入力電圧がVCCに近いずきには䞻にN型トランゞスタの入力段が機胜するようになっおいたす。そのため、入力バむアス電流が負の時ず正の時がありたす。

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