【MOSFET】『プレーナ構造』と『トレンチ構造』の違いと特徴について!

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この記事ではMOSFETのプレーナ構造トレンチ構造の違いと特徴について詳しく説明します。

『プレーナ構造』と『トレンチ構造』の違い

『プレーナ構造』と『トレンチ構造』の違い
上図にプレーナ構造トレンチ構造のセル断面構造を示します。

プレーナ構造は、ウエハの表面にゲートが付いた構造をしています。一方、トレンチ構造は、ウエハの表面から溝(トレンチ)を掘り、ゲート電極を埋め込んだ構造をしています。

後ほど詳しく説明しますが、『プレーナ構造』は構造上、セルの微細化が困難であり、『プレーナ構造』はセルの微細化が可能なためオン抵抗を小さくすることができる特徴があります。

では、次に『プレーナ構造』と『トレンチ構造』の特徴について詳しく説明していきます。

補足

  • MOSFETは1970年代から登場したパワー半導体です。MOSFETの構造は横型から縦型へ、そして、縦型のプレーナ構造から縦型のトレンチ構造へと変化していきました。
  • MOSFETのドレインソース間電圧の耐圧が中~高耐圧(VDSSが約250V以上)では、縦型のプレーナ構造の製品が多く、MOSFETのドレインソース間電圧の耐圧が低耐圧(VDSSが約200以下)では、縦型のトレンチ構造の製品が多くなっています。

プレーナ構造の特徴

プレーナ構造の特徴
トレンチ構造よりも前に普及していたのがプレーナ構造です。

上図に示すように、プレーナ構造は、ウエハの表面にゲートが付いた構造をしています。

プレーナ構造は、ゲートを凹凸の少ない平坦面にできるため、安定した特性を維持できるのが特徴であり、また、低容量の高速スイッチングに適しています。

しかし、ウエハの表面にチャネルが水平に形成されるため、チャネル長がセルサイズを制限します。チャネル長以下にセルサイズを小さくすることができないため、ひとつのセルサイズが大きくなってしまいます。

また、MOSFETにドレインソース間電圧VDSを印加すると、P層Nドリフト層の間に空乏層ができるため、ドレイン電流IDの経路を狭めてしまいます。この空乏層によってドレイン電流を制限するのはJFETの原理と同様です。そのため、この空乏層による抵抗はJFET抵抗(接合型電界効果トランジスタ抵抗)と呼ばれています。

すなわち、プレーナ構造は、オン抵抗を下げるために、セルを微細化すると、JFET抵抗が増加してしまうため、セルの微細化が困難となっています。

補足

  • プレーナ構造は、プレーナゲート構造二重拡散構造とも呼ばれています。
  • プレーナは英語では「Planar」と書きます。
  • プレーナ構造のMOSFETは耐圧を上げると、ドリフト層が厚くなるためオン抵抗が大きくなります(スーパージャンクション構造のMOSFETはPN接合が複数並んである構造なので、耐圧を維持しながらオン抵抗及びゲート電荷量QGを低減できます)。

トレンチ構造の特徴

トレンチ構造の特徴
上図に示すように、トレンチ構造は、ウエハの表面から溝(トレンチ)を掘り、ゲート電極を埋め込んだ構造をしています。

プレーナ構造ではウエハの表面にチャネルが水平に形成されていましたが、トレンチ構造ではチャネルが垂直に形成されてるため、セルの微細化が可能となります。

その結果、セルを沢山並べることができるため、オン抵抗を小さくすることができ、より多くの電流を流すことが可能となります。

また、トレンチ構造は構造上、JFETが存在しません。

補足

  • トレンチ構造はトレンチゲート構造とも呼ばれています。
  • トレンチは英語では「Trench」と書きます。
  • 最近ではプロセスや製造装置の進歩によって、トレンチ構造でも低容量化(低QG、低QGD化)が進んでいます。

まとめ

この記事ではMOSFETの『プレーナ構造』と『トレンチ構造』について、以下の内容を説明しました。

当記事のまとめ

  • 『プレーナ構造』と『トレンチ構造』の違い
  • プレーナ構造の特徴
  • トレンチ構造の特徴

お読み頂きありがとうございました。

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