この記事ではLTspiceで定電力負荷を作成する方法について
- 定電力負荷とは
- 抵抗を用いて定電力負荷を作成する方法
- ビヘイビア電源を用いて定電力負荷を作成する方法
などを図を用いて分かりやすく説明しています。
定電力負荷とは
定電力負荷とはその名の通り、電力が一定の負荷ということです。
負荷の抵抗値R、負荷にかかる電圧V、負荷に流れる電流I、負荷で消費する電力Pの関係は次式で表されます。
\begin{eqnarray}
P=VI=\frac{V^2}{R}=RI^2
\end{eqnarray}
電力Pが一定なので、負荷にかかる電圧Vが大きくなれば、負荷に流れる電流Iが小さくなるということになります。
例えば、10Wの定電力負荷の場合、『電流I-電圧V特性』は上図のような反比例の特性となります。電圧Vが1Vの時に電流Iが10A、電圧Vが10Vの時に電流Iが1Aとなります。
この記事では、このような定電力負荷をLTspiceで作成する方法について説明します。
LTspiceで定電力負荷を作成する方法
LTspiceでは様々な方法で定電力負荷を作成することができます。
この記事では以下の2つの方法で定電力負荷を作成する方法を説明します。
- 抵抗を用いて定電力負荷を作成する方法
- ビヘイビア電源を用いて定電力負荷を作成する方法
抵抗を用いて定電力負荷を作成する方法
一例として、10Wの定電力負荷を抵抗を用いて作成する方法を説明します。作成方法を以下に示します。
定電力負荷の作成方法
- 『.paramコマンド』を用いて、『.param P=10』と記述します。変数名は特に決まりはありません。今回は『P』としました。
- 抵抗を用意して、抵抗値を『R=V(ノード名)**2/P』と記述します。上図では、ノードを『A』にしているので、『R=V(A)**2/P』と記述しています。V(A)とはA点の電圧のことです。また、変数Pの箇所は『R=V(ノード名)**2/10』のように数字を直接記入しても構いません。
これで10Wの定電力負荷の作成が終了しました。実際にシミュレーションをすると上図のようになります。今回は、『.dc解析』を行い、電圧源VINの値を1Vから10Vまで0.1V刻みで変化させました。
シミュレーション結果を見てみます。上図の右に抵抗Rに流れる電流Iをプロットしています。電圧が1Vの時に電流が10A、電圧が10Vの時に電流が1Aになっていることが確認できます。
あわせて読みたい
『.paramコマンド』と『.dc解析』については以下の記事に詳しく説明していますので参考にしてください。
【LTspice】変数を定義する『.paramコマンド』の使い方
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【LTspice】スイープ(掃引)を行う『.dc解析』の使い方と応用について
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ビヘイビア電源を用いて定電力負荷を作成する方法
一例として、10Wの定電力負荷をビヘイビア電源を用いて作成する方法を説明します。作成方法を以下に示します。
定電力負荷の作成方法
- ビヘイビア電源(BV)を用意して、『P=10』と記述します。
これだけで10Wの定電力負荷の作成が終了です。実際にシミュレーションをすると上図のようになります。今回は、『.dc解析』を行い、電圧源VINの値を1Vから10Vまで0.1V刻みで変化させました。
シミュレーション結果を見てみます。上図の右に抵抗Rに流れる電流Iをプロットしています。電圧が1Vの時に電流が10A、電圧が10Vの時に電流が1Aになっていることが確認できます。
まとめ
この記事ではLTspiceで定電力負荷を作成する方法について、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- 定電力負荷とは
- 抵抗を用いて定電力負荷を作成する方法
- ビヘイビア電源を用いて定電力負荷を作成する方法
お読み頂きありがとうございました。
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