この記事では『疑似電源回路網(LISN)』について
- 疑似電源回路網(LISN)の種類・等価回路・インピーダンス
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
LISNの『種類』と『等価回路』
疑似電源回路網(LISN)には用途に応じて、「50Ω/50μH V-LISN」、「50Ω/50μH+5Ω V-LISN」、「50Ω/5μH V-LISN」の種類があります。各LISNでは使用することのできる周波数範囲が異なります。
- 50Ω/50μH V-LISN
- 50Ω/50μH+5Ω V-LISN
- 50Ω/5μH V-LISN
30kHzから30MHzまでの周波数範囲で使用するLISNです。
9kHzから150kHzまでの周波数範囲で使用するLISNです。なお、「50Ω/50μH+5Ω V-LISN」が「50Ω/50μH V-LISN」のインピーダンス要求を満たしている場合、9kHzから30MHzまでの周波数範囲で使用することができます。
100kHzから100MHzまでの周波数範囲で使用するLISNです。
上図に各LISNの等価回路を示しています。「50Ω/50μH V-LISN」は被試験機器(EUT)から見た電源線のインピーダンスが「LISN内の50μHのインダクタ」と「測定器の50Ωの入力インピーダンス(測定器に接続していない時には終端器)」によって規定されていることから「50Ω/50μH V-LISN」と呼ばれています。
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LISNの『インピーダンス』
各LISNは国際規格「CISPR」によって、被試験機器(EUT)から見た電源線のインピーダンス(絶対値と位相)の許容範囲が定められています。
ではこれから各LISNのインピーダンス特性について説明します。
「50Ω/50μH V-LISN」のインピーダンス特性
「50Ω/50μH V-LISN」は150kHzから30MHzまでの周波数範囲で使用するLISNです。
「50Ω/50μH V-LISN」と呼ばれるLISNにおいて、国際規格「CISPR16-1-2」で定められている「被試験機器(EUT)から見た電源線のインピーダンス(絶対値と位相)の許容範囲(青点線)」を上図に示します。インピーダンスの絶対値は±20%、位相は±11.5度の許容偏差が認められています。
「50Ω/50μH V-LISN」のインピーダンス特性(赤線)を見ると、許容範囲の中に入っていることが分かります。
インピーダンスは電源を短絡させた状態での被試験機器(EUT)側から見た電源線のインピーダンスとなります。
「50Ω/50μH+5Ω V-LISN」のインピーダンス特性
「50Ω/50μH+5Ω V-LISN」は9kHzから150kHzまでの周波数範囲で使用するLISNです。なお、「50Ω/50μH+5Ω V-LISN」が150kHzから30MHzまでの周波数範囲で使用する「50Ω/50μH V-LISN」のインピーダンス要求(オレンジ色)を満たしている場合、9kHzから30MHzまでの周波数範囲で使用することができます。
「50Ω/50μH+5ΩV-LISN」と呼ばれるLISNにおいて、国際規格「CISPR16-1-2」で定められている「被試験機器(EUT)から見た電源線のインピーダンス(絶対値と位相)の許容範囲(青点線)」を上図に示します。インピーダンスの絶対値は±20%、位相は±11.5度の許容偏差が認められています。
「50Ω/50μH+5Ω V-LISN」のインピーダンス特性(赤線)を見ると、許容範囲の中に入っていることが分かります。
また、「50Ω/50μH+5Ω V-LISN」の回路図について調べると、下図に示すように様々な回路構成があります。
各回路について、インピーダンス特性をプロットしたものを下図に示しています。どの回路も同じような結果になることが分かります(重なりすぎてどれがどの回路図のインピーダンス特性か分かりませんね・・・)。
「50Ω/5μH V-LISN」のインピーダンス特性
「50Ω/5μH V-LISN」は100kHzから100MHzまでの周波数範囲で使用するLISNです。
「50Ω/5μH V-LISN」と呼ばれるLISNにおいて、国際規格「CISPR25」で定められている「被試験機器(EUT)から見た電源線のインピーダンス(絶対値と位相)の許容範囲(青点線)」を上図に示します。インピーダンスの絶対値は±20%、位相は±11.5度の許容偏差が認められています。
「50Ω/5μH V-LISN」のインピーダンス特性(赤線)を見ると、許容範囲の中に入っていることが分かります。
50Ω/5μH+1Ω V-LISN
その他に「50Ω/5μH+1Ω V-LISN」と呼ばれているLISNもあります。このLISNは150kHzから100MHzまでの周波数範囲で使用するLISNです。
「50Ω/5μH+1Ω V-LISN」と呼ばれるLISNにおいて、国際規格「CISPR16-1-2」で定められている「被試験機器(EUT)から見た電源線のインピーダンス(絶対値と位相)の許容範囲(青点線)」を下図に示します。インピーダンスの絶対値は±20%、位相は±11.5度の許容偏差が認められています。
「50Ω/5μH+1Ω V-LISN」のインピーダンス特性(赤線)を見ると、許容範囲の中に入っていることが分かります。
インピーダンス特性は「50Ω/5μH V-LISN」とほぼ同じなります。
まとめ
この記事では、『疑似電源回路網(LISN)』について、以下の内容を説明しました。
- 疑似電源回路網(LISN)の種類・等価回路・インピーダンス
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