この記事では『絶縁抵抗試験』について
- 絶縁抵抗試験とは
- 絶縁抵抗試験の「測定方法」と「判定」
- 「絶縁抵抗試験」と「耐電圧試験(絶縁耐力試験)」の違い
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
絶縁抵抗試験とは
絶縁抵抗試験は、絶縁物に直流電圧を印加した時に測定できる絶縁抵抗値が規定の数値以上であるかどうかを確認する試験です(規定の数値については後ほど説明します)。この試験では、漏電や感電に関して、十分な絶縁性能があるかを評価しています。
絶縁物の絶縁抵抗値を測定するときには、絶縁抵抗計(メガーとも呼ばれている)を用います。絶縁抵抗計で絶縁物に直流電圧を印加すると、非常に小さい電流(漏れ電流)が流れます。印加している直流電圧を\(V{\mathrm{[V]}}\)、この時に流れる直流電流を\(I{\mathrm{[μA]}}\)とすると、絶縁抵抗値\(R{\mathrm{[M{\Omega}]}}\)はオームの法則より次式となります。
\begin{eqnarray}
R{\mathrm{[M{\Omega}]}}=\frac{V{\mathrm{[V]}}}{I{\mathrm{[μA]}}}
\end{eqnarray}
補足
- 絶縁抵抗計を用いて、絶縁抵抗値を測定することを「メガーをかける」とか「メガーを測る」と言ったりします。
- 絶縁抵抗計には、アナログ式とデジタル式があります。アナログ式は絶縁抵抗値を針(指針)で示し、デジタル式は絶縁抵抗値を数値で示します。
絶縁抵抗試験の「測定方法・やり方」
絶縁抵抗の測定箇所は大きく分けて下記の2つがあります。
- 電路と大地間
- 電路の電線相互間
それぞれの測定方法を順番に説明します。
絶縁抵抗の測定方法(電路と大地間)
- 開閉器を開放状態(OFF)にして、電源側と負荷側(電子機器がつながる側)を切り離す。
- 負荷側を接続状態にする。
- 例えば、負荷側に電球がある場合、電球を取り付けて、スイッチをONにします。また、電子機器(パソコンなど)がある場合、コンセントを挿した状態にします。
- 負荷側にある電路の2線を接続する。また、絶縁抵抗計のE端子(アース端子)を接地極に接続し、絶縁抵抗計のL端子(ライン端子)を電路に接続する。
- 絶縁抵抗計の測定ボタンを押して、絶縁抵抗を測定する。
絶縁抵抗の測定方法(電路の電線相互間)
- 開閉器を開放状態(OFF)にして、電源側と負荷側(電子機器がつながる側)を切り離す。
- 負荷側を開放状態にする。
- 例えば、負荷側に電球がある場合、電球を取り外します(この時、スイッチはONのまま)。また、電子機器(パソコンなど)のコンセントは抜いた状態にします。
- 絶縁抵抗計のE端子(アース端子)とL端子(ライン端子)を電路に接続する。
- 絶縁抵抗計の測定ボタンを押して、絶縁抵抗を測定する。
注意点
「電路と大地間の絶縁抵抗」を測定する時は、負荷側を接続状態にしますが、「電路の電線相互間の絶縁抵抗」を測定する時には、負荷側を開放状態にします。間違えないように気を付けてくださいね。
絶縁抵抗試験の判定
絶縁抵抗を測定したら、その絶縁抵抗値がOKなのかNGなのかを判断する必要があります。絶縁抵抗値は「電気設備に関する技術基準を定める省令、第58条」において、規定されており、上表に示す絶縁抵抗値以上であることが必要です。
例えば、電路の電圧が300V以下で対地電圧が150V以下の場合(例えば、単相2線式など)、測定した絶縁抵抗値が「0.1MΩ以上だったらOK!」ということを意味しています。絶縁抵抗値が0.1MΩよりも小さい場合にはNGになります。
「絶縁抵抗試験」と「耐電圧試験(絶縁耐圧試験)」の違い
絶縁抵抗試験と耐電圧試験(絶縁耐力試験)はどちらも絶縁物の絶縁性能を確認するための試験です。ではこれらの違いは何でしょうか。
絶縁抵抗試験は、絶縁物に一定の直流電圧を印加することによって流れる小さな電流(漏れ電流)により、絶縁抵抗を算出し、絶縁抵抗値が規定の数値以上であるかを確認する試験です。一方、耐電圧試験は絶縁物に直流または交流の高電圧を印加した時に、絶縁破壊されないかを確認する試験です。
耐電圧試験では絶縁破壊する電圧を調べているので、測定対象に印加する電圧は絶縁抵抗試験よりも耐電圧試験の方が大きくなります。
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『耐電圧試験(絶縁耐力試験)』については下記の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。 続きを見る耐電圧試験(絶縁耐力試験)とは?『試験方法』などを解説!
まとめ
この記事では『絶縁抵抗試験』について、以下の内容を説明しました。
- 絶縁抵抗試験とは
- 絶縁抵抗試験の「測定方法」と「判定」
- 「絶縁抵抗試験」と「耐電圧試験(絶縁耐力試験)」の違い
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