湿度とは空気中にどれくらいの水蒸気(水が蒸発して気体となったもの)があるかということです。
湿度計を見ると〇〇%って書いてある通り、湿度はパーセントで表します。
この湿度はどのように決まるのかをご存知でしょうか。
湿度には『相対湿度』や『絶対湿度』と種類があるのをご存知でしょうか。
また、湿度100%とはどのような状態でしょうか・・・
今回は、湿度についてかなり詳しく調べてみました。これから紹介します。
湿度とは
湿度とは分かりやすくいうと、空気中にどれくらいの水蒸気(水が蒸発して気体となったもの)があるかということです。すなわち、空気中に含まれる水分の割合です。
湿り空気と乾き空気
ここから湿度について詳しく説明するにあたって、専門用語が多少必要になります。まずは、空気の種類から説明します。空気には乾き空気と湿り空気があります。
湿り空気
空気を構成しているのは、窒素(N2)、酸素(O2)、水素(H2)、二酸化炭素(CO2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、そして水(水蒸気,H2O)です。この空気のことを「湿り空気」と呼びます。普段空気と言われるものは、乾き空気と水蒸気が混ざった「湿り空気」のことを指します。
渇き空気
そして、空気から水蒸気を取り除いた空気のことを「乾き空気」といいます。
湿度の種類
湿度には2種類があります。1つが相対湿度もう1つが絶対湿度です。私たちがよく「湿度が高いね!」など普段口にしている湿度は専門用語的には「相対湿度」といいます。
絶対湿度には、容積絶対湿度と重量絶対湿度(混合比) があります。容積絶対湿度は、空気(湿り空気)1m3中の水蒸気量を表します。重量絶対湿度(混合比)は、乾き空気1kg中の水蒸気量xkgを表します。
一般的には容積絶対湿度を絶対湿度と言っていることが多いです。
「絶対湿度」は日常生活ではあまり聞くことがなく、使うこともない湿度の表現方法ですが、イメージとしては相対湿度よりも理解しやすいのです。
相対湿度
空気中に含むことができる最大の水蒸気量に対して、現在の水蒸気量はどれくらいかを表したものを相対湿度と言います。すなわち、飽和水蒸気量(飽和水蒸気圧)に対する、実際の水蒸気量 (水蒸気圧)の割合です。
注意点としては、水蒸気量が一定でも、温度が変わると飽和水蒸気量(飽和水蒸気圧)が変化するので、相対温度は変化します。単位は[%]です(分母と分子の単位が同じなので比率を表す%となりますね)。
容積絶対湿度
単に絶対湿度といえばこちらを示す場合の方が多いです。空気(湿り空気)1m3中に何gの水蒸気が入っているかを示したものです。単位は[g/m3]です。空気(湿り空気)1m3中という容積の中に水蒸気がどのくらい入っているかを示しているので、容積絶対湿度といいます。
重量絶対湿度(混合比)
渇き空気1kgに対する水蒸気量の割合を示したものです。単位は[kg/ kg DA]または[g/ kg DA]です。DAとはDRY AIRの略です。渇き空気1kgという重量に対して、水蒸気がどのくらいの割合を占めているかを示しているので、重量絶対湿度といいます。
同じ部屋でも場所によって湿度は異なります
湿度計の設置場所によって、表示される湿度が異なる場合があります。
私たちが普段使用している湿度は相対湿度です。相対湿度は空気中に含まれる水蒸気量が一定でも、温度によって変化するのが特徴です。具体的には温度が上がると、飽和水蒸気量が増えるので、相対湿度は減ります。同じように、温度が下がると、飽和水蒸気量が減るので、相対湿度は高くなります。
すなわち、同じ部屋でも、温かい場所では、湿度が低く、寒い場所では湿度が高くなります。冬場、窓付近は温度が低下しているため、湿度が高く表示されてしまいます。また、温かい空気は上に行く性質があるため、天井付近は温度が高く、湿度が低く表示されてしまいます。
これを改善するためには、サーキュレータなどを使用して、空気を循環させ、部屋の温度のばらつきをなくす必要があります。
湿度100%とは
「湿度が100%ってなんだ?」「湿度100 %ってあり得るの?」「湿度100%は水の中?」など様々な考え方があります。
結論から言うと、湿度100%とは水の中ではありません。それ以上水が蒸発しない状態(飽和水蒸気量と現在の水蒸気量が等しい状態)となります。湿度100%を超えると水滴になります。
身近な例だと、冬場の窓ガラスに生じる結露や、冬に息を吐くと白くなる現象です。冬は夏に比べて、気温が低いので、飽和水蒸気量が低下しています。この飽和水蒸気量が低下している状態で、息を「はぁー」って吹きかけると、息に含まれている水分量が飽和水蒸気量を越え、白い霧のように凝結するのです。
湿度と体感温度
同じ温度でも湿度によって体感温度が異なるのをご存知でしょうか。夏、曇っていて太陽が出ていないのに暑く感じる時。梅雨、気温がそれほど高くないのに蒸し暑く感じる時。冬、スキーに行ったとき気温は低いのにそれほど寒く感じない時がありますよね。これには、「湿度」が関係しています。
湿度が高いと温かく感じ、湿度が低いと寒く感じます。
これには「気化熱」が関係しています。
湿度が低いと、体から水分が蒸発してしまい、体の熱を奪っていくため、寒く感じます。
湿度が高いと、体から水分が蒸発しにくいため、体の熱が奪われにくく、温かく感じます。
これを聞くと日本の気候を恨みます。
日本は夏の暑い時、湿度が高くなるため、より暑く感じます。逆に冬の寒い時、湿度が低くなるため、より寒く感じます。最悪の気候ですよね。
一方、ハワイは違います。ハワイは温度が高いけど、湿度が低いから日本のようにジメジメとした空気ではなく、とてもカラッとした空気になります。そのため、涼しく感じ、「暮らしやすいなー」と思うわけです。
快適に生活するためには?
では、この日本で快適に生活するためにはどのようにすればよいでしょうか。エアコンや加湿器を活用しましょう。
夏場は、温度を下げるだけでなく、冷房のドライを使う、除湿器を使うなどして湿度も下げる(除湿をする)。
冬場は温度を上げるだけでなく、加湿器を使うなどして湿度も上げる(加湿をする)と、より快適に過ごすことができますよ。
相対湿度から絶対湿度への変換方法
①飽和水蒸気圧E(t)[hPa]の導出
温度t[℃]をTetens(テテンス)(1930)の式に代入すると、飽和水蒸気圧E(t)[hPa]を求めることができます。
■Tetensの式
$$ E(t)= 6.1078×10^{(\frac{ at }{ t+b})}$$
ここで、aとbは水面と氷面で異なります。水面の場合は「a=7.5, b=237.3」、氷面の場合は「a=9.5, b=265.5」となります。なお、tは温度[℃]です。
今回は、飽和水蒸気圧を求めるので、
$$ E(t)= 6.1078×10^{(\frac{ 7.5t }{ t+237.3})}$$
となります。
②水蒸気圧Ep[hPa]の導出
飽和水蒸気圧E(t) [hPa]と相対湿度RH [%]から水蒸気圧Ep[hPa]を求めます。普段私たちが日常で見ている湿度は相対湿度RHです。この相対湿度は、飽和水蒸気量(飽和水蒸気圧)に対する、水蒸気量 (水蒸気圧)との比であらわしています。
$$ RH = (\frac{Ep}{E(t)})$$
③水蒸気量(容積絶対湿度)a(t)の導出
水蒸気圧Ep [hPa]と現温度t[℃]から水蒸気量a(t) [g/m3]を求めます。
$$ a(t)=217×(\frac{ Ep}{ t+273.15})$$
これが、相対湿度から絶対湿度を求める方法です。